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東京モーターショー 2019

空飛ぶクルマのタイヤや苔で発電するタイヤを発表したグッドイヤー

2019年11月02日 10時00分更新

ブレードランナーのパトカー
「ポリススピナー」のタイヤ?

 東京モーターショー 2019のグッドイヤーブースに展示されたジェットエンジンのブレードのようなホイールを持つタイヤ。これは空飛ぶクルマのタイヤなのです。

 空飛ぶクルマといえばSF映画「ブレードランナー」の主役、デッガードが乗っていたポリススピナーを思い出しますが、この空飛ぶクルマはSFの中だけのお話ではなく、都市部の渋滞緩和策として真剣に考えられているのです。

 都市部の道路を高さ10mごとの空中道路として何階層かに区分し、そこに空飛ぶクルマを走らせるという構想があります。これにより交通集中による渋滞を横方向ではなく縦方向に伸ばすことにより緩和していこうというもので、その主役が空飛ぶクルマとなるのです。

 その空飛ぶクルマの車体構想はポリススピナーのようなジェットエンジンでの空中推進ではなく、ドローンを基礎とした空中推進方法が模索されています。そのためのタイヤがこの「グッドイヤーAERO」なのです。

 ホイール部分をプロペラ形状とすることでドローンのプロペラの役割をし、空中推進をさせます。また、駆動はモーターに歯車を介するなどの機械構造を使用せずに、磁力により駆動させます。グッドイヤーの説明員によればモーターの構造を思い浮かべ、クルマ側にコイル、タイヤのホイール側に鉄芯があるとイメージしてください、とのこと。

 また、空飛ぶクルマは自動運転として構想されているため、メンテナンスフリーが模索されており、タイヤ自体もパンクをしないエアレス構造となっています。空気を入れないためにプロペラを模したホイール部分と磁力駆動の浮いている部分で路面などのショックを吸収するという構想です。

苔で発電するタイヤがIoTデバイス?

 もう一つのコンセプトタイヤは、なんと光合成で発電するタイヤ「Oxygene」。ゴムの部分が水分を吸収しやすくなっており、ホイール部分まで水分を運びます。そのホイール部分で苔を育てて光合成により二酸化炭素を吸収した上で酸素を発生させ、また光合成のエネルギーにより発電をするのです。

 すべてのクルマがこのタイヤになると乗用車250万台分ある都市の二酸化炭素吸収力が4000tということで、温暖化抑制に効果があるとされます。

 自動運転を見据えてタイヤ管理の自動化、オンライン化を目指す必要があります。このOxygeneでもタイヤ管理をタイヤに内蔵されたIoTデバイスで行なうとのことですが、その電力を苔の光合成から生み出される電力でまかなうということで、自己完結型のシステムを持っているのです。

 今回の東京モーターショー 2019では、各社ともに自動運転にともなうIoTデバイスの活用を実用領域にまで広げていく展示をしています。Oxygenのような一見飛び道具のようなコンセプトも、詳細に見ていけば要素技術の一つ一つが徐々に実現されていくことを感じられるでしょう。

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