ベネッセi-キャリア「dodaキャンパス」でのAWS活用も披露
教育市場を盛り上げる「AWS EdStart」と「AWS Educate」
第7回目のX-Tech JAWSの後半はEdTech系のセッションからスタート。AWSジャパンの根本裕規さんによるEdTech業界のAWSの取り組み、そしてベネッセi-キャリアによるdodaキャンパスのAWS活用が披露された。
「AWS EdStart」と「AWS Educate」とは?
AWSジャパンのソリューションアーキテクトである根本裕規さんは、パブリックセクター部門のEdTech担当。日本では公共機関と訳されるパブリックセクターとは、中央省庁や地方自治体、独立行政法人、公共系特殊法人を含むいわゆる政府に加え、教育機関、教育産業、病院、非営利組織まで幅広い。
AWSは学校のバックオフィスやゲノムなどの研究分野、パーソナライズドされた学習、成長著しいEdTechスタートアップなどでも活用されている。根本さんは、「オンライン学習コースを提供するCourseraは、今では2500万人のユーザー規模に膨らんでおり、毎月数ペタのデータを扱わせていただいている」と事例を披露した。日本でも、今年開催されたEdTech系のイベントにはClassiやライフイズテック、ベネッセi-キャリア、花まるラボなどが登壇し、かなりの盛況ぶりだったという。
続いて根本さんはEdTechスタートアップのアクセラレーションプログラム「AWS EdStart」を紹介した。学生や教師を支援する教育系サービスのスタートアップが審査を通ると、プロモーションクレジット、トレーニング、マーケティング支援などが提供され、イベントへの参加なども可能になる。また「AWS Educate」は、授業用のAWSクレジットの提供や学生向けの実習環境やオンライン講習の無料提供、求人・求職情報の提供といった教育機関向けプログラムだ。現在、約2000の教育機関が利用しているという。
大学1年から経験を書き込める「dodaキャンパス」とAWS
ベネッセi-キャリアは、ベネッセホールディングスとパーソルキャリア(旧:インテリジェンス)による教育と人材関連の合弁会社。前述したEdTechイベントでも登壇した長根佳孝さんが、同社が展開する「dodaキャンパス」とAWS活用について概説した。
「成長支援型ダイレクトリクルーティングサービス」をうたうdodaキャンパスは、企業から学生にオファーが届く就職支援サービス。利用期間が限定される就活サイトと異なり、大学1年生から使って、経験をプロフィールとして拡充させることが可能だという。最近「長期インターン募集」機能を実装し、学生と企業の双方からアプローチがかけられる。「学生時代からアクティブに活動してもらって、キャリアオーナーシップを持ってもらう。自分で自分の進路を決められる人になってほしいというのが、われわれの目指しているところです」(長根さん)。
dodaキャンパスの開発体制は5人程度のチームで、それぞれが役割とミッションを持っているという。また、品質に責任を持つQAと可用性を担保するためのSREのチームが組織横断的にサポートしている。開発は9割以上がTypeScript+Angular、サーバーサイドはclaudia.jsというサーバーレスフレームワークを使っている。
もちろんAWSもフル活用している。昨年はリコメンド機能を開発している途中でパーソナライズ機能の「AWS Personalize」が発表されてしまい「やや痛かった」。サーバーレスの利用も増えており、長根さんは「レイヤーの低いところで問題が起こらない。AWS環境だとちゃんと障害原因に行き着く。Lambdaのコストも安い」と評価する。とはいえ、AWS SAM(Serverless Application Model)での開発環境やエラートレース、EOLを迎えるLambdaのnode.js6対応など、悩みはなかなか尽きないと語った。
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