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美しい写真のその先へ

顔認証の次は何?野菜の栄養までわかるイメージセンサー進化

2018年11月15日 09時00分更新

スマホで野菜を撮るだけで、健康に良いかがわかる

 ではこの先、距離以外にどういった情報を取得するイメージセンサーがスマホに搭載される可能性があるでしょうか。今後の可能性の話を少ししていきたいと思います。

 1つ目の可能性は、より細分化された色を識別できるイメージセンサーです。現在のイメージセンサーは、おもに光の三原色の原理で画像を作り出しています。通常、人間が鑑賞する画像を作り出すにはこれで十分なのですが、より多くの情報を取り出そうとすると不足します。

 たとえば、野菜の栄養素を見たい場合、栄養成分を判別しようとすると、通常の三原色では足らず、もっと色の分解能が必要となります。青、緑、赤だけでなく、黄色やオレンジ、黄緑、青緑、紫、赤紫など多くの色を得られるイメージセンサーを搭載できれば、スマホで野菜を撮るだけで、どの野菜が栄養素を多く含んでいて、健康に良いかがわかるのです。健康に良い野菜を選んで買うことができるスマホがあれば、ほしい思う人もいるのではないでしょうか。

 さらに、イメージセンサーでは、偏光の情報も得ることができるようになってきました。偏光というのは聞き慣れない言葉かもしれないですが、光の進み方の情報です。

 一般的には偏光サングラスなどが売り出されており、まぶしくて見えにくかった物をくっきり見せてくれるサングラスとして知られています。釣りをする際に水面の反射を抑えるために使われたりします。

 この偏光の情報をイメージセンサーで取得することができるようになれば、窓の外から室内の人を撮った時に、窓に反射して、写らないということが起こらなくなります。水族館の泳いでいる魚の様子も、きれいに写真に残すことができるのです。

 このように、世の中にはまだまだ取り出し切れていない情報がたくさん存在し、それはイメージセンサーを用いることで、有効に利用できるようになります。

 ここまでスマホを中心とした話をしてきましたが、情報を取り出すイメージセンサーが利用されるのは、スマホに限った話ではありません。自動車の安全性向上や自動運転にも、距離情報と画像認識の情報が使われています。

 画像を人間が見るのではなく、コンピューターが認識し、ブレーキをかけたり、車線を戻したり、人間を介さず、車自体をコントロールできる世界が来ています。そこで次回は、自動運転に必要な技術を中心として、イメージセンサーの可能性を述べていきたいと思います。

アスキーエキスパート筆者紹介─田谷圭司(たたにけいじ)

著者近影 田谷圭司

大阪大学大学院物理学専攻修了後、大手電機メーカーにて半導体開発に従事。2003年ソニー株式会社に入社し、以降、一貫してイメージセンサーの開発を行っている。現在は、ソニーセミコンダクタソリューションズで、主にMobile製品向けのイメージセンサーの開発を行っている。

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