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プラットフォーム、エンタープライズ市場参入、グローバル展開の3方向で攻める

IT苦手なCEOが語る「チャットワーク」の使いやすさ

2018年02月09日 09時00分更新

2018年2月8日、ビジネスチャット「チャットワーク」を展開するChatWorkは事業戦略説明会を開催した。登壇したChatWork CEOの山本敏行氏は、会社や事業紹介にとどまらず、ビジネスチャット市場、事業進捗ハイライト、成長戦略、新しい取り組みまで50分間語り尽くした。

さまざまな仕事をチャットだけで完結できる

 東京タワーの目の前にあるChatWork新オフィスのシアタールームで開催された事業説明会。ChatWork CEOの山本敏行氏は、自己紹介の後、ChatWork創業の経緯を振り返る。

ChatWork CEO 山本敏行氏

 山本氏は、2000年に留学先のロサンゼルスにてコマース事業のEC Studioを創業。その後、「10年を振り返って、日本のITサービスが世界で戦えていないことに愕然とした」(山本氏)とのことで、2011年3月にグローバルを見据えたビジネスチャット「チャットワーク」をスタートした。2012年には「世界の働き方を変える」というビジョンの元、社名もChatWorkに変更し、シリコンバレーにも法人を立て、直近7年間は山本氏も現地で事業統括してきたという。

 ビジネスチャットの市場がなかった7年前は、シリコンバレーでもほとんどユーザーがつかなかったが、会社の方針を変更し、外部資本を受け入れた2015年以降は順調に成長を続けているという。2年前から盛り上がってきた働き方改革の隆盛や、クラウドサービスやビジネスチャット自体の市場拡大がこの成長を後押ししている。また、コミュニケーション手段自体も、電話やメールからチャットに移っており、ビジネスでチャット利用したいというニーズも顕在化しているという。「現在はメール、SNS、電話、ビデオ会議などコミュニケーションツールがありすぎる。同じ時間、タイミングでなければ連絡が取れないといった弊害がある」と山本氏は指摘する。

競合が多い中、チャットワークのDNAは「使いやすさ」

 こうした中、統一されたアーキテクチャでチャットやタスクやファイル管理、ビデオ会議などが可能なチャットワークは、現在のビジネススタイルにフィットした「Must Have」なツールに成長しているという。「だいたいのメール、電話、紙を置き換えられる次世代通信手段。さまざまな仕事はチャットだけで完結できる」(山本氏)。導入企業数はすでに16万3000社以上で、導入国・地域も223に拡大。ChatWork自体の拠点も、東京、大阪、シリコンバレー、台湾、ベトナムの5箇所におよび、従業員も89名と昨年度に比べて倍増している。

導入は16万3000社を突破し、成長を続けるチャットワーク

 フリーミアムモデルを採用するチャットワークは、グループチャット数に制限があるだけの無料版をユーザーにまず試用してもらい、その後チャット数やディスク容量の不足から有料プランに移行するというビジネスで拡大を続けてきた。実際、利用拡大も国内での高いシェアや長い運用実績などから「部分採用」で入り、その後は使いやすさから「全社導入」に至る流れがあるという。

 とはいえ、ビジネスチャットの市場も拡大し、SlackやSkype、LINE WORKS、FB Messangerなどさまざまな競合が現れてきた。こうした中、ChatWorkがもっともこだわるのがやはり使いやすさだ。「CTOである弟は子ども頃からITが得意だが、私はIT企業の社長でありながらITが苦手。パワーポイントもうまく作れない」と公言する山本氏が率いるChatWorkだからこそ、ビジネスユーザーの支持を得られるという。「既読を付けると、上司も部下も不幸になる。2000年当時からMSN MessengerやSkype、ICQなどをビジネスで使ってきたので、チャットがどういったものが理解している」と語る山本氏は、ChatWork社内での利用方法をデモで披露した。

働き方改革を求めるエンタープライズの市場にも参入

 そんなChatWorkが次の成長戦略として掲げるのが、業務で必要なツールやサービスをチャットワークに集約し、一元的に管理するプラットフォーム構想だ。「チャットはビジネスのOSであると言ってる。ユーザーのタッチポイントにはチャットが一番ふさわしい」(山本氏)とのことで、Boxやkintoneなど他社のサービスとの連携や、電話代行やアシスタント代行など労働集約型サービスとの連携を進めていく。

プラットフォーム構想、エンタープライズ市場への進出、グローバル展開

 また、エンタープライズ市場にも参入。同日付で働き方改革を推進するためのツールとして大和証券で採用された導入事例も発表され、クラウドへの抵抗感が薄れてきたことを追い風にするとアピール。さらにグローバル戦略ではNo.1サービスが決まっていないアジア各国に営業とマーケティングリソースを集中させるという。

 「若いときネットでのモノの売り買いを支援したら、40・50歳の人にすごく喜んでもらった。インターネットはフラットで、すべての人に光を与えるものだと思った」と振り返る山本氏は、説明会の最後に神戸市北区谷上地区をベースとした「谷上プロジェクト」を発表。日本に変化を起こす活動やプロジェクトを創出すると述べ、3月1日の正式発表に期待を持たせた。

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