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Origin Wireless Japanの「Time Reversal Machine技術」とは?

スマートホームを一変させる異次元の室内センシング

2018年03月02日 07時00分更新

オリジンワイヤレスが目指すビジネスの形

 2017年のCEATECでの鮮烈なデビューの一方で、米大学発のテクノロジーシーズをいかに日本でIoTビジネスとしてつなげるか、その期待がオリジンワイヤレスにはかかる。

 たとえばIoTらしいフィジカルな場所とのかかわりでは、既存のリテールテックの進展も考えられる。かつてビーコンをはじめ米国でのさまざまなマーケティング関連のレポートが聞こえたが、結局現在のところ実装が期待できるのはAmazon Goのみという状況だ。レガシーな設備を再利用して価値を再定義できるところなど、コスト面でもうまくメリットを出して新しいビジネスを創出してもらいたい。

 なお、同社いわく、自動車の中も検知OKということなので、空間を使うサービスで生きる点が、今後重要になりそうだ。スマホ化するクルマに対するアプローチのひとつにもなりうる。

 普及が進んだところでは、開発環境をオープン化するような未来も楽しそうではある。そのほか、既存のウェアラブル機器の代替になるのでは……という可能性レベルの話も聞いてみたが、こちらもまだまだ先だという。

 スマホやWi-Fiルーターなどの急速な普及と性能向上により商用化が進み始めたOrigin Wirelessの各種技術だが、同社が次に目指すのがWi-FiだけではないLTEへの実装だ。ユーザーがスマホを持ってその場に行くだけでセンシングもロケーションリングもできるようになる未来も描いている。

 「われわれの最終目標は、スマホへのアプリ搭載。しかも、アプリを立ち上げるだけで、弊社が提唱しているサービスがすべて利用できますという世界観。実はハードウェアでのハードルは高くない。今は開発費用の問題で2020年と言っているだけ」(丸茂氏)

 その自信の根拠はシンプルだ。基地局の改修やチップセットの開発などは不要で、ハードウェア側は何もしなくていい形を想定しているためだ。

 とはいえ、各種センサーを部屋に取り付けていくといった考え方を否定しているわけではない。Time Reversal Machineでも温度や湿度、照度などわからないデータはある。しかし、センシングで求められる多くの項目のうち半分ぐらいは抑えられる。すべてのデータを、センサーを取り付けて制御するとなると工事費やハードウェアのコストは膨大になるが、既存のWi-Fi電波を利用できるTime Reversal Machineなら、非常に低コストで導入できるのだ。

 「既存のWi-Fiルーターが使える場合もあるし、使えないタイプだったとしても3、4000円で買える。サービスによってはハードウェアを無料で配ることもできる」(角谷氏)

 オリジンワイヤレスはこれらの無線技術を、さまざまなプラットホームを提供している会社に提案していく予定だ。あとはユーザーが利用するサービスが選べるという形を目指す。たとえば高齢者向けのスマートホームサービスの場合、動きを見る「モーション」、呼吸を確認する「ブリージング」、そして転倒検知の「フォーリング」という3つのサービスが設定可能となる。顧客のニーズに応じて、これらを自由に使い分けられるようにすることを想定している。

 「基本的にはサブスクリプションモデル。サービスを提供するプラットホームの会社さんとAPI接続して、そのプラットホームの会社さんがエンドユーザーさんと課金環境を持っているので、月額いくらで見守りとか、介護サービスを提供していただく。われわれは毎日サーバーを動かしているので、そのコストをAPI接続料としていただく形になる」(丸茂氏)

 そこから見えてくる市場規模は計り知れない。すでに試験用に作ったハードウェアはCEATECでの出展後、さまざまな事業者からの問い合わせがあり、ほとんど会社に残っていないという。また、USのグローバル企業の数々もこの屋内位置情報は注目している領域だ。

 Googleがまだなかったころ、検索広告の市場規模がわからなかったように、Origin Wireless の技術が持つ市場規模は計算できない。スマートホームだけでもマーケット規模は、毎年30%~40%の規模で伸びていくと予想されているだけに、ポジショニング次第ではあるが大きな成長が期待できそうだ。

 現在、Origin Wireless Japan株式会社と米国の会社に親子関係はなく、研究開発と事業開発という両輪となっている。米国の会社には研究者として博士号を持つスタッフが多数在籍しているという。だからこそ、日本では事業化だけに集中できる。

 「われわれは、どこから売り上げが立つのか、それしか見ていない。それがベンチャーの基本だと思っている。デスバレーを越えて、最初の売り上げをどうやって立てるか。そしてどこからそれをもらうのか。聞いたことのない会社からなのか、それとも、だれもが知っている会社から、ドンとなのか。そこは大きな違いだと思っているのでこの先の動きはかなり意識している」(丸茂氏)

 これまでにないアイデアをベースにした新しい技術を、既存の環境に溶け込ませることで導入コストを大幅に下げられるTime Reversal Machine技術。「スマートホーム」や「スマートモビリティー」が当たり前になった数年後、ワイヤレスデバイスの数々にこの技術が乗っている可能性は高そうだ。

●Origin Wireless Japan株式会社
2016年11月21日設立(日本法人)。2012年に米国メリーランド大学で立ち上がったベンチャー。様々に反射した電波の位相や到達時間のズレを逆算し、電波の反射がどのように発生したかを特定する技術、Time Reveral Machine?技術をもとに、空間や物体を「感知する」サービス・ソリューションを提供。
同社の「Time Reversal Machine」技術はCEATEC AWARD 2017にて『コミュニティ・イノベーション部門』グランプリを受賞。
共同での事業開発やビジネスパートナー、有償PoCなど、ビジネス推進についての取り組みを広く募集中。
常駐スタッフは日本3人、USはインターン含めて30人ほど。
現在、US、日本法人併せてのシリーズBの資金調達を行なっており、人的リソースなどの強化を行なう予定。特にCTOなどの開発面、技術面で能力を発揮できる人材を募集中。

Origin & Botシステムを展示! IoT/ハードウェアの一大展示会
3/22『IoT&H/W BIZ DAY 5 by ASCII STARTUP』

 2018年3月22日(木)東京・赤坂インターシティコンファレンスにて、IoT/ハードウェアの最先端スタートアップ・キーマンが集うイベントにOrigin Wireless Japanも出展。詳細記事はコチラから!

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