マシンの持ち出し禁止解除に悩む企業は多い
VAIOが昨年9月にLTE-Xとの共同開発を発表した時点では、まだLTE-Xのもつ技術をどう活かすか考えている状態だったという。そもそもLTE-Xは、LTE over IPをIoT機器向けの技術と考えていた。たとえば監視カメラでの通信をLTE over IPを利用すれば、LTE回線を使わなくても高いセキュリティを確保しつつ、通信費を抑えられる。
そこへVAIOが、PCのリモートアクセスにも応用できるのではと考え提携。VAIOとしてはLTEモジュールを搭載したマシンを推進させたかったので、それとどう組み合わせるかが難しかったそうだ。VAIOのPC事業部商品企画担当の黒崎大輔氏は以下のように述べる。
黒崎 「これから新しくモバイルワークを始めるところはまだ結構あって、持ち出し禁止というところが多い。そういったお客さんの課題は、社員は難しいことはできないという状況で、マシンを外へ持ち出すとなると、いろいろと面倒なことが発生するのではないかという懸念。このVAIO Secure SIMは、利用するためにエンドユーザーは何も覚える必要がなく、今まで通りの使い方をすればよく、あとはこのソリューションが勝手にセキュアネットワークを構築するので、エンドユーザーのリテラシーに左右されないのが最大の売りです。
VPNを使っているお客さんも、管理が煩わしかったりする。VAIOとしてはLTEモジュールを搭載できるので、閉域SIMと組み合わせて利用してもらうというのも1つの選択肢としてある。ただ、お客様の声を聞くと閉域SIMは海外へ行ったときに困るそうで、いろいろと通信網があるなか、閉域SIMの欠点を補えるソリューションはないかと考えたときに、LTE-Xの技術に行き当たったわけです」
IPネットワークならどこでも仮想LTEプロトコルで接続する。
正確に言うとソフト的なSIMで実現できるため物理的なSIMは必要ない。ただ、どこからでもネットワークにアクセスできるモバイルワークとして利用することを考えると、LTEモジュールが搭載されたマシンが最適。今回、物理的なSIMとソフト的なSIMとの連携認証を共同で開発することで実現したわけだ。
モバイルワークを推進して、マシンの社外持ち出し禁止をやめたいが、どうすればいいのかわからないという企業にとって、今回の「VAIO Secure SIM」は、エンドユーザーに負担をかけず、高度なセキュリティが確保できるという点で、とても参考になるのではないだろうか。
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