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起業準備者を後押しする「かながわ・スタートアップ・ガイダンス」最終回

創業7ヵ月後でKDDIと業務提携 凡人でもイグジットできる起業法

2019年04月26日 08時00分更新

文● MOVIEW 清水

ベンチャー企業向けの融資制度を紹介

 続いて日本政策金融公庫 南関東創業支援センターの関谷善行氏が登壇し、ベンチャー企業向けの融資制度を紹介した。

日本政策金融公庫 南関東創業支援センターの関谷善行氏

 日本政策金融公庫では、スタートアップが試作品から製品を作り、スケールしていくための資金についていくつかの融資制度を揃えている。

スタートアップがスケールしていくまでの期間をまとめたグラフ

 資本制ローンは特許を活かしていくときに使える制度で、最大4000万円までの融資を受けることができる。特徴は、返済期間が5年1ヵ月以上15年以内となっていることで、期限一括返済となる。返済までの5年間は利息のみを支払うことで資金が使える融資となっている。その利息の支払いも売上高減価償却前経常利益率が5%を超えた黒字となった場合には5.3%という高い金利となるが、創業期赤字になるスタートアップではもっとも低い1%という金利となる。

資本制ローンでは最初の5年間利息の支払いのみで資金が使える

 このローンでは期限前に一括返済ができないため、IPOやM&Aをするといった際には障害となることもあるので注意が必要だ。関谷氏は、日本政策金融公庫では資本制ローン以外にも各種融資制度を取りそろえているので、まずは相談してほしいと語り、紹介を終えた。

凡人でもイグジットできる起業法

 最後に実施されたのは、StartPoint社 代表取締役の小原聖誉氏による「大企業にバイアウトした社長が語る、凡人でもイグジットできる起業法」というセミナー。小原氏はスマートフォン向けコンテンツビジネスを支援するAppBroadCast社を創業し、7ヵ月後にはKDDIと業務提携、その後mediba社に株式譲渡を行なった経歴の持ち主。本セミナーではどのような発想で大企業との提携を実現させ、イグジットできたかが語られた。

StartPoint社 代表取締役の小原聖誉氏

 このセミナーでは、自分の経験を照らし合わせたときに、なにが使えるのかを意識して話したいという小原氏は、自分の経験をもとに業界を読み解くことが大事であり、業界を読み解ければイグジットはできると語る。そして、自分はイグジットできたのは、同じことを2回経験したからだという。1回目はわかっていなかったが、それを経験したことで業界がどのようになるかを知っており、2回目は戦略的に行なったと語る。

 この状況ではゲーム会社がどのような課題を抱えていて、半歩先にどうなるのかが2回目だから見えていたという小原氏。この課題に関して2回目だから解決できるという当たり前のロジックがあったが、それを売り込むのではなく、この業界がどうなっていくかというディスカッションをした結果、KDDIと業務提携できたと語った。

業界を読み解き、売り込むのではなく対話ができたことが業務提携につながった

 この後、小原氏が経験してきたガラケーでのビジネス、そしてスマホでのビジネスが語られ、ガラケー時代の経験を通してスマホ時代の業界の動きを読み解き、KDDIとの業務提携、そして売却についての詳細が解説された。

 必要なことは、自分の経験してきたことを丁寧にアウトプットすること、そしてこれからの期待値の中で何が使えそうか考え、新市場を探すことという小原氏。さらに大企業との業務提携を打診し、業務提携できれば事業会社から出資される。出資されれば買収は基本的なロジックなのでイグジットできるという考えを示し、セミナーを終了した。

イグジットへのストーリー。もっとも重要なことは自身の経験をもとに新市場を目指すこと

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