7月31日予約開始! 鹿野司氏、西田宗千佳氏がQDレーザのRETISSA Displayを語る
気分はもうボトムズ! 2018年、網膜投影型がVRブームを革命する
意外と深刻な16:9の呪縛
手嶋 ……お聞きしていて、やはり発想の転換は必要だなと思いました。というのも、RETISSA Displayを含めQDレーザ社の製品では投影される画像が16:9に統一されているのです。網膜に映すのだから円や正方形でもいいのではと。
一同 ああ!
西田 現在のVR系って全部16:9なんですよ。ホロレンズを使っているとわかるのですが、16:9だと高さが足りないらしく、首がものすごく動くんです。もっと上下視野を広くしてあげないと、自然な感じにはならないのかもしれません。
鹿野 液晶ディスプレーにもピポット機能がありますよね。縦長のほうが文章の読み書きには便利なんですよ。
西田 たぶんここはゼロベースで、デバイス依存ではなく原理依存で考えていくと面白いことができるはず。
手嶋 MEMSミラーの向きを90度ローテーションさせて、スキャニングの方向が変わればいいだけの話なので、可能ですね。
西田 まあ、人間の解像感は縦と横で全然違いますからね。テレビは横1920×縦1080ですが、横1920で撮られている映像って意外に少なくて、地上波含めほとんどのコンテンツは横1440ドット。見方がわかっていないと、差がわかる人は意外と少ない。データ量で25%ぐらい違うにもかかわらずね。
まずはアイデアソンから始めたい
鹿野 レーザーをはじめ主要部品は、銀色のコントロールボックスに入っているんですね。
手嶋 メガネ側は、ほぼマイクロミラースキャナー(MEMSミラー)のみです。スキャンしたものが目の前の湾曲したミラーに反射して、瞳孔の中に飛び込んでくる形状になっています。
ですから重いものは全部「文鎮」の中です。RETISSA Displayは携帯電話で言うところのショルダーフォンぐらいの世代ですので、これから設計を突き詰めていくことで、どんどん小さく軽くなっていくでしょう。
一般論の話になりますが、スマホサイズにするのはそんなに難しい話ではありません。レーザーは液晶よりも消費電力が少ないので、バッテリーも小さくできます。レーザーモジュールを小さくしてメガネに移すことも可能です。ケーブルも信号線+電源線ですから、バッテリーをメガネに移すことができれば、残るは信号線のみになります。
西田 現状で2時間駆動という話ですが、いまでもそんなにバッテリーを積んでいませんよね。要はどれだけの面積をぴかぴか光らせたいのかと考えればいいわけで、それが数ミリ角ですから、消費電力はLCDより遥かに小さいハズ。
手嶋 そのアナロジーは大正解です。
西田 ということは10年、15年後にはメガネから信号線が出ているだけのバージョンが発売されてもおかしくないと。
鹿野 これ、民生用でもカメラ付けたほうが売れるかも。というのも、医療目的ではなくて、模型を作ったり、新聞を見る際の単純な拡大鏡のニーズがあるんじゃないのかな。
西田 細かい字が読めないときにスマホで撮って、ピッと拡大して、ああなるほど……っていうのは、たぶん、ちょっと年齢が上の人には、あるある話だと思います。それをメガネの中で実現できれば便利ですよね。「ARでなんかすごいエンタメを!」じゃなくて、老眼鏡代わりをしてくれるだけでいい。
鹿野 プラモデルのマニュアル出しながら作るのはいいかもね。あとボーイングがやっているような感じで、パーツを見ると画像認識でパーツ番号が出てくるとか。
西田 そうなるとCMキャラクターは石坂浩二さんですね。模型を作りながら使い方を紹介してくれる(笑)
鹿野 そういった個人でのハックが許される範囲の仕様が公開されていると良いかもしれませんね。特にインターフェースの公開は結構重要なポイントかもしれないな。
西田 映像入力インターフェースをHDMIにしたというのは、たぶん、そういう思惑があるんだろうなと思いました。あとはバラしたときのセッティングがどうのとか、その辺の情報公開も。
手嶋 何らかの形でユーザーのみなさんと共有できたらと思っています。ただ、これを触って一晩二晩で何かモノを作るとなるとハードルが高くなってしまいますので、まずはフレームやホルダーなどのデザイン、あるいは「こんな風に身体に取り付けると便利です」というかたちのアイデアソンもしくはハッカソンから始めたいなと。
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