VAIO株式会社は9月21日に発表会を開き、2年ぶりとなる新型ノートPCを6機種発表した.主に個人向けのVAIO Sは11.6型のS11、13.3型のS13、15.5型のS15で、法人向けは同じボディデザインながら、名称は11.6型がPro PF、13.3型がPro PG、15.5型がPro PHである.
冒頭、代表取締役の吉田秀俊氏はVAIOの注力ポイントとして仕事の生産性を「快」によって高めるとし、ビジネスユースに最高の「快」を届けるのがVAIO PCの役割であるとした.
広帯域のLTEモデムを内蔵し
450Mbpsの高速通信も可能に
両シリーズともに11.6型と13.3型にはLTEモデムを内蔵している.ハードウェアとしての特徴は各機種の記事を参照していただいて、発表会で強調された、LTEについて説明していく.
搭載するのはSIMロックフリーのLTEモデムで、ハードウェア的には国内の3大キャリアの使用バンド(周波数帯域)をカバーするのはもとより、海外でしか利用されていないバンドまで搭載している.
海外への輸出の目的もあるが、日本のユーザーが海外渡航したときにも、データローミングや各国のSIMを使って、高速通信を実現することができる.この表以外では、バンド2,4,5,7,12,13,17,20,25,29.30,38,39,40も内蔵している.また、搭載モデムはキャリアアグリゲーションに対応しており、最高450Mbpsでの通信も可能となっている.
Windows10の「データプラン」にはじめて対応
Windowsストアで必要なデータ通信を購入可能
今回の新製品での進化点として、LTEモデムを活用した「Always Connected PC」を実現していることがあげられる.これはマイクロソフトが提唱する働き方改革を推進するもので、Windows10の新機能「データプラン」に国内ではじめて対応したPCである.
LTEモデム搭載の新VAIOには、このデータプランに対応したSIMカードが同梱されている.当初はフランスの通信事業者「Transatel」のものが付属しており、1カ月で1GBの無料データ通信を内蔵.国内ではローミングとなり、IIJがカスタマーサポートを担当するという(回線を提供するのではない).
さらにこのSIMで通信を続ける場合は、Windowsストアで通信データ量を購入することになる.通信料金は500MBが700円(有効1日間)、1GBが1200円(同7日間)、3GBが3000円(同1カ月)、10GBが8400円(同3カ月)で、支払いはマイクロソフトアカウントで登録している方法にて決済できる.
もちろんSIMロックフリーなので、手持ちのSIMカードを使って通信することも可能で、格安のデータSIMや、従来から販売しているVAIOのデータSIMも利用可能だ.
ただし、S11/S13ともにSIMカードスロットは「マイクロSIM」サイズなので、それより小さいサイズのSIMを使うには自前で変換ホルダー等を用意しなければならない.
法人向けサービスとして
LTEを使って遠隔でのデータ消去も可能に
法人向けモデルの新VAIO Proシリーズでは、エンタープライズレベルのセキュリティーと安定性を持つWindows10 IoT Enterprise 2016 LTSBの導入支援サービスも提供するほか、遠隔でのデータ消去も可能となる.
これは「TRUST DETELE Biz for VAIO PC」というサービスで、LTEモデムを使って、盗難や紛失のさいに個人情報や機密データを遠隔から消去できるもの.位置情報の取得やリモートロックに加えて、VAIOが搭載している「Phoenix Secure Wipe」という機能を使って、ドライブ内のデータを完全に消去できる.もちろん、PCが見つかってもデータの復活はできない.
また、株式会社LTE-Xのオフィシャルパートナーとして、同社の独自技術「LTE over Wi-Fi」というサービスも今後提供される予定.これは、Wi-Fiネットワーク上にLTEプロトコルを重ねることで、LTEが持つ認証等の機能を利用可能とする技術である.
新Proシリーズの発売とともに「VAIO PCソリューション」も拡充していく.これは、開発・設計から製造まで行うメーカーならではの法人向けのサービス.PCの導入から廃棄に至るまでのあらゆる場面をサポートするきめ細かいサービスで、これを導入した企業はITマネージメントをより効率化できる.今回発表となった消去サービスもそのひとつである.
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