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「FUKUOKA STARTUP SELECTION 2018」レポート

スタートアップの持つ企業価値こそ知的財産

2019年03月28日 06時00分更新

 福岡のスタートアップコミュニティーの中心地「Fukuoka Growth Next」で、2018年11月29日、30日に開催された「FUKUOKA STARTUP SELECTION 2018(フクオカ・スタートアップ・セレクション2018)」。福岡のスタートアップ企業、投資家、大手企業が一堂に会して、ビジネスチャンスを広げるためのマッチングイベントだ。

 2日間にわたって100人以上が集まり、オープンイノベーションのテーマにした基調講演に始まり、ピッチイベントやファッションをテーマにしたアイデアソン、ビジネスマッチングのための懇親会が実施され、連日のネットワーキングも盛り上がりを見せた。中でもFukuoka Growth Nextのリニューアルオープンを発表する記者発表会には、福岡市長の高島宗一郎氏が直接、会見に参加するなどスタートアップシティを目指す市長のコミット力の高さが感じられた。

 福岡市の旧大名小学校を再利用して運営されている、官民共働型スタートアップ支援施設「Fukuoka Growth Next」は2017年4月に開設。以来、入居企業24社に約70億円の資金調達、130名を超える新規雇用を創出した。今回、福岡地所、さくらインターネットに加わえて、新たにGMOペパボが共同事業社として運営の仲間入り、2019年5月31日のリニューアルオープンすることが決まった。ペパボは2003年にpaperboy&co.の名前で福岡市にて創業した地元企業、若年層向けの格安レンタルサーバー「ロリポップ!」などの事業を手掛けている。

 リニューアルオープン後はアジアのハブ支援組織として、グローバルアクセラレーターとの連携、10億円規模のシード向けスタートアップファンドの組成、ハンズオンプログラム、エンジニア育成プログラムを目玉により、スタートアップの集積地としてサポートしていくとしている。

 多数の個別セッションも2日間にわたって行なわれたが、29日15時に実施された「スタートアップだからこそ、知っておきたい知財戦略」は、スタートアップ企業と知財をマッチングすることを目的に知財の重要性を伝えるビジネスセッションだ。

 知財戦略で先行する福岡のスタートアップ企業の成功談や失敗談から、知財戦略がいかにスタートアップにとって重要か、また知財へのアプローチ方法を知ることができた。

 登壇したのは経済産業省特許庁の貝沼憲司氏、kyulux CTO 兼 知財部部長の岡田 久氏、炭化 代表取締役社長の入江康雄氏、ASCII STARTUPのガチ鈴木の4名。

経済産業省特許庁の貝沼憲司氏

 貝沼氏はセッションの冒頭で特許庁が推し進めるスタートアップ支援施策を「スタートアップだからこそ、知っておきたい知財戦略」という題で紹介。特許申請の早期対応やスタートアップ向けのプラン紹介、また先行するスタートアップ企業の知財戦略事例など、特許庁の支援も活発化してきている。

 信用や設備、お金がないなか、スタートアップの持つ、破壊的技術、アイデアなど企業価値がニアリーイコールで知的財産であると説明。しかし、まだまだ日本では知財への関心、意識が低いことを指摘。知財は事業を守るだけでなく、大手とのオープンイノベーション、事業提携などのさいの「連携」や資金調達、事業維持のための「信用」につながっていくとした。

 その意識を高めるためにやっている活動が、知財関係者とのマッチングなどだ。今回の福岡コミュニティーへのイベント参加も取組の1つ、セミナーやイベントをとおして、スタートアップと知財関係者の「知財コミュニティ」を構築しようとしている。知財戦略アクセラレーションプログラム「IPAS」も実施し、この日、パネルディスカッションに登壇した九州大学発のスタートアップ企業「kyulux」はIPASにも参加している。

 第3世代青色有機EL発光材料の実用化、ビジネス化を狙う企業。大学発スタートアップらしく、知財に関わる部分は意識を強く活動している。

kyulux CTO 兼 知財部部長の岡田久氏

 一方、炭化は独自の鮮度保持剤を販売する九州のスタートアップ企業。海外戦略を見据えて、弁理士との戦略について語るなど、生の声を聞くことができた。

炭化 代表取締役社長 入江康雄氏

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