キミは輪島塗のキーボードを知っているか!?
2006年には、「HHKB Professional HG JAPAN」という輪島塗のキーボードを発売。50万円という価格で、世界で最も高価なキーボードとしてギネスブックに掲載された。
「JAPANというのは漆器という意味で、石川県というと輪島塗ですが、その名前を使われていないのは何か理由があるのですか?」と前田氏から質問が出た。
「実際、輪島塗です。ところが輪島塗はブランドでして、木に塗る必要があるとか、日本製の漆を使っているとか、3つくらい条件があるんです。和島漆器組合に掛け合ったのですが、断られました」(松本氏)
2016年には、初のワイヤレスモデルとなる、Bluetooth接続の「HHKB Professional BT」が発売された。ちなみに、パッケージに印刷されている「BT」のロゴを書いた書道家の深谷勇介氏は、PFU社員の弟とのこと。
“ハッカー”は公序良俗に違反する単語だった
セッションの締めは、和田先生の名言。
「アメリカ西部のカウボーイたちは、馬が死ぬと馬はそこに残していくが、どんなに砂漠を歩こうとも、鞍は自分で担いで往く。馬は消耗品でアリ、鞍は自分の体になじんだインターフェースだからだ。いまやパソコンは消耗品であり、キーボードは大切な、生涯使えるインターフェースであることを忘れてはいけない」
最後、会場からの質問タイム。「Happy Hacking」ロゴの話を聞かせてほしい、という要望があがり、八幡氏が回答。
「最初のロゴは担当者がWindowsのソフトで斜めにしたんです。今のロゴは、アメリカのデザイナーに頼みました。最初「Happy Hacking」で商標登録をしたのですが、特許庁から「ハッカー」という言葉が公序良俗に反するというので拒否されました」(八幡氏)
その後、ハッカーという言葉の説明をして、商標を登録できたという。
「悪い方はクラッカーなんだといくら言ってもわかってもらえず、今はホワイトハッカーになってますね(笑)」(八幡氏)
次は、HHKB Lite 2とType Sのカーソルキー回りの配列が異なるのはなぜか、という質問。誰も答えられなかったのだが、会場後ろにいたPFUのエンジニアが手を上げた。
「静電容量の技術的な問題です。小さいキーを作るための回路を入れられなかったというのが正直なところです。電子的に、静電容量でスイッチをオンオフしていますので、キーの大きさを変えると調整が難しくなるので、同じ大きさのキーしか載せられなかったのです」
とのこと。筆者も使い勝手を考えてカーソルキーを大きくしたのだろう、と勝手に思い込んでいたが、こんな裏話があるとは初めて聞いた。
休憩時間は歴代HHKBを愛でる!
第2部までしばらくの休憩時間、会場の後ろには、過去のHHKBが展示されており、黒山の人だかり。その端には即売会場が開かれたが、こちらも大人気。多くの人たちがHHKBを2台以上持っているはずなのに、飛ぶように売れている。中には3台購入しているひともいた。スタッフに話を聞くと、ここまでの割引販売は最初で最後だろうとのこと。筆者も一通りは持っているのに、なぜか買いたくてうずうずしてしまった。
第2部が始まる前に、中国市場に関するセッションが行なわれた。PFU上海のマーケティング担当のキョさんが、中国でのHHKB事情を紹介してくれた。
中国にHHKBが登場したのは2007年前後。中国のキーボード愛好者たちが並行輸入店から購入し、HHKBに惚れ込んだそう。その後、中国のプログラマーの間で広がり、2015年8月、中国ユーザーのサポートとサービス品質向上のため、中国での販売を正式開始した。2017年7月に発売されたHHKB BTは中国でも同時に発売されている。
ネットショップモールでは大人気で、公式SNSではHHKBの愛好者が活発に情報をやりとりしているという。さらに、女性が男性に送るプレゼントにHHKBを選ぶというので会場は爆笑。しかし、これはネタはではなく、本当に子緑という女性が彼にHHKBを送ったところ、数日後にプロポーズを受け結婚することになったという。このストーリーは動画共有サイトに投稿され、284万回再生されている。さらに、11月に北京で開催されるHHKBのミートアップイベントにも夫婦で参加してもらう予定とのこと。驚きだが、HHKBユーザーとしてはとてもうれしいエピソードだ。
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