アリといえばアリなんだけど
カテゴライズがかなりむずかしい味
さっそく注文してみて、やってきたガパオ汁なし麺は……どう形容したものかな。「汁なし担々麺」に似ているといえば、そうかもしれません。添えてあるのは、きゅうり。ジャージャー麺、あるいは「盛岡じゃじゃ麺」を彷彿させるたたずまいでもあります。
ええと、まず、麺の上にのっている……なんと呼べばよいのですかね? 「肉味噌」と呼ぶには味噌要素がないし、「あん」ですか? 「ソース」ですか? ともかく、この部分が肝心です。
塩気が効いていて、かなりしっかりした味です。激辛というほどではありませんが、ピリッとした辛味が印象的。鶏肉がそぼろのように小さく刻まれて入っており、なんだか「あんかけチャーハンの“あん”部分」のような。
そこにガパオ(?)の独特な香りが加わることで、中華風ともエスニック風ともつかない、不思議な味わいになっています。濃いめの味付けなので、輪郭がボケているということはありません。麺は、とくに可もなく不可もなくといったレベルですが、押し出しの強い味と個性的な香りを受け止めるぶんには悪くありません。
このメニュー、いわゆるタイ料理店で提供されるガパオライスをイメージすると、上の部分(と呼べばよいのか)にはとろみがありすぎる。一方、あくまで中華料理の派生、たとえば担々麺のようなものと考えると、香りが独特すぎる。
しかし、けっして悪いことではない。とろみが強いぶん麺にからみやすくなっていますし、ともすれば単調なテイストになりそうな塩気と辛味に、個性的な香りがアクセントとして加わることで、「汁なし麺」として成立するバランスにはなっています。
なお、添えてあるきゅうりは……まあ、合わないということはありませんが、バッチリ合う! これがないとダメ! というほどでもありません。パクチーあたりを添えればよりタイ風になったかもしれませんが、おそらく既存の「黒酢しょうゆ冷し麺」などで使われるきゅうりの流用なので、仕方ないでしょう。あくまで、日高屋のバジルチキンライスのアレンジなのです。「アレンジってなに?」という思いはあるにせよ。
ミステリーな組み合わせ
「どうしても気になる」なら食べてもよし
おいしいか、おいしくないか、と言われれば、おいしくないわけではない。アリです。ただ、「未知の大発見! 激ウマ!」となるほど絶妙なクオリティーでもない、かなり評価に困るメニュー。既存のカテゴリーに収めにくい変わった味で、フォロワーも出てこなさそうです。590円という高すぎず安すぎずな価格も、ますます判断をむずかしくさせます。
食べ終わっても、ガパオ+汁なし麺という、ミステリーな組み合わせを理解することはできませんでした。悪くはないものの、これでなくてはと思わせる相性のよさはない。どうにも釈然としない、でも飛び抜けたキワモノとも言い切れない、なんとも説明しづらい存在。
正直、これは「バジルチキンライスがヒットしたから、麺にも流用してみるか」以上のものではないかもしれません。原点とか、多角化とか、そんな重たい理由などは、最初からまったく背負っていないのでしょう。
それでも、どうしても気になる人は、やはりトライしてみてほしい。日高屋でしか食べられないものであることは確かです。個人の感想ですが、すくなくとも、ひどい味だということはないと思うので……。
ガパオ汁なし麺という謎に満ちた新メニュー、この先は君自身の舌で確かめてくれ! と、KADOKAWAグループらしいメッセージで記事を締めたいと思います。
モーダル小嶋
1986年生まれ。担当分野は「なるべく広く」のオールドルーキー。編集部では若手ともベテランともいえない微妙な位置。
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