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誰を味方につけるか考えておこう

働きやすい会社にするため、知っておきたい心構え

現場よりむしろ、リーダーや経営層こそ改革を求めている

 では、どのようにリーダーに変革の重要性を理解してもらえば良いのでしょう。コンサルタントとしての経験から言うと、会社の上位者ほど変革の必要性を強く認識しています。それは、業種を問わず多くの企業が経営環境の変化にさらされており、多くの経営者がこのまま何もしないと将来があぶないという危機感を持っているからです。現場に近いマネージャは、頭では変革の必要性が解っていても、日々の忙しさのなかで優先順位が下がってしまうという傾向もあります。従って、提案するなら経営に近いひとが良いでしょう。そうは言っても、なかなか経営幹部に直接提案するのはハードルが高いという場合は、私たちコンサルタントのような外部の人間を使うのも良いと思います。

 変革の駆動力となるエンジンのもうひとつの構成要素は、社員の共感です。いくら経営者や職場の責任者が変革の必要性を理解しリーダーシップを発揮しても、肝心の社員が共感しないと働き方は変わりません。社員一人ひとりが働き方を変えてみたいと思い、実際にその動きに参加するかどうかが、組織としての変革の成否を決めます。

 自分の働き方を進化させる楽しさを知っているイノベータである推進者が見落としがちな落とし穴は、実は多くの社員は働き方を変えることにあまり関心がなく、別に今のままで問題ないと思っていることです。今は働き方改革という言葉が一種の流行り言葉になっているので、表立って反対する人は少ないでしょう。しかし内心は、面倒くさいので今のままでいいと思っているかもしれません。

 このような社員をどう巻き込むか。それには、変革を共に推進してくれる仲間をつくる必要があります。働き方変革を組織的に進める場合は、社内に推進体となるプロジェクトを設置することが多いと思います。このプロジェクトメンバーは、変革の必要性を熟知したイノベータですが、このメンバーが主役で頑張っている間は、変革は本物とは言えません。プロジェクトメンバーでもなく、別に頼まれたわけでもないのに、面白そうだからやってみよう、という感度の良い人たちが現れることが、変革を成功させるための必須条件となります。

 この高感度層をアーリーアダプタと呼びます。組織的な働き方変革の場合は、アーリーアダプタ層をつくることが変革の一里塚となります。この人たちが一定の割合を占めるようになると、組織全体の雰囲気が変わってきます。「なんか成果がでているみたいだ」「試してみるのも良いかもしれない」という雰囲気になっていくのです。

 もし、あなたが会社や職場の働き方変革を仕掛けていこうと考えているなら、会社全体を変えるなら経営幹部、身近な職場からスタートするならその部署のリーダーを味方にして、変革を推進する運動体となるプロジェクトを組成し、アーリーアダプタ層の巻き込みを進めていくことになります。

組織が納得できる目的を目標や手段に落とし込む

 このような取り組みを行ううえで大切なことは、なぜ働き方を変えるのか、どのような働き方を目指すのか、そのために何をするのかという変革の目的・目標・手段を明らかにすることです。自分自身の働き方を変えるときは、面白そうだからやってみようといった感じで良いのですが、組織を動かす場合は理解(理屈として解る)と共感(やってみたいと思う)の両方が必要となります。そのベースとなるのが、この変革目的・目標・手段を明確にすることなのです。

 特に共感という面では、変革目標、つまりどのような働き方を実践し、どのような組織や会社にしたいのか、ということをリーダーや仲間の社員と共有し、共通の目標とすることがとても重要です。ぜひ、こんな会社にしたいという経営者のビジョンと合致し、こんな働き方ができると楽しそうだという社員の共感を得ることができる「在りたい姿」を描くことをお勧めします。

 5回にわたり連載してきたエッセイは今回が最終回です。お付き合いいただきありがとうございました。働き方変革に関し何か知りたいことがありましたら、気軽に声をかけていただければ嬉しいです。では、皆さんが「攻め」の働き方変革を実践されることを、楽しみにしています。

平山 信彦

株式会社内田洋行 執行役員 知的生産性研究所所長。

千葉大学工学部工業意匠学科卒。内田洋行スペースデザイン室、INTERNI(米・ロスアンジェルス)、内田洋行環境デザイン研究所、同マーケティング本部等を経て現職。千葉大学大学院非常勤講師(2008年~2010年/デザインインタラクティブ論)、日本テレワーク学会理事(2010~)等、歴任。働き方変革・組織風土変革・デザインマネジメント・知識創造等に関わるコンサルティング、講演、執筆等、多数。

最新著書「チェンジ・ワーキング~イノベーションを生み出す組織をつくる」(発行:翔泳社)

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