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東北大学に起業文化を創るスタートアップガレージがオープン

2017年12月14日 07時00分更新

 こんにちは、一般社団法人MAKOTOの竹井です。東北大学発ベンチャーを100社創出する! という産学連携事業の一環として、このたびMAKOTOが主管となってスタートアップの聖地「東北大学スタートアップガレージ」(通称:TUSG(Tohoku University Startup Garageの略))を作り上げました。今回は、その時の様子をご紹介します。

 国際競争力ある大学発ベンチャーへの期待が高まる中、夢を実現する起業家人材の輩出は、日本の経済活動を活性化する起爆剤として大きな期待が寄せられています。私たちは東北基盤の起業家支援組織としていち早く東北大学と連携し、産学連携事業の一端を担うこととなりました。

 その中でも大きな期待が寄せられているのが、「東北大学スタートアップガレージ(TUSG)」です。目標は、「2030年までに東北大学発ベンチャーを100社に!」、「東北大学に起業文化を醸成する!!」ということをゴールに据えています。

 東北大学生、大学出身OBOGや研究者を対象に、大学が持つテクノロジーやイノベーションを効果的に利用しながら起業家を育てる機会を作っていくことを目指しています。

起業に興味のある若者集まれ プレイベントが大盛況

「東北大学スタートアップガレージ(TUSG)」を告知するためのプレイベントを10月に実施しました。10月24日18時、東北大学青葉山キャンパス内にある「東北大学連携ビジネス・インキュベータ(T-Biz)」の会議室をお借りして開催したところ、なんと予想をはるかに超える60人超の来場者となり、会場内は立ち見や床に座る人続出という熱気あふれるイベントになりました。

真剣な眼差しで聞き入る大学生

 参加した学生たちが真剣に聞き入る光景が印象的で、トークセッションでは東北大学出身の起業家や、エンジェル投資家でもある株式会社キープレーヤーズの高野秀敏社長、Retty株式会社の奥田健太氏、そしてMAKOTOの竹井でスペシャルトークを繰り広げました。

 東京の熱量をそのまま持ってきたような雰囲気ではじまり、「起業家の世界ってあんな事こんな事あるんだね~!」という、ここでしか聞けないディープな内容で会場は大変な盛り上がりになりました。

パネルディスカッション:左から竹井、高野氏、奥田氏

「初めてで楽しかった」、「今後が楽しみ」など多くの反響があり、期待を寄せてもらえる良い機会となりました。

東北大学スタートアップガレージを作ろう!

 東北大学で起業文化を醸成するために大事な拠点づくりに話しを移しましょう。コンセプトは、ガレージ風で気軽に入れて、自由にディスカッションができるイノベーティブ&クリエイティブな空間作りです。しかしながら、壁・床・天井は傷付けることができない、予算が限られている、オープンまでの期間が短い、などの課題が多くありました。

 大学と実現に向けた協議を何度も重ねた結果、これまでコワーキングスペースなどを作る際にお世話になったMAKOTOの人的ネットワークを駆使することで実現できると考えました。デザイナー、施工業者、そして工事に参加してくれるボランティア、インターンなどに声をかけました。とは言え皆さん忙しいので、すべてリモートでつながって情報を交換し施工の計画づくりを進めました。学生インターンなどは工具を使ったこともない素人ばかりです。それでもみんなの情熱が次第にひとつになり、施工当日を迎えることになりました。

 事前に部屋を下見することもままならないデザイナーのために、私たちが現場の写真を撮って伝え、それを見て部屋のデザインをスケッチしていただきました。しかしディテールが決まっているというわけではなく、現場で施工しながら自由な発想で作り上げていくことになりました。

始めて経験するDo It Ourself

 今回施工をお願いしたのは、宮城県で活動する「TEAM DIO」のプロ集団です。DIY(Do It Yourself)ではなく、DIO(Do It Ourself!)自分達で作ろう! をビジネスにしている大変ユニークな取り組みをされているチームで、「建物」も「まち」もみんなでつくる時代を創る! をコンセプトに掲げている建築のプロ達です。TEAM DIO代表の小島英弥夫氏(株式会社ミライデザインワークス代表)に、今回の制約だらけの現場に真正面から挑んでいただくことになり、通常なら2週間以上必要な施工期間を5日間という超短期の計画を作ってもらい、現場をまとめていただきました。

ガレージの工事がスタート!

