Slackは会話だけでなく、あらゆる情報を集約する場
そこで主流になりつつあるのが、チャットツールの導入だ。
「チャット」自体はパソコン通信の時代からあるもので、とくに目新しいものではないが、スマホやSNSが発達した現在では、場所を問わずにリアルタイムコミュニケーションが取れるツールとして再評価されている。
Slackは1対1のコミュニケーションとしても活用できるが、複数人、つまり招待された人が参加できる「ワークスペース」を作って使うのが一般的だ。
「チャンネル」と呼ばれる部屋を作って管理し、プロジェクトや業務内容、組織別などに分け、メンバーを割り振ってコミュニケーションに使う。顧客やパートナーなどと協業する場合は、社内に限らず、外部のメンバーも招待可能だ。会社の垣根を超えたプロジェクトの遂行にも役立つだろう。
チャンネルは会議室やオフィスにあるちょっとした打ち合わせスペースのようなものだと考えればいいだろう。会議では議題に対してディスカッションをしたり、資料を配布したり、場合によってはホワイトボードを囲んで理解を深めたりすることが必要だが、こういった機能はすべて用意されている。
写真や図面などを表示した画面を共有(有料版)した議論もできるなど、1つのツールで必要に応じて使い分けられるのも作業効率アップにつながるだろう。
一方でリアルの会議で必須となる、実施する前に参加者の時間を調整したり、資料を紙に出力したり、決まった場所に人を集めたりする手間は不要だ。
インターネットに接続できる機器を持っていれば、どこからでも議論に参加できるし、仮に途中からプロジェクトに参加する人がいた場合でも、過去の議論は見返せる。リアルタイムで打ち合わせに参加できなくても、決定に至った経緯が分かる点もいいところだ。
細かなやりとりはログを見返せばいいし、Google ドキュメントのようなクラウドサービスに決定事項を都度都度、記載していけば、資料配布の手間も必要ない。LINEなどのSNSでは、参加した時点からの会話しか見られないが、Slackではそんなことはない。
こういった情報共有をメールでやろうとした場合は、かなり煩雑になるはずだ。議論の経緯をまとめて全員に送る必要があるし、添付して資料を共有した場合にはバージョン管理や、添付されたメールを探す手間が発生する。また、メール返信で議論が再度発生してしまった場合、重要な情報が埋もれがちだ。
Slackのようなチャットツールを使えば、何か疑問が生じた場合でも、議論を遡っていくだけで自分で解決できる場合が多いし、必要に応じて、個人あるいは複数の人に対して、直接メッセージを送ったり、音声やビデオ通話に切り替えて、質問することができる(無料版の場合は1対1のみ)。
また、アプリを使えば自分宛てのメッセージを通知してくれるので(ブラウザーでも通知可能だがブラウザーを起動している必要がある)、受ける側も見逃すことが少ない。プロジェクト単位、あるいは自分がすぐに回答しなければならないものが見つけやすいので、メールのように、不必要なメッセージを除外するために、1日のうちかなりの時間を浪費するといったことも減るだろう。
メールにはないリアルタイム性と平行作業のしやすさ
メールにはない利点についてもう少し詳しく書いておこう。
Slackはメンションで指定した相手に呼びかけられる。つまり、すべてのメッセージに反応する必要はなく、自分宛の「重要なメッセージ」のみに対応すればいい。メールでは、届いたメールすべてを開いて確認しなければ、自分にとって重要なメールなのかどうかがわからない。結果、頻繁に作業が中断してしまう。通知が来たときだけSlackに反応すればいいし、メールのように決まり文句的な挨拶なども省略でき、本題だけを返せる。モバイルノートであれば文字入力もたやすいので、あっという間に返信できてしまうはずだ。
送る際には、メンバーがオンラインなのかがすぐにわかる。急用があればメッセージを直接投げて確認できるし、電話のように相手の作業を遮ることもない。会話のほうが伝えやすい場合も、一度メッセージを投げて、相手の準備ができてから、ビデオ通話にするなどすれば、相手の都合に合わせて用件を伝えられる。これをメールでやろうとすると、ツール間の行き来やレスポンスを待つ時間などが必要になる。
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