ヘルスとフィットネスに特化し、健康関連のアプリと機能強化に注力
Fitbitがフィットネス向けウェアラブルデバイスとして生き残るカギとなるのは、Fitbit OSによるサードパーティー製アプリの拡充と、同社がデバイスやコミュニティーなどを通じて収集・蓄積した膨大なデータの活用だ。同社の進めるスマートウォッチ戦略を、Fitbitのシニアデベロッパー・エバンジェリストのフレドリック・ハーパー氏に聞いた。
Webベースの開発キットの無償公開で、開発者のすそ野を広げる
スマートウォッチの良さは、単なる活動量計としてだけではなく、さまざまな文字盤のデザインやアプリの追加によって、ユーザーが使いやすくカスタマイズできることだ。つまり、ユーザーのニーズに合った良質なアプリを提供することが重要になる。そこで、Fitbitではアプリの開発をサードパーティーに委ね、Webブラウザーベースの開発キット「Fitbit Studio」を無償提供している。
開発キットの公開から約8ヵ月で900以上のアプリやクロックフェイスが公開されており、ニュースや株式情報、ゲームなど、多彩なジャンルのアプリが揃いつつあるという。
Fitbit Studioでは、JavaScriptとSVG&CSSを使用し、ノンプログラマやWebデザイナーでも魅力的なクロックフェイスを簡単に作成できる。Pebbleを継承しているので、豊富なサンプルコードやデベロッパーコミュニティがあるのも大きい。作成したアプリは、アプリ ギャラリーを介してユーザーへ配布できる。
コミュニティーの活用で、ユーザーのニーズに合わせたアプリを開発
しかし、今のところ日本語のアプリは少なめだ。クロックフェイス以外の、健康に役立つ便利なアプリが登場しなければ、いままでの活動量計とあまり変わらない。
ハーパー氏によると、開発者コミュニティーの登録者数では、日本人が全世界で7番目に多いそうだ。
「アプリのニーズは、国や地域ごとに異なる。例えば、日本ではスマホアプリ『あすけんダイエット』がヒットしているが、カナダでは全く知られていない。日本のユーザーのニーズにマッチしたアプリが登場してくるだろう」
ポテンシャルの高い外部デベロッパーを獲得するために、Fitbit社からのアプローチも積極的に行なっているそうだ。そのほか、開発者向けイベントやアプリコンテストの定期開催や、開発者からの意見を取り入れた新しいAPIの提供などを通じて、良質なアプリの開発の促進している、とのこと。
アプリギャラリーでのアプリ販売はNG。開発者のインセンティブ確保が課題
Fitbit OS向けのアプリの開発や配布は容易だが、問題は、開発者がどうやって利益を回収するかだ。現状、アプリギャラリーではアプリの販売ができない。これは、質の高いアプリを提供するための壁になるのでは。
「アプリギャラリーで販売ができないのは、AppleやGoogleは、App StoreやPlayストア以外でのアプリ販売を制限しているためだ。今のところ、開発者たちは、サードパーティーの決済サービスを利用するなど、それぞれマネタイズする方法を見つけている」
例えば、トライアウト版のアプリを公開し、決済後に正式版のライセンスコードを発行する、といった方法がとられているが、やはりFitbitから正規の販売手段を提供するか、少なくとも案内するなどのサポートがほしいところだ。
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