週刊アスキー

  • Facebookアイコン
  • Twitterアイコン
  • RSSフィード

「テクノロジー・スタートアップが未来を創る: テック起業家をめざせ」

東大人気講師が語る大学発Techベンチャーのススメ

2018年01月23日 07時00分更新

第3章 スタートアップ流モノづくり

 ソフトウェアやインターネットサービスなどのいわゆるIT(Information Technology)の領域は、ハードウェア製造と違い、アイデアとビジネスモデル、ソフトウェア開発力で勝負できるので、優秀な人材さえそろえば、事業を開始できる。スタートアップがリードしてきた分野である。1990年代のパソコンの成長期、続いて2000年頃からのインターネットの爆発的な成長期に多くのスタートアップが成功した。成功のポイントは、タイミングとスピードである。

 最近では、ソフトウェアやサービスだけでなく、ハードウェアを絡めたスタートアップが増えているのが特徴だ。従来は大きな資本や販売力が必要であったハードウェアビジネスが画期的に身近なものとなった。もともと日本では、細部にこだわるモノづくりの精神が脈々と受け継がれている。3Dプリンターなどの工作ツールの進化、ネット販売の浸透、ソーシャルメディアによる新しい情報の伝達・拡散、クラウドファンディングを活用した新しい資金の集め方、これらのネット時代の新たな環境が、ハードウェアビジネスの進め方を根本的に変えた。

 一方で、市場のニーズも大きく変化しつつある。人々の関心は、大量生産品ではなく、自分の好みに合ったモノに移っている。背後にある作り手の思いやストーリーに共感することで、その製品やサービスに興味を持つ。いつもと違う体験や、新たな発見、ワクワクするテーマといったものを望んでいる。そうしたモノや体験は日常生活をより自分らしく楽しくしてくれるし、人生を豊かにしてくれる。作り手側には、いわば「新たな豊かさの創造」が求められている。多品種少量の柔軟で機動力のある開発体制、ユーザーとの対話やパーソナライズが必要になっている。これらのモノづくりへの要求はスタートアップが得意な領域だ。

 本章では、特にハードウェアも含めた事業を立ち上げるハードルが10年前から比べるとはるかに下がった点を紹介する。大企業においても、新しい市場のニーズに応えるため、スタートアップ的な新規事業の進め方を取り入れるとメリットがある。

●オープン環境がイノベーションを加速
●ネット時代のモノづくりはキックスタート
●スタートアップが刺激する日本のモノづくり
●大企業からスタートアップを生み出す
●大企業とスタートアップの共創

この記事をシェアしよう

週刊アスキーの最新情報を購読しよう

本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ている場合があります