ディズニー・ワールドの集大成
『アナと雪の女王』以降のディズニーには、現代的な女性像を描くという点では限界を感じる部分があった。『ズートピア』と『モアナと伝説の海』にも特筆すべき点はあるものの、『プリンセスと魔法のキス』以降の男女が協力するという物語に変化はない。ピクサーは『インクレディブル・ファミリー』のなかで、「強い父」へのこだわりを捨て、女性の社会進出と男性の家庭進出を描いてみせた。現代性だけ抜き取ると、ディズニーはピクサーに追い抜かれてしまったように思えた。
だが、今作では物語が進むにつれて、ヴァネロペが過激なオンラインゲーム「スローターレース」に自分自身の居場所を見出していく。リッチ・ムーア監督は、彼女の道のりには、だれかに「ここにいるべき」と言われる場所ではなく、自分自身の求める場所にいても良いという想いを込めたと語る(同インタビューより)。この主張は、きわめて現代的であり、ぜひ注目してほしい部分だ。
近年のディズニーは、ピクサー、マーベル、ルーカスフィルム、21世紀フォックスを買収した。今作にはディズニーのお城の形をするウェブサイト「OH MY DISNEY」のなかで、『スター・ウォーズ』シリーズのストームトルーパー、『アベンジャーズ』シリーズのアイアンマン、『ズートピア』のニック、『トイ・ストーリー』のバズ・ライトイヤーなどが出演する。
プリンセス専用の部屋では『白雪姫』の白雪姫や、『眠れる森の美女』のオーロラ姫、『美女と野獣』のベル、『アナ雪』のアナとエルサなど、歴代のディズニー・プリンセス14名全員も再登場。2019年、ディズニーは動画ストリーミング・サービス「Disney+」を立ち上げる予定(日本では未定)だ。今作を観ると、ますます楽しみになってきた!
●文:上代瑠偉
●評価:★★★★★
●公開情報
・シュガー・ラッシュ:オンライン 原題:Ralph Breaks the Internet
・2018年12月21日全国公開
・監督:リッチ・ムーア
・監督&脚本:フィル・ジョンストン
・製作:クラーク・スペンサー
・日本版声優:山寺 宏一、諸星 すみれ、菜々緒、小鳩 くるみ、鈴木 より子、すずき まゆみ、小此木 まり、平川 めぐみ、麻生 かほ里、土居 裕子、鈴木 ほのか、中川 翔子、大島 優子、松 たか子、神田 沙也加、屋比久 知奈
・配給:ウォルト・ディズニー・ジャパン
・公式サイト
©2018 Disney. All Rights Reserved.
週刊アスキーの最新情報を購読しよう
本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ている場合があります