メルカリ 執行役員 伊豫健夫氏(左) 開発責任者 石川佑樹氏(右)
メルカリが27日、商品を登録すると1秒で現金化できる新サービス「メルカリNOW」を発表しました。売上金はメルカリ内での商品購入にも使えます。最高査定額2万円、最低査定額は流動的ですが100円から。1日あたりの上限金額は1000万円まで。査定額や上限金額についてはユーザーの利用状況を見て引き上げを検討していくということ。
まだメルカリを使っていない人の「やりとりするのが面倒」「売れるまで待ちたくない」という不満を解消するため導入した、できるだけ早い時間で商品を売るための新サービス。本家のメルカリに比べると売価は低くなりますが、確実に売れるのが特徴。まとめて不用品を処分したり、ふだん忙しい社会人に使ったりしてほしいそうです。
売上金はフリマアプリ「メルカリ」売上金と合算。メルカリ内の商品購入に使えて、銀行口座への振込申請もできます。現在査定可能なジャンルは服や靴やカバンといったファッションのみ。スマートフォンや家電などには今後対応予定とのこと。
買取を依頼した商品はメルカリが2週間以内に無料で集荷します。
買取可能な商品は「未使用」「美品(1回程度仕様)」「使用感あり(汚れなし)」の3段階。シミがついていたり、キズがついている商品は買い取ってくれません。商品を買い取るのは同社グループ企業のソウゾウ。買い取った商品は同社がメルカリ上で販売します。
利用には古物営業法にもとづき、免許証、健康保険証、住民票、パスポートなどの本人確認書類をアップロードする必要があります。集荷できるのは書類記載の住所のみ。売上金の振込時には本人名義の銀行口座登録が必須です。未成年は利用できません。
手元にない商品、偽造品(コピー品)、状態の悪い商品であることを隠して査定に回した場合、売上金を没収してアカウントの利用を制限します。制限対象は基本メルカリNOWのアカウントですが、最悪の場合はメルカリ全体が利用できなくなります。違法出品対策には250人以上のスタッフが24時間365日体制でチェックにあたるそうです。
メルカリNOWは先週DMMが買収したことで話題になったバンクの質屋アプリ「CASH」と同じサービスでもあります。バンクはCASHの最低査定額を1000円にすると同日に発表しました。
メルカリNOWはメルカリ内での取引額をもとに査定額を出しているため、競合に比べても「納得感のある」査定額になっていると説明。発表会場にNew Balanceのスニーカー「M998」が置いてあったので試しにメルカリNOWとCASHで査定に出してみたところメルカリNOWは4000円、CASHは6000円という結果になりました。惜しい、納得できませんでした。
またビジネスとして気になるのは在庫の管理。説明では「なるべく在庫をもたないフローにしている」と話していました。
メルカリでは商品の約半数が出品から24時間以内に売れているそうで、利用者から買い取った商品をメルカリで即転売すれば、ある程度の商品は右から左に移動させるだけで在庫をもたずに流通させられるのかもしれません。このフローについて社内でシミュレーションは回したと話していました。
メルカリNOWも気になるのですが、メルカリユーザーとして気になっていたのは12月上旬からの仕様変更です。今まではメルカリでの売上を直接使ってメルカリに出品されている商品を購入できましたが、今後は売上金でメルカリ内の「ポイント」を購入する必要があります。また売上金の振込申請期限は従来の1年から90日間へと短縮します。
正直ユーザーとしては面倒くさい仕組みです。わたしは34歳の男で、赤ちゃんが生まれてからメルカリを愛用するようになりました。洋服や雑貨などを売り、バウンサー(ハンモック状のベビーチェア)などのベビー用品を買うなど、便利に使っています。これからも使いつづけたいと思う中、2つの仕様変更はかなりの痛手です。フリルなど競合への乗り換えも考えました。
いままでのルールのままだと売上金が1万円未満だと振込手数料210円がかかってしまうため、90日以内に1万円以上を売り上げないと強制的に210円をとられて銀行振り込みということになってしまい、気がかりが残ります。執行役員 伊豫健夫さんに不満を伝えてみたところ「そこは本当に、気持ちはわかります」と共感の声を返されました。
わかっちゃダメだろと感じましたが、仕様変更は売上金の保全のために必要な仕組みという説明でした。今までメルカリは運転資金とは別に口座を設けて売上金を管理してきましたが、関係省庁などからそれでは不足だという指摘があったのだそうです。
「我々としてはもともとそういう風に運用しておったんですけど、これだけ使ってくださってる方が増えてきた中、金融庁など関係省庁がいる中、より安全性の高い方法をとるべきであるという議論がありまして」(伊豫さん)
メルカリは月間流通総額100億円超、1日に100万品以上が出品されている国内最大級のフリマアプリ。安全安心に運用するためのルールづくりという点からも改訂は必要なのだろうとは思いますが、やはり面倒くささを感じてしまいます。
中の人も「面倒くさい」と言われるとわかった上で選択をしたということがわかり、なら一層頑張ってほしいという気持ちになりました。「手間ひまがかからない形でUIを作っていくことに力を入れていこうと思っています」(伊豫さん)と話していたので、新仕様でも使いつづけたいアプリであってくれるよう期待しています。メルカリNOWについて言えば、メルカリに出品したものの1ヵ月以上売れずに「いいね!」ばかりついている商品を買い取る仕組みをつけてほしいです。今後ともどうぞよろしくお願いします。
書いた人──盛田 諒(Ryo Morita)
1983年生まれ、家事が趣味。0歳児の父をやっています。Facebookでおたより募集中。
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