ミリ波を使った5Gの商用化が近づいている
型番やミリ波も含めた5Gに対応することがうたわれたSnapdragon 855だが、4日の基調講演で明かされたのは、あくまで“さわり”といったところ。CPU、GPUの構成や、細かなパフォーマンスなどは、Snapdragon Tech Summit終盤で明かされるとみられる。初日の基調講演で強調されていたのは、5G、特にミリ波を使った5Gの商用化が近づいているということだ。ここには、先に挙げたクアルコムのSnapdragon X50 5Gモデムが使われるほか、同社が提供するアンテナソリューションの「QTM052」も必要になる。
クアルコムのソリューションを使えば、sub-6(6GHz以下の周波数帯)だけでなく、周波数の高いミリ波もカバーでき、5Gの持つ本来の力を容易に発揮できる――これが、4日の基調講演全体を通してのメッセージだ。特に対応が難しいのが、28GHz帯や39GHz帯などのミリ波で、こうした周波数帯は、電波の直進性が非常に強くなるため、これまでの周波数帯とは、エリアの構築方法が大きく変わってくる。
さらに、小型のスマートフォンでは、アンテナの実装が難しくなる。スマートフォンの場合、ミリ波だけに対応すればいいわけではなく、既存の4Gやsub-6なども利用できなければならず、ここに異なる周波数帯の電波を組み合わせるキャリアアグリゲーションなどの要素も絡み合ってくる。これらを満たしたうえで、今の薄さやバッテリーの持ちを維持しなければならない。アモン氏が、「5Gは周波数だけでなく、デバイスも非常に複雑だ」と語っていたのはそのためだ。
こうした事情もあり、「2015年にはミリ波は機能しないといわれていた」(同)。これに対してクアルコムは、ビームステアリング技術を実現。2017年には「モバイルでのミリ波は不可能」(同)と言われていたところに、リファレンスデザインを投入。ミリ波に対する常識を同社の技術で覆してきた。
そして、2018年には「対応できても端末を小型にできない」といった声に対し、モバイル向けのプラットフォームを発表。先に中国・香港で開催された「4G-5G Summit」では、現行のスマートフォンとほぼ同等サイズのミリ波対応リファレンスモデルを披露した。Snapdragon Tech Summitでは、アモン氏が改めてこのリファレンスモデルを紹介。「5Gは、ここにある」と高らかに宣言した。
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