7月17日は、国際絵文字デーでした。
この日が選ばれた理由は、iPhoneに収録されているカレンダーのアイコンが「JUL 17」となっていたからですが、歴史を紐解くとAppleがMac向けにカレンダーアプリ「iCal」を2002年にリリースした日付だったという由来もあります。
もっとも、MacのiCalやそれを引き継ぐ「カレンダー」アプリのアイコンは、7月17日固定ではなく、その日の日付に動的に変わっていく仕組みになっているのですが。
その国際絵文字デーにあわせて、Adobeはブログを更新し、絵文字に関する統計を発表しています(https://theblog.adobe.com/the-cultural-phenomenon-of-emoji/)。
この中で、一番使われている絵文字は笑い顔の両目から涙が流れている絵文字(😂)。次いでシンプルなハート(❤)、そしてキスの口からハートが飛んでいる絵文字(😘)の順。絵文字を使うモチベーションは、会話のムードを明るくしたい(93%)、相手を支える気持ちを示したい(91%)だそうです。
仕事でも、黒メール脱却?
海外では絵文字を使うビジネスメールは信頼性が高い!?
Adobeのレポートで興味深かった点は、絵文字表現がだんだんビジネスにも入り込んできている点です。
日本では依然として、ビジネスのメールで絵文字はちょっと……という雰囲気のように見えますが、フレンドリーさ、気持ちを伝えたい局面で絵文字が有用だという評価も広がっています。
その一方で、これはケータイの頃からですが、文字ばかりのメールのことを「黒メール」と呼び、かしこまった印象を与えたり、事務的な連絡と受け取るなど、むしろ絵文字なしのメールにネガティブなイメージをもつ世代も多くなっています。
Adobeの調査では、絵文字を使うことで、ビジネスにおいても、よりポジティブな印象を与えるという評価も紹介されています。65%の絵文字ユーザーが、電話よりも気持ちを伝えやすいと答えており、仕事の現場では78%の人が身近さを高める、63%の人が信頼性が高まると答えており、74%の人が誠実さを感じるとしているそうです。
また、73%の人が自分らしい絵文字へのカスタマイズを希望している点も印象的でした。
このあたりをちょうど良いバランスで取り込んでいるのはSlackかも知れません。
Slackでは本文に絵文字を含めるだけでなく、メッセージに対するリアクションに絵文字を用いることが可能です。しかも、スマートフォンなどに収録されている絵文字だけでなく、画像をアップロードして自分やその会社オリジナルの絵文字を作っておくこともできます。
Slackが会社のコミュニケーションで人気を博した背景の一つには、こうしたニーズを捉えた絵文字活用もあるのかもしれません。
文字としての進化の道は続いている
Adobeの絵文字に関するブログポストで、個人的に興味深かったのは、調査の中身に入る前の冒頭の部分でした。絵文字を支えているのは「カラーフォント」と呼ばれる技術だというのです。
iモードで絵文字が収録された1999年、当時のケータイはモノクロ画面しかなく、絵文字も現在の塗りがあるイラストというよりは、単色の線画でした。今より文字っぽかった、という印象すらあります。
今日の絵文字は、1つの文字の中に複数の色が使われ、塗りやグラデーションも含まれています。しかも、PowerPointやKeynoteといったスライド作成アプリで絵文字の文字サイズを思いきり大きくしても、他のフォントの文字と同じように、滑らかなイラストで再現されます。
絵文字なんだから当たり前だ、と言ってしまえばそれまでなのですが、実はいままでの「フォント」の概念を大幅に拡張している、と見ることもできるのです。
また、文字なので、文字コードが振られており、これによって検索もできます。例えばInstagramでは、「#🍡」のように、絵文字をハッシュタグ化することができ、これをタップすればダンゴのハッシュタグがついた投稿を集めることができます。
TwitterはInstagramと違い、ハッシュタグが広告媒体になっています。広告化されているハッシュタグには、自動的に文字の後ろにオリジナルの絵文字が入る仕組みです。そのため、絵文字オンリーハッシュタグという存在を認めないかもしれませんが、絵文字でタイムラインを検索でき、やはり文字としての側面を感じることができます。
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