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上場を控えたソフトバンクが大規模通信障害で受ける影響

2018年12月07日 11時05分更新

どうなる!? 新規事業への人員配置転換

 ソフトバンクは12月19日に、東京証券取引所への上場を予定している。それゆえ今回の障害が上場時の株価に大きく影響するというのはもちろんなのだが、ソフトバンクが現在推し進めている、通信事業から新規事業への人員配置転換にも影響を与えることになるかもしれない。

 これだけの大規模障害を起こした後だけに、ソフトバンクは当面、信頼回復のためネットワーク改善に人員を割かざるを得ず、当初目論んでいた配置転換が進められなくなるだろう。配置転換は今後の料金競争加速に備えてコストを削減する狙いがあっただけに、今回の出来事がソフトバンクの価格競争力低下を招くことにもなりかねないのだ。

ソフトバンクは通信事業の4割の人員を、新規事業へと配置転換する方針を打ち出しているが、今回の障害でそれが停滞する可能性もある

 だが2018年の動向を振り返ると、ソフトバンクは大規模災害に起因するもの以外にも、ネットワークやそれに関連する障害や不具合を相次いで起こしている。2月に工事の影響による不具合で固定電話と通話がしづらくなる通信障害が発生。4月にもソフトバンクの携帯電話の一部で音声着信が利用できないなどの不具合を起こしているが、9月にはさらに、迷惑メールフィルターの不具合で約1030万通のメールを消失させるという大規模なトラブルまで生じさせている。

 ソフトバンクは前身の1つであるソフトバンクモバイル時代、スマートフォンの急速な普及の影響などによってライバル他社が相次いでネットワークの大規模障害を発生させる中、重大事故を発生させていないとして自社ネットワークの優位性をアピールしていた。だがここ最近は逆に、他社よりも大きな障害が目立つ印象だ。成長を求め新規事業に力を入れるのも重要かもしれないが、生活インフラとして欠かせない存在となったモバイルネットワークインフラの重要性を、ソフトバンクにはあらめて認識して欲しいところだ。

ソフトバンクはソフトバンクモバイル時代、ネットワークの重大事故を起こしていないことを強くアピールしていたが、最近は他社よりも事故が目立つ印象だ


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