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Intel SSD 660pやOptane Memory単体版との性能差は?

Optane Memory H10を使い倒してわかった利用制限と性能

2019年05月23日 10時00分更新

アプリケーションのロード速度で見るH10の性能

 最後は、実際のアプリケーションのロード時間比較でその実力を見てみよう。検証に使用したのは、画像編集ソフト「GIMP」と「ファイナルファンタジーXIV 紅蓮のリベレーター」の公式ベンチマーク。なお、比較用にSSD 660pのほか、Intelの高速NVMe SSDである「SSD 760p」を用意した。Optaneキャッシュは有効にした状態と無効にした状態、両方の結果を掲載する。

 まずは画像編集ソフト「GIMP」を使用したベンチマークの結果から見ていこう。140枚の写真(合計500MB)を順次ロードし、読み込んだ写真に修正を加えた後、別フォルダーに保存するのにかかった時間を計測している。また、このベンチマークはバックグラウンドで何も行なっていない状態で実行したときと、バックグラウンドで容量18GBのファイルを2回コピーしながら、実行したときの2種類の条件で実施した。

バックグラウンドで何も行っていないときにGIMPで処理を行なうと、どの製品も処理時間が横並びに。

 バックグラウンドで何も行なっていないときはすべて横並びになった。写真の枚数はそれなりに多いが、処理が比較的軽いことに加え、シングルスレッドの動作になるため、大きな差が出なかったようだ。

バックグラウンドで処理を行なっている場合は、自力の性能が高いSSD 760pが最も速く、次いでOptaneキャッシュを有効にしたH10となった。

 一方で、バックグラウンドでファイルコピーしながらテストした場合は、負荷が増えたことによってマルチスレッド処理になり、各個の性能差が表われた。トップは自力の性能が最も高いSSD 760p、Optaneキャッシュを有効にしたH10は約22秒遅れの2番手。次いでSSD 660p、ビリはOptaneキャッシュ無効のH10となった。

 H10はOptaneキャッシュを有効にしたことにより、約14秒ほど高速化している。これは2回目のバックグラウンドコピーでOptaneキャッシュが利き、そこで浮いたリソースのぶん、無効時よりも高速になったのだろう。つまり、写真編集や動画編集をしながら、頻繁に比較的大きな同じデータを整理するといった作業をすると、H10のポテンシャルは活かされるということだ。

 続いて、ファイナルファンタジーXIV 紅蓮のリベレーター公式ベンチマーク(以下、FF14ベンチマーク)の結果を見てみよう。このベンチマークは6つのシーンのローディングタイムを計測し、合計してくれる。

 また、現在のOptaneキャッシュは、特定のフォルダーやファイルを優先的にOptane Memoryに配置するピン留めという機能が搭載されている。この機能の効果を調べるために、このベンチマークを実行しているフォルダーを登録した(ピン留めした)状態でも検証している。

Optaneキャッシュを有効にすると、特定のフォルダーやファイルをピン留めする機能を利用できる。ピン留めされたフォルダーやファイルのアイコンには、ピンのアイコンが付加される。

FF14ベンチマークの結果。H10のOptane有効時は2回目以降で5~6秒短縮している。

 Optaneキャッシュを有効にした場合、キャッシュされるデータ量が増える2回目以降にローディングタイムが短くなる。ゆえに、1回目は素の性能が高いSSD 760pに負けているが、2回目以降はH10が勝つという番狂わせが起きている。

 また、H10はピン留め時に最速タイムを記録しているが、フォルダー登録を行なっていない場合と比べると誤差の範囲といった具合だ。もともとOptaneキャッシュの内容が書き換わるのを明示的に防ぐ機能なので、ピン留めしたからといって劇的に高速化するというわけではない。あくまでOptaneキャッシュがほかのデータのキャッシュで埋まってしまわないよう、優先的にキャッシュしてほしいデータを指定する方法だと理解していただきたい。

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