“Androidの父”とも呼ばれるAndy Rubin氏がスタートしたEssential社は、MWCでは初のブースを今年設けた。
グーグルを退社したRubin氏が2015年に立ち上げた同社は、2017年秋に米国とカナダで最初の端末を発売している。同社で日本法人の準備を進めているというセールス&マーケティング ディレクターの服部正樹氏に話を聞いた。
初の海外展開として、日本を計画中
シンプルであることが常にベスト
――日本法人準備中とのことですが、日本進出が近いということでしょうか?
現在、Essentialの端末を販売しているのは米国とカナダだけだが、Andy(Rubin氏)は日本市場を重要と位置づけている。日本は初の本格的な国際(北米外)展開市場の1つだ。
――立ち上げ時、Rubin氏は「今のスマートフォンは面白くない」というような発言をしていました。
Andyは、現在のスマートフォンが複雑になりすぎていると感じています。機能的にも使い勝手から見ても。
弊社には6つの理念があるが、その1つが”シンプルは常にベスト”というものがある。我々はユーザー本位で使いやすくしていこうと思っている。
例えば、スマートフォンと同時に世界最小の4K 360度カメラを発売したが、360度カメラ自体はまったく新しいものというわけではない。もっと簡単に、楽しくというのが我々の狙いだ。端末に装着するだけで起動するし、画面をタッチすると360度の画像を楽しめる。
スマートフォンはせっかく新しいものを買っても、ほかに新しいものが出ればすぐに古くなってしまうが、我々はスマートフォンに装着した”ポート”を使ってアクセサリーを出すことで、購入後も色々な体験ができるようにしたい。ハードそのものを新しくすることはできないが、楽しみは広がる。
――カメラ以外にアクセサリの計画は?
高速にチャージできる充電器、オーディオ関連が出ており、今後も計画中だ。
――北米で端末ビジネスの動向は? 販売台数は?
北米ではキャリア(Sprint)、SIMフリー(Amazon、BestBuy、Essential.com)で提供している。台数については公開していない。我々はベンチャーなので、台数よりもEssentialの提案する新しい使い方や考え方を広めるというのが最初の目標だ。その点から見ると、北米では狙いどおりの進展となっている。
購入しているユーザーは、今の市場にないものを求める人たちで、Essential Phoneの美しいデザインやプレミアム素材、クラフトマンシップを気に入っている人のようだ。
今後は技術主導ではなく、ライフスタイルとしてのEssentialを手にしてほしいと思っている。ターゲットの層はこれまでよりも広くなる。
今回、グリーン/グレーなど3色を追加した。黒と白しかなかったが、色のバリエーションを増やした。
――価格と性能のバランスはどうでしょうか?
2017年8月に発売したが、スペックとしてはメモリーが4GB、ストレージは128GB。業界初のエッジトゥエッジ画面、カメラノッチ(切り欠き)、最大の画面対本体比を実現していた。かなりハイエンドのスペックで、発売から半年が経過しても見劣りしないが、当初の価格は699ドル、現在499ドルに値下げし、ミッドレンジになった。お買い得感があるとみている。
値下げは、売上の還元をマーケティングや広告費に回すのではなく、お買い得にすることでより多くの人に使ってもらおうと思ったから。我々は小さな企業で、大手のようにマーケティングにお金をかけることはできないし、新しい使い方を提案したい。違うやり方で広めていきたい。
規模が小さいからこそできる端末を作っていきたい
――消費者にEssentialを知ってもらう必要がありますが、マーケティングはどのような戦略をとるのでしょうか? もし日本での計画があれば教えてください。
売り方は手段であり、まずはエンドユーザーのお客様の心をつかむような商品を出さなければならない。Essential Phoneはチタンのフレームを使っており、落としても割れにくい。背面はセラミックで、鍵のようなものと一緒にポケットに入れても傷がつきにくい。
規模の大きな会社がいきなりこのような素材を使って数千万台生産するということはできないが、我々は小さな会社であり、可能だ。このようにプレミアムの素材を試すなど、規模が小さいからこそできることをやる。
北米では、インフルエンサーに使ってもらったり、ユーザーにEssentialで撮影した写真や動画をソーシャルにあげてもらうコンテストを開催したりしている。日本での具体的な計画はないが、同じようなことを草の根的にやっていく可能性はある。
――Andy Rubin氏が手がけた端末ということで、すでに日本の消費者の関心も高いのでしょうか?
秋葉原に入荷したということが記事になるなど、我々が正規に出せていないことで応えられていない需要があると実感している。早く日本のお客様の要望に応えたいと思っている。
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