傘は戻ってくるの? きいてみた
レンタル傘というとちゃんと返却されているのかというのが疑問。私は自分の傘を置き引きされた経験もあり、傘を心なく持って行ってしまう人が残念ながら世の中にはいるものだと実感しています。
ですが、これだけ全国にレンタル傘があるということは、継続してレンタル傘を続けられている理由があるはず。そこで、いくつかのレンタル傘の運営元に、レンタル傘の返却状況と実施している目的をヒアリングしてみました。
ダイドードリンコ「レンタルアンブレラ」(16都道府県)
自動販売機に専用ボックスを設けて通行した方誰でも対象に傘を無償で貸し出しする取組。2018年は北海道、東京、神奈川、埼玉、群馬、茨城、山梨、長野、新潟、愛知、大阪、京都、奈良、和歌山、福岡の計16都道府県で最大500台の自動販売機で展開。
■傘はどれくらい戻ってきますか?
――現在は返却率の測定を行なっていませんが、2016年に関西エリアの返却率を検証した結果は、約7割の傘が返却されていました。
■実施の目的はなんですか?
――日ごろから飲料を買って下さっているお客様や地域の方へ恩返しをしたいという気持ちから始まった地域貢献活動です。一部の傘は鉄道会社の「忘れもの傘」を活用させていだいたリサイクル傘です。今年はJR西日本、JR東日本にも提供いただき、計7社の鉄道会社からの忘れもの傘を提供いただけることになりました。
■返却率の秘訣はなんですか?
――オフィス街といった同じ方が毎日通られる場所、また商店街など地元の方が訪れる場所の自販機などを選定しています。再び訪れる人が多い場所は返却率が高いです。理由として、みなさま借りたものを返したいという気持ちがあるので、返却できる環境づくりが大切と考えています。
登別温泉街「街傘」(北海道)
登別温泉街のお客様や地域の方を対象に傘を貸し出し。各旅館や施設、商店街などに街傘として配布。
■傘はどれくらい戻ってきますか?
――返却は必ずしもお願いしていません。雨が降り続ける時などそのままお使いいただいたり、お土産としてお持ちいただくこともあります。
■実施の目的はなんですか?
――レンタルサービスではなく自治体の委員会で決めた登別温泉街が共有する傘として「街傘」をやっております。温泉街ですので、来ていただいた方におもてなしするために、傘には鬼のマークなど工夫をこらしたイラストを入れています。返却を必ずお願いしているものではないので、お持ち帰りされるお客様もいらっしゃいますが、使用していただくことでいろいろな方に登別温泉街のロゴマークを見ていただき、PRにも役立てられると考えています。
■お客様の反応はどうでしょうか?
――見た目がイラストが入っていてユニークなので、写真を撮られたりして喜ばれているようです。写真を見て登別温泉街に来られた方が、ぜひ持ち帰りたいとお土産にするというケースもあります。
「イクスピアリ」(千葉)
商業施設イクスピアリ利用者向けの館内貸し傘サービス。館内に設置した専用傘立てに自由に利用できる傘を用意。※天候状況により実施を見合わせることも有るそうです。
■傘はどれくらい戻ってきますか?
――ほとんどのお客様がご返却くださっています。
■実施の目的はなんですか?
――イクスピアリへお越しのみなさまに、雨の日でも快適にショッピングやお食事を楽しんでいただこうという思いから始まったサービスです。
■お客さんの反応はどうでしょうか?
――屋外に面した店舗がいくつかあるため、傘をお使いいただくことにより、雨天時のちょっとした館内の移動にストレスがなくなって、より快適に利用できるようになったという声をいただいております。
アトレ吉祥寺「吉傘」(東京)
アトレ吉祥寺や吉祥寺の商店街などで展開する吉祥寺利用の方を対象にしたレンタル傘。傘はリサイクル品で、提供してもらった不要ビニール傘をペイントして「吉傘」としている。
■傘はどれくらい戻ってきますか?
――正直、返却率はあまり高いとは言えません。
■実施の目的はなんですか?
――アトレは地域に根差した施設でありたいという想いがあり、吉祥寺店らしい取り組みはどんなことができるだろうと考えて、アトレが地域を巻き込む形で吉傘を提案しました。不要のビニール傘には「吉傘」のロゴを入れたペイントをしています。イラストレーター、キン・シオタニさんと一緒に傘をペイントするイベントも実施しました。
■どのような成果がありましたか?
――エコ活動として小学校の授業で「吉傘」のペイントをしたいとお声がけいただくこともあります。地域活動として根付いてきた、という実感があります。
それぞれの狙いがあってレンタル傘が成り立っている
レンタル傘ありがたい!!
ひと口にレンタル傘といっても、運営団体や狙いは様々。例えば、吉祥寺の「吉傘」は返却率はそれほど高くないということですが、もともと地域に根差す活動として実施しているため目的は達しつつあるようです。また、同じく地域貢献活動のダイドードリンコの「レンタルアンブレラ」は利用者が不特定でありながら返却率が7割と高め。設置場所の特性を分析し選定するという、自販機ビジネスのノウハウを活かした工夫があります。
「イクスピアリ」のレンタル傘は施設に来訪者を対象にした、利用者が特定できるサービスのため、返却率はかなり良いよう。顧客貢献に結びついています。一方で、登別温泉街の「街傘」は、PRの意味も兼ねているので返却いただかなくても構わないという考え方。それぞれの志しでレンタル傘を実施しています。
いずれにしろ、レンタル傘の背景には雨で困っている人を助けたいという思いがあります。恩恵を受ける人はありがたみを感じて、返却を呼びかけている場合は必ず返すようにしましょう。
……それにしても、傘をささなくてもいいのが私としては一番。早く梅雨が終わるといいなあ!
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ナベコ
寅年生まれ、肉食女子。特技は酒癖が悪いことで、のび太君同様どこでも寝られる。Facebookやってます!
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