IT製品から文房具になったGalaxy Note8
Note8の日本発売は未定である。しかし、現在Galaxy S8/S8+を使っている人や、購入を検討している人にとって、Galaxy Note8はとても気になる製品に見えるだろう。
Note8と8/S8+の基本スペックに大きな差はない。しかし、どちらの製品を選べばよいのか、その回答は明快だ。Sペンの機能に魅力を感じるのであれば、Galaxy Note8の日本発売に期待を寄せるべきだろう。
とはいえ「ペンは使わなくてよい」と考えている人も、進化したSペンの機能を知れば、Note8が欲しくなるに違いない。
Sペンはただのデジタイザーペンではなく、Note8のハードウェア・ソフトウェアと融合された機能を多く持つ。ほかのスマートフォンではできない機能を多数持っているのだ。
中でも、使い勝手が高い機能が「スクリーンオフメモ」だ。Note8をポケットから取り出し、Sペンを抜くとそれだけでディスプレー上にメモを書くことができるのだ。
いちいちメモアプリを起動する必要もないし、ペンで画面をタップする必要もない。「胸ポケットから紙の手帳を取り出し、ペンでメモを書く」と同じ感覚でメモ書きができるのである。
しかも、1画面にメモが収まらない場合でも、画面下にメモをスクロールさせ次のページに書き込める。メモは100ページ(100画面)ぶん書けるので、実質的にほぼ無制限に書けるような感覚だ。
急に思いついたアイデアや買い物リスト、あるいはブログに書く文章、そしてスケッチなど、一般的なスマートフォンでは即座に記録できない内容も、Note8ならカンタンに残すことができるのだ。
Sペンを使った特徴的な機能はもうひとつある。Sペンを抜くか、ディスプレー上でSペンのボタンをダブルクリックすると起動する「エアコマンド」だ。
エアコマンドはアイコンから起動できるSペンを使ったミニアプリのようなもの。Galaxy Note5からいくつかのアプリが利用できたが、Note8では専用アプリが10種類に増えている。
ディスプレー上にSペンをかざすとその部分が拡大表示できる「Magnify」や、かざした文字を翻訳してくれる「Translate」はビジネスのみならず日常シーンでも役立つだろう。
TranslateはNote7/FEで実装されていたが、Note8では「文章」「通貨変換」にも対応した。たとえば、海外通販サイトを見ている時に、製品の英語の説明やドル表示の価格の上にSペンをかざせば、文章の翻訳や日本円表示をポップアップ表示じてくれるのである。
また、画面を自在にキャプチャーできる「SmartSelect」機能は、動画の切り出しにも対応している。切り出した後に保存されるのは「GIFアニメーション」であり、音声は入らない。
しかし、動画サイトで見つけたおもしろい動画をシェアしたいときに、URLを送っても忙しい相手は見てくれないだろう。だが、10秒程度のGIFアニメならタイムライン上で自動再生してくれるのですぐに反応が期待できる。Sペンを使うので動画の切り取り範囲も細かく調整可能なのだ。
そして、Note8ならではの機能が「Live Message」である。Sペンの手書き機能を拡張したもので、手書きした絵や文字を書いた通りにGIFアニメとして保存し、チャットやメッセージで共有できるのだ。
写真の上にアニメーション的に文字などを書き入れて送ることもできる。味わいのある手書きの文字に動きを加えたもので、相手にメッセージを送るときについつい使いたくなる機能と言えるだろう。
ペン先や色ももちろん変えられるので、将来は「Live Message職人」のような人が作ったGIFアニメの字やイラストが、スタンプのように他の人と共有・交換される、といったブームも起きるかもしれない。
指でできた操作のほとんどをSペンでも実行できるため、2つのアプリ画面を表示するマルチウィンドウのサイズ変更なども楽にこなすことができる。
市販されているスマートフォンのスタイラスペンよりも細かい操作が可能なうえに、ペンの感度も高く、Note8は指先操作だけに頼っていた人をペン操作の世界へ引き込んでしまうほどだ。
しかし、そこまで細かい操作などを必要としない人にとっては、逆にSペンのメリットは少ないだろう。Note8は「万人のためのスマートフォン」というよりも、Sペンを中心とした「クリエイティブツール」なのだ。
日本で最後に販売されたNoteシリーズは「GALAXY Note Edge」だったが、日本向けOSの出来具合やペンの感度など、必ずしも満足のいく製品ではなかった。
それから3年経った2017年に登場するNote8は、まったく別のペンデバイスと言えるほど完成度の高い製品に生まれ変わった。日本のユーザーにも高い満足度を与えることのできる製品と感じられただけに、日本市場へぜひ投入してほしいものだ。
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