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Boxを業務データの統合リポジトリに

業務アプリを手軽に作れる「Box Platform」が日本でも利用可能に

2019年03月15日 09時00分更新

 Box Japanは、カスタムアプリケーションを手軽に構築できる「Box Platform」の国内提供開始に関する記者発表会を開催した。代表取締役の古市克典氏はFY20の事業戦略の説明、事業開発部 執行役員の安達氏はBox Platformの概要などの紹介が行なった。Box Platformは、4月1日より国内での提供を開始する。

Box Japan代表取締役社長の古市克典氏

Boxの国内契約数は4200社以上、日経225銘柄のうち44%にのぼる

 まずは、Box Japan代表取締役社長の古市克典氏による「FY20 Box Japan事業戦略」についての説明があった。現在、Boxを有料契約している企業は9万2000社以上、フォーチュン500の7割が利用している。今回初めて日本のマーケットシェアについても発表され、契約企業数は4200社以上、日経225銘柄のうち44%、攻めのIT経営銘柄2018のう75%が利用しているという。ちなみにFY20とは、来年の1月末に終わる現在の会計年度のこと。

「さらなる進化を遂げようと考えております。広義の意味でのECM(エンタープライズ・コンテンツ・マネジメント)は1兆円の市場規模があり、年々成長しているマーケットです。このECMを利用している3社に1社がクラウドに移行しようとしています。その結果、CCM(クラウド・コンテンツ・マネジメント)に移行することで、大きなマーケットが現れようとしています。Boxはこの市場を先頭に立って創造したいと考えています」(古市氏)

国内導入社数は4200社を超えた

 そこでBoxは今期に注力するコンセプトとして、CCMとBoB(ベスト・オブ・ブリード)を打ち出した。BoBとは動物の繁殖で使われる言葉で、それぞれの種ごとに最高の個体を掛け合わせてより強力な個体を作ると言うこと。それをITの世界でも実現するため、Box Platformとワークフロー、メタデータ、セキュリティ&ガバナンス、より完璧なシステム安定性といった5つの製品群で支えるという。

「BoBパートナーの方と一緒に、お客さまの働き方改革とデジタルフォーメーションを実現したいと思っています。BoBシステムを作ることで、日本のお客さまがクラウドを導入する時の心理的なバリアを取り除けると思っています」(古市氏)

Boxはこれから生まれるCCM市場を創造していく

 これまでの日本の企業は、オンプレミスのシステムをカスタマイズするのが得意だった。しかし、クラウドサービスを使えば開発スピードが速く、コストも安く抑えられるというメリットがある。

「どうしても業務に合わせてカスタマイズするという声はありますが、それを解決するのが新しいカスタマイズです。それぞれの機能ごとに複数のSaaSを選択できます。その中から、業務にもっとも適したSaaSを引っ張ってきてBoxのAPIを通じてつなげます。Boxはグローバルでは1400以上、日本発では140以上のサービスと連携しており、Boxにさえコンテンツを入れてもらえれば、最新のSaaSがすぐに使えるようになります」(古市氏)

 なお、グローバルシェアのうち日本の契約数が5%以下なのは、「アップサイドポテンシャルがあると思っております」と市川氏。さらには、日本ならではのポイントもあるという。

「日本の企業は全社一括導入が多いです。海外ではマーケ部門など一部に入って、そこからじわじわと社内に展開していくスタイルが一般的です。日本のお客さまが、セキュリティを特に重視されているのが理由です。Boxを入れてコンテンツを守るという意味で、全社導入するアプローチになります」(古市氏)

 Boxは企業向けSaaSとして珍しく100%間接販売だけとなっている。販売パートナーと連携する間接販売モデルにはデメリットもあるのだが、BoBシステムにはそれを超える大きなメリットがあるそう。今後はBoxをベースに、BoBシステムを自在にカスタマイズする取り組みを推進し、顧客の働き方改革やデジタル変革を支援していくという。

Boxの利用を成熟させるBox Platformとは?

 続いて、Box Japan アライアンス・事業開発部 執行役員 部長 安達徹也氏から今回の発表のキモとなる「Box Platform概要」が紹介された。

Box Japan アライアンス・事業開発部 執行役員 部長 安達徹也氏

 Boxの利用に関する成熟度モデルは4つに分類されるという。最初がクラウドストレージでデバイスと場所を問わないアクセスが可能な「個人の生産性向上」、次がチームワークプレースとシームレスな社内外コラボが可能な「チームコラボレーション」。これらは、働く場所としての協業をデジタルに変えていく「デジタルワークプレース」を実現している。安達氏は、多くの顧客がここまでにとどまっているという。

Boxが考えるCCMの成熟度モデル。ほとんどの企業は第2段階までしか到達していないという

 この次に「コラボレーティブビジネスプロセス」と「インテリジェントエンタープライズ」というステージがある。ここでは、組織を横断して価値を生むビジネス文書の一元管理、社員やパートナー、顧客間での協業プロセス、一貫したセキュリティポリシー、企業を超えたインテリジェントコンテンツ管理、自動化された協業プロセスや脅威検知と言った「デジタルビジネス」を実現できるという。

 多くの企業は、非構造化データの分散に悩んでいる。Boxを導入していない場合は、ファイルサーバーや情報共有ツールでワークフローを回し、外部とはメール添付や個人向けクラウドストレージでやりとりするという効率が悪い方法が主流だった。ここにBoxを導入することで、シームレスなデジタルワークプレースを実現できるようになった。それでも、ワークフローと密に連携したコンテンツの管理を行うためには別システムが必要になることが多かった。このような「デジタルビジネス」という課題をBoxの中に入れて、業務アプリを利用できるようにするのがBox Platformとなる。

従来の世界。コンテンツの管理方法や管理ツールはばらばらで、ビジネス領域ではまた異なるツールを使っていた

Box Platformを導入すれば、シームレスなデジタルワークプレースとデジタルビジネスの両方を実現できる

「デジタルビジネスからデジタルコラボレーションまで非構造化の一元化はBoxでできるというのがBox Platformによって実現したい世界です」(安達氏)

 Platformと付いているが、一般的なPaaS(Platform as a Service)ではない。連携するアプリのストア先は別のPaaSもしくはIaaS(Infrastructure as a Service)を利用する必要がある。さらには、Boxの日本でのデータの置き場所は東京と大阪にあるが、実はどちらも他社のPaaSを使っている。そこで安達氏はBoxのことを「機能特化型PaaS」と表現した。

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