赤ちゃんが母語を身につけるのと同じように
話題の「英語を聞き流すだけ」学習は第二言語習得研究的にはアリ? ナシ?
母語習得と第二言語習得ではメカニズムが異なる
Q.英語を聞き流すだけで話せるようになる、なんてことはあるんでしょうか?
A.赤ちゃんは大人が話すのを聞いて母語を身につけるのだから、英語を大量に聞き続ければ英語が話せるようになるのでは、と思う人もいるかもしれません。
しかし、母語習得と第二言語習得ではメカニズムが異なる、というのが第二言語習得研究における現在の定説です。
人間の脳は母語を習得する段階で、その処理に最適化した状態になります。日本語の処理に最適化した状態では、よく意味のわからない英語をいくら聞き続けても、それだけで話せるようになるのは難しいでしょう。
認知能力が発達した大人であれば、語彙や文法、発音などをある程度体系的に身につけながら自然なインプットを増やしていくのが近道になります。
また、第二言語習得においては「大量のインプットと少量のアウトプット」というバランスも鉄則であると言われています。
大量に聞いたり読んだりしながらも、自分で英語を考えて話したり書いたりする(アウトプットする)機会を少し入れていくことによって、自分が言えない文法や語彙に気づくことができます。たとえば話していて「関係代名詞がうまく使えないな……」と気づいたとします。この「気づき」があることにより、今度は英語を読んだり聞いたりする(インプットする)際に、関係代名詞が使われている英文に注意が向き、効率よく習得が起こるのです。
外国語が聞くだけで身につくことはありませんよ!
答えてくれたトレーナー:田畑 翔子
言語教育情報学修士。米国留学を経て、英語教育について研究。TESOL(英語教育の国際資格)を保持。2010年教育系ベンチャー企業 恵学社に設立時から参加。現在StudyHacker ENGLISH COMPANYの責任者。
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