オーディオ評論家の潮晴男・麻倉怜士両氏による音楽レーベル「Ultra Art Record(以下UAレコード)」第1弾作品「ETRENNE(エトレーヌ)」の試聴イベントが、3月21日に開かれた。
同作がハイレゾ配信開始されたことを記念しmoraが主催したイベントで、会場はon and on株式会社のショールーム「on and onシアタールーム」。当日は麻倉氏に加え、同作でボーカルを務めたジャズシンガーの情家(じょうけ)みえさんが登壇し、制作秘話などを語った。
“きなりの高音質”に情家さんもビックリ
“高音質と音楽性の両立”を掲げて立ち上げたというUAレコード、その第1作となるETRENNEのCDは、ジャズ系では大ヒットと言えるセールスを記録しているという。麻倉氏によるとCD版は各地のイベントですでにデモをしているものの、ハイレゾ版のイベント披露は初めてだと明かした。
両者の違いについて麻倉氏は「決して“高域がキンキン伸びる”という感じではない、非常に臨場感のある自然な感じに出てくる」と説明。音作りにおいても「あるがままのきなりを出したかった」とし「キリキリと締め上げたり、強調したり、ドンシャリにしたり」とならないようにしたとしている。その甲斐あってか、同作の評価は良好な様子だ。麻倉氏は「各所で『ボーカルが素晴らしい』『音が自然』という評価を受けている」と語った。
「オーディオの面から音源を作ると『スゴいケーブルを使いました!』『高級な電源やクロックジェネレーターを持ってきました!』など、収録機材をアピールすることがありますが、本作はそういったこともしていません。
こだわりはスタジオ選びで、収録はポニーキャニオンの代々木スタジオを使いました。ここのピアノは久石譲さんが持っていらっしゃった、フルコンサートモデルのオールドスタインウェイで、これが選定の決め手になったんです。本作でも凄く良い音が捉えられています」(麻倉氏)
そんなハイレゾ版に対して情家さんは「こんなにクリアに聴こえるものなんですね!」と驚きを隠さなかった。「CDでは伝わりづらいニュアンスの正体が判り、より素直に聴ける」とハイレゾ版の特徴を指摘する麻倉氏に対して、情家さんは自身の歌声の特徴を挙げつつ同意をした。
「情家さんの歌は地の声がかすれることがあるんです。セクシーとは違いますが、そこがエモーショナルで音楽的にグッとくるんです」(麻倉氏)
「私の声って真ん中(音の身の部分)の周りにガザガザのところ(かすれ音)があるんですよ。それを自分でも解ってはいたんですけれども、ここまでクリアに聴こえるのはちょっとビックリしています。
それにしても、とにかく音が素晴らしいですね。自分の家にある機器でしか普段は聴けないけれど(環境を整えれば)『こんなにクリアに聴けるのか!』という思いです」(情家さん)
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