 さあ、10月30日いよいよ工事スタートです。そもそもガレージ風の部屋を作るには、オフィスの雰囲気をすべて消して床や壁に傷を付けずに覆っていくことが求められます。実際に手を動かす大学生とMAKOTOのボランティアメンバーは、施工のプロ小島英弥夫氏からDIOのコンセプトやデザイン・施工手順についてレクチャーしていただきました。

小島氏(左)からレクチャーを受ける起業部の学生

「プロと利用者が連携することで、この部屋を愛される空間に創造していくことが大切」と小島さんは言います。それはプロだけでは成し得ない味となっていくのです。また現場の最終判断を支援することで、しっかりとコンセプトに沿った空間になるそうです。「参加者みんなで作るクリエイティブな創造の場になり、結果的に長い間語り継がれ利用者に愛される空間になるのだ」と熱いレクチャーが続きました。

 いよいよ床に木製パレットを敷き詰め、施工スタートです。パレットを敷くことでガレージ感が増し、さらに電気の床下配線が可能になるという一石二鳥の効果があります。

床にパレットを敷いてガレージ風に

 学生ボランティアは、始めて使う電動ドリルにおそるおそるで、たまに間違えて穴や隙間もできつつもそれも味のひとつとなり、手作り感満載の床が仕上がっていきます。

 3日目ともなれば次第に工事も慣れてきて、現場は慌ただしくなってきました。

次第に慣れた手つきで工事が急ピッチに進行中

 壁貼りや本棚などの装飾、各自が協力しながら担当部分が次々と作られていきます。

最終工程で壁の装飾に余念がないです

 私も参加して、壁の装飾やホワイトボードのビス打ちなど、細かい部分は自分たちの創意工夫で作っていきました。最後は床にペンキを塗り、カウンターを磨き、色を塗った木製タイルを壁に貼りました。みんな手作りです。

上段:東北大学起業部VEX、下段:小島氏(左上)、ボランティアと竹井(中央上)

「東北大学スタートアップガレージ(TUSG)」がついに完成。実質5日間の工事お疲れさまでした。最高の笑顔でパチリ。

 現場を統括していただいたTEAM DIOの皆さん、デザイナー、学生起業部、MAKOTOのメンバー、そして東北大学の方々に感謝致します。

東北大学スタートアップガレージ(TUSG)の室内

 クリエイティブで素晴らしい空間が出現しました。

最後に

東北大学スタートアップガレージ(TUSG)の室内

「東北大学スタートアップガレージ(TUSG)」は、東北大学発ベンチャーの輩出の拠点として2017年11月から活動をスタートいたしました。「2030年までに100社の起業家を輩出する」目標に向けて邁進していきます。また並行した活動では、ビジネスコミュニティー体制の構築、起業塾、ピッチイベント、起業相談などを行なっていきます。

 今後も一般社団法人MAKOTOは東北大学との連携を通して東北を元気にしていきますので、ご期待ください。

■関連サイト

竹井智宏(一般社団法人MAKOTO代表理事)

著者近影 竹井智宏

1974年生まれ。東北大学生命科学研究科博士課程卒。2011年7月東日本大震災を契機に一般社団法人MAKOTOを設立。同月、米国カウフマン財団のカウフマンフェローに選出される。東北の起業家支援に力を入れ、日本初の再チャレンジ特化型ファンド「福活ファンド」を組成し、起業家の投資育成活動を展開。起業環境作りとしては、世界の若手起業家約12000人でつくる「EO(アントレプレナーズ・オーガニゼーション)」の東北支部「EO東北」の立上げに尽力。2015年、日本ベンチャーキャピタル協会より「地方創生賞」を受賞。2016年、日本財団より、日本で10人の「ソーシャルイノベーター」に選出。東北大学特任准教授(客員)。

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