東京急行電鉄株式会社は2019年3月20日、スタートアップとの事業共創の成果発表イベント「東急アクセラレートプログラム2018 Demo Day」をセルリアンタワー東急ホテルにて開催した。
東急電鉄では、2015年度から、スタートアップとの事業共創を図る「東急アクセラレートプログラム」を実施している。今回のDemo Dayでは、2018年度に採択されたスタートアップ7社との事業共創のピッチが行なわれ、最優秀賞には、料理人の起業支援プラットフォームの「アスラボ」と東急百貨店との共創が選ばれた。
「東急アクセラレートプログラム」は、スタートアップとの事業共創によって、東急線沿線の生活利便性を高める新たな価値創出を目的に2015年度にスタート。2018年度で第4期目を迎える。例年は年に1度の公募だったが、2018年度からは、通年募集となっており、企業のステージにかかわらず、上場企業でも応募できるのが特徴だ。
審査を通過したスタートアップは東急グループの施設や調査データなどを利用してテストマーケティングを行ない、その結果によって業務提携や出資が検討される。過去1~3期の応募企業からは、6社との業務提携が実現。今期は過去最高となる153件の応募があり、審査を通過した7社と事業共創を進めてきた。
今回のDemo Dayでは、Clip Line株式会社、株式会社リビングスタイル、株式会社超十代、株式会社ブルームスキーム、株式会社アスラボ、Yper株式会社、株式会社STANDING OVATIONの7社による事業共創ピッチを実施し、最優秀賞、優秀賞、審査員特別賞、オーディエンス賞を決めた。
双方向性動画による技術指導で、建設現場のオペレーションを改革
ClipLine×東急建設株式会社
「ClipLine」は、双方向動画を使ったクラウドOJTサービス。一般的な動画マニュアルでは、一方通行なため、従業員が技術をきちんと習得できたかどうかがわかりづらい。ClipLineでは、指導者がお手本の短い動画を投稿し、新人はそれを見て実践した様子を動画のレポートとして投稿することで、指導者からフィードバックが受けられる仕組み。クラウドでシェアされるため、離れた拠点の複数の社員にもノウハウを効率よく伝えられるのが特徴だ。
サービス産業を中心に、6千店舗、12万人以上に利用されており、導入企業は、離職率が3分の1、教育時間が4分の1に削減されたという。2017年5月には「映像音声クリップを利用した自律的学習システム」として特許取得している。
今回は、現在3割が60歳以上と高齢化しており、技術やノウハウを若い従業員へ継承し、生産性を上げることが課題となっている建設現場で働く人材がターゲットだ。東急建設との共創では、ClipLineの導入により、人材教育に加えて、オペレーションの改革を目指す。
現在、教育コンテンツを作成中で、2019年春からの社内研修に試行。今後は、現場と本部の情報伝達手段にも双方向性動画を活用し、新しいオペレーションモデルを構築する計画だ。
週刊アスキーの最新情報を購読しよう
本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ている場合があります