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横浜ガジェットまつりで開催したパネルディスカッション

eスポーツ市場で成功させるための秘訣とは

2019年12月06日 06時00分更新

eスポーツとつながるサービスを提供する3社のパネリストたち

 続いて、eスポーツやスポーツに関して、新しいサービスをつくっている企業の3人が登壇。金田氏も加わり4名でのパネルディスカッションが行なわれた。まずは、登壇する3人が手掛けている事業について、簡単に紹介しよう。

double jump.tokyo株式会社 My Crypto Heroes プロデューサー 石川 駿氏

 ブロックチェーンを使ったゲームを手掛けており、スマホやPCで遊べるMMORPG「My Crypto Heroes」を開発。サービス開始からもうすぐ1年になり、登場以降、取引高・取引量・DAU(1日あたりのアクティブユーザー数)が世界1位を記録。現在は約7000DAUでユーザー登録数は7万人となっている。世界でもちらほらとブロックチェーンゲームが出ているが、No.1を維持し続けているという。

 歴史上のヒーローを操り、クエストやプレイヤー同士での対戦を行ない、経験値やレアアイテムを手に入れ育てていくのが基本的な遊び方。月額約2000円のサブスクリプションに登録しているユーザーが3500人おり、DAUの50%を占める。ユーザー数は、ほかのゲームに比べれば比較にもならないが、少ない人数ながらも、かなり熱心にゲームをやっていることがわかる。累計売上は約3億円だ。

 石川氏はブロックチェーン技術をゲームで使う意味として「新しい技術はゲームやアダルト系コンテンツにより世間に広まりやすいからです。これまでのソーシャルゲームの悲しいところは、サービスが終了するとすべてを失ってしまうところ。ブロックチェーンゲームなら、たとえ終了しても、キャラクターやアイテムは生き続け、ほかのゲームで使うことも可能となります。現在3つのゲームを製作中で、2020年ごろにはもっと広がるのではと思っています」と語った。

よむネコ代表取締役社長の國光宏尚氏が「オアシス構想6ヵ年計画」として、VRによって現実世界の制限を突破し、人々がより自由に生きる世界を創造すると発表。double jump.tokyoも協力している

MedVigilance株式会社 代表取締役 コウ ソウ

 MedVigilanceでは、既存のモジュールを採用して人に装着するセンサーを開発しデータを取得する事業を行なっており、主に保険会社やフィットネスクラブ、医療やリハビリ関係などと取引。筋電計「PULSTONE」やウェアラブル端末「LANCEBAND」、体組成計、電動歯ブラシといったものを開発している。また、アプリケーションも開発しており、VR系や健康系、Livelog.ioという健康データを集めるサーバーなども運営している。

 いま注力しているのが、eスポーツをより良いものにすること。すでに、大手フィットネスクラブと協力し、PULSTONEを利用してeスポーツが行なえないか研究している。体中にセンサーを付け、体の動きと力で、ゲームを操作できるようにすることで、観戦者への熱量を伝えやすくする。

 いまのゲームは指先の戦いがほとんどで、映像からだけでは一般人にはゲームの激しさと選手の緊張感が伝わりにくい。普通のスポーツだと、動きがあり体全体を使って戦っているので、常に熱量が見え伝わりやすく、観戦している人も感動しやすい。

 体全体がコントローラーになれば、ゲームをやっている人の熱量が伝わりやすくなり、共感しやすくなると考えている。コウ氏は「中国のeスポーツ市場は、ホットマネーに恵まれ、ゲームも選手も経済圏もとても潤っており、普通のスポーツ選手とそん色ない収入を得ている。とはいえ、まだまだ収入が少ない人たちが多いため、もっと発展させるために、指先での戦いではなく、体全体がコントローラーとなるシステムを開発していきます」と語った。

両手、上半身、頭にセンサーを取り付けて、コントローラーとマッピングする

株式会社meleap CEO 福田浩士氏

 meleapはARを使った「HADO」という新しいスポーツを開発している。ヘッドマウントディスプレーをかぶり、腕にセンサーを付けて、エナジーボールを撃ち合い得点を競うゲームで、3対3のチーム戦で行なう。2016年から世界大会を開催しており、スポーツ大会として世界各国のチームが集まって優勝を目指している。

 福田氏は「このようなARを使ったゲームをmeleapではテクノスポーツと呼んでいる。従来のスポーツはアナログスポーツ。その後、工業世界と連携したモータースポーツが生まれ、そして情報社会となったいまは、さまざまな技術を活かしたスポーツ、それがテクノスポーツです。サッカーにしてもモータースポーツにしても数兆円規模の市場があリますが、テクノスポーツは、その市場規模になりうると考えています」と語った。

 AR活用するのには理由がある。1つは直感的で誰でも楽しめる点。言葉の必要もなく、見ただけで理解できるので、世界展開もしやすい。そしてもう1つは、ARプラットフォームの普及だ。スマホはもちろんメガネタイプのものも開発中で、誰もがもっている時代になるからだ。

 現在、HADOができるフランチャイズ店舗をたくさんつくることを目指している。大会を運営しており、プロリーグ化して観戦者を増やそうとしている。ファンがたくさんつくことで、観戦ビジネスが生まれマネタイズが可能となり、サッカーを超える市場も実現可能だとした。

2021年に日本でもプロリーグを立ち上げる。それぞれの国に無償でライセンスを渡して、各国に普及させ、FIFA的な立場で運営することを目指している

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