Cybozu Days 2018で行なわれた技術者向けセッション「今使ってるシステム、物足りないんやったらkintone繋いでみたらいいんちゃう?」の様子を紹介したい。本セッションは、サイボウズの大阪SEメンバーが、他システムとkintoneの連携に関する"つらみ"と"うまみ"を語るというものだ。そのため、タイトルが関西弁になっている。同じ時間には5つのセッションが行われていたのだが、技術者視点からkintoneについて聞くチャンスはレアなので参加してみた。
kintoneとの連携のつらみとうまみを関西弁で
「サイボウズのシステムコンサルタントは、一言で言えばSEです。われわれはグループウェアのメーカーですので、製品の提案が多いです。そのため、SEのことをシステムコンサルタントと呼んでいます」と進行を務める木村氏からスタートした。
システムコンサルタントには、技術支援と技術教育、SI、2ndパーティ、技術マーケティングという大きく5つの役割があるという。日々、ユーザーやパートナー、場合によっては社内に向けて、幅広く技術的なサポートを行なっているのだ。
まずはシステムコンサルタントの竹内能彦氏が、「地図サービスをkintoneと繋げたらごっつええ感じ」というお題のセッション。kintoneと地図を連携させるニーズは高いそう。例えば、営業訪問する際、現在位置の近くにある顧客を知りたい場合、一覧から探すのは手間がかかる。地図で確認できれば、一目瞭然になる。もしくは、今いる位置情報を使ってデータを登録して設備管理を行ないたいという要望もある。
Googleマップの場合は料金体系がわかりずらく、従量課金なので使いにくいという課題がある。反面、オープンソースの地図である「OpenStreetMap」は地域によっては地図の精度が悪くなったり、位置情報を住所に変換する精度に課題があった。これまでの地図連携全般で操作性がよくないといった問題もあった。kintoneの一覧画面に地図を埋め込んだ場合、立っているピンの場所は変わらないので、地図移動させたりズームアウトさせると位置がずれてしまったのだ。
「この連携を書いたのは私で、反省してます。そんな時に、出会ったのが「カンタンマップ」というソフトです。地図にピンを立ててその情報を入力したり、表示できます。情報をローカルに保持するオフライン版です」(竹内氏)
オフライン版のアプリと連携しようと思ったのは、阪神大震災の時の経験が開発のきっかけになったからだそう。災害時にはネットワークが使えるとは限らないためだ。この「カンタンマップ」は自治体や建設コンサルタントで利用されているという。
この「カンタンマップ」とkintoneを連携することで、複数台の端末でリアルタイムに情報共有ができるようになった。もちろん、「カンタンマップ」側ではサーバーの管理は不要。グラフ作成や印刷が可能になったのもメリット。kintone側では、地図ファーストの操作性が実現できた。
「カンタンマップ for kintone」は2015年10月に開発を開始し、サイボウズへほとんど問い合わせなしに2016年2月にはデモができたそう。10月にベータ版のリリースとなり、開発から1年というスピードだ。kintoneはアプリの開発が簡単なのが特徴だが、cybozu developer networkに情報が公開されており、カスタマイズも比較的容易なのがメリットだという。
「いくら開発が簡単で、情報が公開されているといっても、ノウハウまでは共有されていないのが現状です。そういった時は、サイボウズのシステムコンサルタントに頼るといったことが考えられます。今回は足りないREST APIの追加でも貢献することができました」(竹内氏)
たとえば、レコード更新をリクエストすると、更新権限があれば成功するし、なければ失敗する。それまでは権限がないことが、失敗するまでわからないという状態だったのだ。そこで、REST APIを追加するのだが、kintoneへの機能追加の要望は何百何千もあるそう。最初、kintoneのプロジェクトマネージャに要望を上げたときには、エラーになったら権限がないってわかるのだからいいですよね、と言われたという。
さらにREST APIのリリース状況を見ると、2015年、2016年は3回、2017年には1回となっている。REST APIのブームは去っている雰囲気で、竹内氏は、追加されるのは難しいんじゃないかと感じたそう。しかし、2018年6月のアップデートで権限を取得できるようになった。システムコンサルタントの努力が実を結んだというわけだ。
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