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Intel SSD 660pやOptane Memory単体版との性能差は?

Optane Memory H10を使い倒してわかった利用制限と性能

2019年05月23日 10時00分更新

H10の性能を単体パーツと比較

 さて、ここからはH10のSSD部とOptane部の性能が、それぞれSSD 660pやOptane Memory単体版とどの程度異なるのかを検証していく。今回試すH10はSSD部が512GB、Optane部が32GBのため、SSD 660pは512GBモデル、Optane Memory単体版は32GBモデルを用意。H10はSSD部とOptane部それぞれの素性を調べるために、Optaneキャッシュを切った状態、つまり別個のドライブとして認識している状態で検証する。

 テストは定番の「CrystalDiskMark」のほか、「TxBENCH」を使用した。検証環境は以下となる。

検証環境
CPU Intel「Core i5-9600K」(6C/6T、3.7~4.6GHz)
マザーボード ASUS「PRIME Z390-A」(Intel Z390)
メモリー Samsung「PC4-2133P-UA1-10」(DDR4-2133、8GB×2)
ストレージ Intel「Optane Memory H10 with Solid State Storage」(NVMe M.2、512GB SSD+32GB Optane Memory)、Intel「SSD 660p SSDPEKNW512G8X1」(NVMe M.2、512GB SSD)、Intel「Optane Memory MEMPEK1W032GAXT」(NVMe M.2、32GB Optane Memory)
OS Microsoft「Windows 10 Pro 64bit版」(October 2018 Update適用)

 まずはCrystalDiskMarkの結果から見ていこう。H10のSSD部とSSD 660pを比較した場合、大きな違いが見られたのはシーケンシャルリードの速度のみである。H10のSSD部が1626MB/sだったところ、SSD 660pは1847MB/sと221MB/sほど速かった。それ以外の項目についてはほぼ同等で、誤差レベルと言っていい性能差だった。

 この差は内部インターフェースの最大転送速度が大きく関係している。H10のSSD部は最大転送速度が2000MB/sのPCI Express 3.0×2接続であるのに対し、SSD 660pは最大速度が4000MB/sのPCI Express 3.0×4接続となる。そして、PCI Express 3.0×2接続の場合、概ね1600MB/sから1700MB/sぐらいが実効転送速度の限界になる。そのため、H10のSSD部はSSD 660pと比べてシーケンシャルリードで差がついたのだ。

 逆に言えば、シーケンシャルリード以外の性能差はほぼないので、この接続インターフェースの制限さえなければ、H10のSSD部とSSD 660pの基本的な性能はほぼ同じになるはず。SSD部の純粋なポテンシャルはSSD 660pと同等と考えて良いだろう。

SSD 660pのCrystalDiskMarkの結果。シーケンシャルリードがH10のSSD部よりも速いが、それ以外の速度はほぼ同等だ。

H10のSSD部のCrystalDiskMarkの結果。内部インターフェースの帯域不足で、シーケンシャルリードがSSD 660pよりも遅くなっている点に注目してほしい。

 次は、H10のOptane部とOptane Memory単体版の違いを見てみよう。こちらはファームウェアの味付けの違いが顕著だった。H10のOptane部は4KB(QD32)ランダムリードの速度はOptane Memory単体版よりも約90MB/sほど遅いものの、逆にライトの速度はシーケンシャルもランダムも全般的に60MB/s以上速かった。

 この違いはH10のOptane部がそもそもH10のSSD部のキャッシュ専用に用意されている点に要因がある。つまり、用途を考慮して、Optane Memory単体版よりもライト速度の高速化に振った調整を施していると考えるのが自然だろう。

Optane Memory単体版のCrystalDiskMarkの結果。4KBランダムリード(QD32)はH10のOptane部より約90MB/sほど速い。

H10のOptane部のCrystalDiskMarkの結果。シーケンシャルライトやランダムライトの速度が、Optane Memory単体版よりも60MB/s以上速い。

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