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“Pinnacle Ridge”こと第2世代Ryzenで、CPUパワー競争はさらに過熱する

2018年04月19日 22時00分更新

ポイント2:新機能「Precision Boost 2」&「XFR2」

 第2世代Ryzen特有の新機能は、CPUのクロックを負荷状況等により引き上げる“Precision Boost”と“XFR”の改良だ。それぞれ“Precision Boost 2”と“XFR2”と呼ばれる。

 まずPresicion Boost 2だが、これはRyzen Gシリーズに搭載されたものと同一だ。負荷のかかったアクティブなコアが2コア以内なら“Precision Boost”、3コア以上だと“All-Core Boost”という2つのステートを持ち、SenseMIテクノロジーを利用して得られた発熱や消費電力等の情報をもとにCPUのクロックを25MHz単位で細かく調整する。先代Precision BoostではAll-Core Boostになるとベースクロック付近に落ちてしまうが、Precison Boost 2ではAll-Core Boostになってもギリギリまで高いクロックを維持するよう務める。All-Core Boostになってもすぐに熱や電力が限界になることはない、という知見が得られたからこその改善なのだ。

↑Ryzen 7 1800Xと2700XでOCCTを実行する論理コアを1から16まで増やした(横軸)時、実クロック(縦軸)はどう変化するかを示した図。Precision Boost 2を持つ2700Xは徐々にクロックが落ちていくが、1800XはAll-Core Boost状態に入ると一気にクロックが下がってしまう(レビュワーズガイドより抜粋。以下同様)

 そしてもう一つのXFR2は、Precision Boost 2を補強する機能。Ryzenには温度や消費電力がこの程度なら◯◯MHzブーストしてもどの環境でも問題なく動作する、という内部的なテーブルがあり、それに従ってPrecision Boost 2はCPUの動作クロックにブーストをかける。だが現実にはこのテーブルは安全側にマージンが確保しており、実際にはもう少しブーストしても大丈夫な領域がある。XFR2は温度状態を詳しくチェックし、そのマージンを使ってさらなるブーストをかけるというものだ。要するに、CPU温度を下げるほどXFR2で得られる性能ゲインも期待できるということになる。

↑Ryzen 7 2700Xを室温32℃、TDP95W対応の並性能のクーラーで冷やした時を100とした時、同じ32℃でもWraith Prismを使えばCINEBENCH R15のスコアーは4%増、クーラーをNoctuaの高性能クーラーにして“室温20℃環境で”運用すると7%に増えた、とAMDは謳っている

 Precision Boost 2もXFR2も、適切にマシンをセットアップすれば特別な設定なしで動作する。後で紹介する検証環境では、これらの機能を選択的にオン・オフするBIOS上の設定は確認できなかった。

ポイント3:さらに限界へ挑む「Precison Boost Overdrive」

 Precision Boost 2とXFR2をさらに強化する機能「Precision Boost Overdrive」は、第2世代Ryzenの新機能だ。Precision Boost 2とXFR2が発動した状態よりさらにクロックを高い状態に保つというもので、「Ryzen Master」で有効化して利用する。こちらは型番に「X」がつく2モデルのみ利用可能だが、現段階では“Future feature in development”となっており有効化させることはできない。後日対応版のRyzen Masterが出たら詳しくチェックすることとしたい。

↑恐らくPrecision Boost Overdriveはこういうものだろう……という想像図。第2世代RyzenはPrecision Boost 2でクロックがブーストされるが、XFR2とPrecision Boost Overdriveを使えばさらに上積みできる

↑Ryzen Masterはv1.3以降で第2世代Ryzenに対応する。X470マザー環境だと、中央の“Precision Boost Overdrive”ボタンが反応するが、原稿執筆時点のビルドでは“Future feature in development”と出るだけで反応しない。X370だとこのツールチップ自体が出ないので、X470マザー特有の機能と考えられる

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