ゲームにおける“ラグ”は、様々な要素が複合したもので、簡単に分離できるものではない。オンライン対戦におけるネットワークのラグから、ゲームのプログラムやコントローラーの出来によるラグ、あるいは人間の加齢や体調によるラグもこれに含まれるだろう。
だが今回取り上げるのは、ハードウェアやドライバーの出来によるラグの話だ。AMDはRadeon RX 5700シリーズを発表する際、Radeonのドライバーにはゲームの入力から、それが実際に画面表示に反映されるまでの時間、即ち「インプットラグ」(End to Endラグとも呼ぶ)を低減する「Radeon Anti-Lag」を実装すると発表した。
これに対してNVIDIAは、即座に「GeForceの場合“レンダリング前最大フレーム数1”設定で同様のことができる」と反論。だが、Radeon Anti-LagのアプローチはCPUのプリレンダを抑制するのではなく、GPUがレンダリングするタイミングに合わせ、CPUのレンダリングタイミングを調整する、というものだった。NVIDIAはこの段階では返り討ちにあった格好だ。
しかし、8月のドライバー(GeForce 436.02)で、Radeon Anti-Lagとまったく同じアプローチの機能「NVIDIA Ultra Low Latency」、略して“NULL”を実装してきた。DirectX 11または9で利用でき、GeForce 436.02以降のドライバーが対応するすべてのGeForceで有効になる。
Radeon Anti-LagではDirectX 9はRX 5700シリーズのみであるため、NULLのほうが若干対応範囲が広いが、DirectX 12ではドライバー側でCPUの処理タイミングを調整できないため、効かないという点においては共通している。
このNULLの効果はどの程度なのかを検証するのが今回の目的だが、まずはラグに特に厳しい目が向けられる格ゲー(格闘ゲーム)でテストする(FPS系は次回)。NVIDIAのNULLは格ゲーマーにとって恩恵となるのか否かを検証したい。
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