細田守監督 撮影:G. Raymond
細田守監督最新作「未来のミライ」が来年7月20日公開に決定した。初めての妹ミライができて戸惑う4歳児「くんちゃん」を主人公にしたアニメーション映画。2015年公開の「バケモノの子」(興収58.5億円)以来3年ぶりの監督作となる。
細田守監督は記者会見で、主人公を4歳児にした理由について「自分の息子が当時4歳だったから」とプライベートを明かした上、「4歳の男の子を主人公にするのが一般的な映画としてはありえない」と、設定上も挑戦的だったと話した。
「『クレヨンしんちゃん』は5歳。『となりのトトロ』のメイは設定上4歳の女の子。4歳の男の子を主人公にするのは稀」(細田監督)
その上で、4歳と5歳は1歳差でもまったく違うと実体験をもとに話した。
「5歳になるとうんことかちんちんと言いたがるんですよ。クレヨンしんちゃんは『それで5歳なのか!』と思いました。ギリギリのところで品の良い、ご家族で見やすい映画の内容にかろうじてなっているんじゃないかと思います」(同)
また主人公の名前を「くんちゃん」にした理由は、「〜君」でもなく「〜ちゃん」でもない、アイデンティティが揺れ動いている存在の象徴だという。おなじく妹の名前が「ミライ」なのは、自身のアイデンティティが揺れ動いているときどうやって未来について考え、未来にたどりつくかというところから発想したそうだ。
そして「未来」という言葉そのものにも大事な意味をもたせているという。
「いま子供を取り巻く環境だけじゃなく、世の中は非常に大きく価値観が変わっていく時代です。一昔前は結婚をしているのが当たり前でしたが、いまはそうではないですよね。自分の生き方をそれぞれにあわせて選ぶことができる。結婚しても子供をつくるかどうかは選べるし、一人つくるか何人つくるかも選べます。
自分は一人っ子だったんですが、当時は非常に珍しかったので、親も『普通じゃない』扱いをされた気がします。いまはそうじゃなく、非常に多様な価値観をもつ社会があります。多様な価値観があるぶん、個人は揺れ動いている状態です。
これをやっておけばいいという基準がないぶん揺れ動いている状態を、くんちゃんという『くん』なのか『ちゃん』なのかわからない子にあてはめて、ぼくら自体が揺れ動いている価値観の中、自分がどうやって生きていくべきか、自分の未来はどこにあるんだろうということを思いながら作っていくことになりました。
ぼくみたいなおじさんが思っていた未来といまの未来はちがうと思いますよね。未来ということそのものも揺れ動いている中、いまの子供たちがどんな未来を描いて大人になっていくのかは今日的な非常に興味深い課題ではないかと」(同)
物語の舞台は横浜市磯子付近の海岸沿い。「『家族』にとって重要なことが歴史的に起きた場所」というところから選んだという。磯子は昭和初期、海岸近くに歓楽街の花街があった場所。かつては漁場があったが、戦後の埋め立てで消えている。
●作品情報
未来のミライ
2018年7月20日ロードショー
監督・脚本・原作 細田守
作画監督 青山浩行/秦綾子
美術監督 大森祟/高松洋平
プロデューサー 齋藤優一郎
企画・制作 スタジオ地図
配給 東宝
http://mirai-no-mirai.jp
●あらすじ
とある都会の片隅の、小さな庭に小さな木の生えた小さな家。ある日、甘えん坊のくんちゃん(4歳)に生まれたばかりの妹がやってきます。両親の愛情を奪われ、初めての経験の連続に戸惑うくんちゃん。そんな時、くんちゃんが出会ったのは、未来からやってきた妹、ミライちゃんでした。このちょっと変わったきょうだいが織りなす物語。それは、誰も観たことのない、小さなお兄ちゃんの大きな冒険の始まりでした。
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