週刊アスキー

  • Facebookアイコン
  • Twitterアイコン
  • RSSフィード

話題のシェアサイクルを体験、札幌No Mapsモバイクレポ!

2017年10月12日 20時10分更新

 8月23日から、札幌市において日本での実証実験がスタートしたスマートバイクシェアサービス「モバイク」。北海道を社会実験、社会実装の聖地にすることを目指す、札幌を中心に展開するクリエイティブ・イベント「No Maps」の中核にも関わる取り組みだ。注目を集めるシェアサイクルについて、札幌市内での試乗レポートをお届けする。

9月17日に開催された「ワールドサイクリングデ―」での一場面

 モバイクは、GPSを使ってアプリから近隣のシェアサイクルを探し、目的地近くの駐輪スペースで自由に降りられるサービス。GPS通信機能を持った自転車をシェアできるため、どこでも好きな場所に乗り捨てられることをふれこみに、中国を中心に急激に広まったが、現在では若干異なる部分もある。理由は後述するが、今回の実証実験の体験でも、乗り捨ては推奨されていない。

 それでも、世界的に話題となっている中国のシェアリングサイクルの日本導入は注目も集めている。行政との綿密な連携を実現し、他地域では時間を要する手続きや許認可をスピードアップする「No Maps Future Lab」の設置によって、札幌市内での早期実験が始まっているが、自治体関係者の訪問や、どうやって短期間での実験を実現したのかという部分についての問い合わせも多いという。

 日本ローカライズ版かつ実証実験という点で、まだまだ変わっていく前提で下記の体験記事は見てほしい。

札幌ではエリアを限定して展開

 モバイクの実証実験が実施されているのは、札幌市内の西部エリア。北海道大学に近い桑園駅付近から円山公園までの一帯あたりを今回は横断してみた。

端から端までゆったり、自転車で30分ほどの広さ

 市内中心部の大通り公園などでは乗れないため、まずは公共交通機関で移動する。JRで札幌駅から桑園駅へ。アプリを使えばモバイクの設置場所はわかるので、桑園駅から北東の駐輪上へ向かおう。

 ちなみに、アプリを利用するためには、ダウンロードだけでなく、3000円のデポジットが必要となる。現状、支払い対応はクレジットカード登録のみのため注意が必要。個人の願望としては、Paypalなどの中間決済系が入ると非常に楽だと思う。今回の価格設定は、30分ごとに50円の基本料金がかかるため、デポジット金額以外にも走行のためのウォレットチャージが必要だ。

 さて、駐輪スペースにあるモバイクを見つけたら、自分に合ったサドルの高さのものを選び、さっそくアプリから開錠を試みる。といっても、アプリ上の「ロック解除」から、車体QRコードを読み取るだけ。通信が確認されれば、「ガチッ」とカギが外れる音と電子音が鳴った。

乗り捨てできるわけではないので注意

 さっそく試乗してみよう。

 車体は思っていた以上にゴツく、フレームやカゴなどがかなりしっかりした作り。ただし、左右のバランスにちょっと癖があるので、ハンドル操作には慣れが必要と感じた。誰でも使えるようにか、走り出しは軽いが変速機能がないのでスピードは出ない。

 近場への移動には気楽だが、平地での利用でないと「無理」という感想を持った。この点は、自動変速ギア付きのモバイクも発表されているので、そちらにも期待したい。

 ただ乗るだけではつまらないので、駅から遠い場所にある店舗への立ち寄りを目指す。といっても、現状は出発地から目的地までの駐輪場間の移動推奨のため、サッポロドラッグストアー、セコマ、石屋製菓など地元パートナー企業が提供する駐輪スペースに止めることになる。

 アプリ内の規約上はわかりにくい表現になっているが、「複合施設での駐輪禁止」というのがある。GPSで追跡できない場所や駐輪することで邪魔になってしまうような場所はNGだ。

 じつのところ、シェアサイクルは放置自転車へのトラブル・クレームが多く、中国本土では指定エリア外に駐輪した場合の罰則規定が設けられている。駐輪場所を限定する試みも実施されたものの、改善にはつながらなかったようだ。

 そういうわけで、日本での利用についても“乗り捨て”ではなく、“出発地から目的地まで”の限定された形になっている。札幌市内の中央ではない、ちょっとだけはずれた場所での実験もそういった背景があるのだろう。今回の場合は、観光というより日常での利用を意識したものに近いのではないか。

自転車の道路整備がされていない日本でどう展開するか

最寄りのモバイクの位置もアプリから一目でわかる

 すでに中国で受け入れられていることもあり、アプリの挙動は快適で、わかりにくいところもなかった。ハード・アプリともに安定感を感じられた。とくにモバイクの自転車本体は、これならメンテも限りなく少ないというのも理解できる。

タイヤもエアレスでパンクに困ることはないという

 No Mapsがあったからこそ、短い時間でパートナーの協力のもと駐輪可能な場所を用意し、日本ローカライズの起点を進めているのは事実だろう。

 モバイク・ジャパン関係者によれば、そもそも都市によって仕様が変わるのが当たり前とのこと。地域特性に合わせてローカライズさせるのがポイントとなるが、諸外国と比べて、日本は自転車の道路整備がされていないため、車道走行が原則になっているなどそういった意味では難しいところもあるようだ。

480

 また東京から乗りに来る人もいるようで、さっそく乗り捨てもあったという。とはいえ、各種メディアが乗り捨てOKなシェアリングサイクルと当初にうたっていたこともあるので、誤解を生じている可能性は否めない。じつは自分も利用するまでは、乗り捨てOKと勘違いしていた。

 平地かつ車が入りにくい土地柄で、観光できる場所が固まっているような地域にはかなり相性が良いだろう。センセーショナルな受け入れ方もいいが、日本では地元民に愛されるようなあり方や、観光地で活躍する姿があってもいいのでは、と感じた。今後の各自治体での動きが気になるところだ。

 そのほかの機能では、1日5回の予約が可能。予約期限は15分のため、15分で行ける場所にあるものを予約する前提のつくりだ。

この記事をシェアしよう

週刊アスキーの最新情報を購読しよう

本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ている場合があります

この特集の記事