第239回
「Ryzen Master」の新機能「Dynamic Localモード」をねちっこく考察
2920Xと2970WXの価格はお得か?Ryzen Threadripper全モデル検証
WXの弱点を克服する「Dynamic Localモード」が実装される
2970WXと2920Xは先行モデルの廉価版であるため、新規要素はまったくない。だが今回の発売と同時にリリースされたAMD純正チューニングツール「Ryzen Master」のバージョン1.5に、「Dynamic Localモード」という注目すべき機能が実装されたのでこれを紹介しておきたい。
この機能は、2990WX及び2970WX環境でRyzen Master最新版をインストールすると自動的に有効になる。ご存知の通り、4基のダイを運用する「WX」付きモデルでは、メモリーやPCI-Eコントローラーと直接つながっている“IOダイ”と、それらをまったく持たない“コンピュートダイ”が存在する。後者の演算性能はIOダイと一緒だが、メモリーにアクセスする処理ではダイ間を接続する“Infinity Fabric”がボトルネックになってしまい、「IOダイより遅くなる」という現象が発生することが知られている。
これを解決するには、OS側がダイの特性を考えて処理を割り振る、つまりメモリーアクセスの多い処理をIOダイに割り振れるようにする必要がある。WX付きモデルはLinuxで運用するのがベスト、というのはこれが理由だ。
今回Ryzen Masterに搭載されたDynamic Localモードは、「メモリーアクセスの多い処理をIOダイに優先的に割り振る」という機能をWindows 10で実現する。Ryzen Masterを導入するとデフォルトで有効化されるので、2970WXで組む人はもちろん2990WXユーザーにとっても必携のツールとなった。Dynamic LocalモードはOS上のサービスとして起動するため、有効⇔無効の切替時にOSの再起動を伴わないというのも長所である。
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