“働き方改革”が叫ばれる昨今、仕事の効率化が求められている。
その第1歩となるのがペーパーレス化だ。ペーパーレスといってもいろいろな取り組みがあるが、意外と手軽に始められるものもある。手始めにミーティングの資料や議事録の電子化といった、簡単にできるところから手を付けていくといい。今回は、そんなペーパーレス化のはじめ方のお話だ。
在宅勤務はペーパーレスでないと始まらない
働き方改革を進めていく上で、テレワークというキーワードがよく取り上げられるが、現状、勤務先にテレワーク制度があるのは雇用者全体の14.2%にすぎない(国土交通省「平成28年度テレワーク人口実態調査」より)。在宅勤務などは会社の人事制度自体を大きく変える必要もあり、導入までのハードルは意外と高いのも背景にあるだろう。ただ、いきなり在宅勤務といっても、紙を使ったワークスタイルから脱却していないと話が始まらない。在宅中に紙を使った業務があった場合、作業が滞ってしまうからだ。
ペーパーレス化と一口に言っても、もちろんハードルはある。決裁の承認や社印の必要な書類、契約書、行政への届出書など、捺印するものに関して紙をなくすことはなかなか難しい。ただ、行政では国税関係書類のスキャナ保存の要件が変更されたり、電子上で上司が確認し回覧できる決裁システムもあるので、紙文書の削減は実現しやすい環境にはなってきている。
予算との兼ね合いもあるが、仕事の効率化を考えれば、そのあたりのワークフローに関してもメスを入れる必要があるだろう。
とはいえここでは、そこまでの話ではなく、まず身の回りの作業から紙をなくしていくことから始めたい。ペーパーレス化したいものの中で筆頭なのがミーティングだろう。資料を事前に出席者全員に配布し、ミーティング後は、議事録を出席者+報告したい上司などに配布というのはよくある光景だ。
その都度、誰か(大体はいちばんの若手)が資料を回収し、まとめてプリントアウト。それをコピー機で必要部数つくり、みんなに配布。会議中はメモを取ってパソコンへ入力し、プリントアウトして必要部数コピーし配布。これって、労力も大変だが印刷・コピー代や紙代がパカにならない。そもそも、もともとの資料や議事録はパソコンで作られたものなのだから、それを活用しないのはもったいない。
アプリやサービスを導入して効率化
資料や議事録を配布するには、メールだと他のものに紛れてしまい、効率が良くない。また、メールに資料を添付する行為も、メールサーバーを圧迫するだけであまりよろしくない。別途部署内やチームごとに閲覧できるアプリを導入するのが、テレワークを視野に入れた対策としても最適だ。たとえば、マイクロソフトの「Office 365 Business Premium」を導入すれば「Teams」アプリが利用できるので、プロダクトごとやチームごとなどでメンバーを限定したやり取りが可能。もちろん資料の共有もクラウドストレージ「OneDrive」を介して簡単にできる。
また、ペーパーレスに的を絞ったシステムもある。富士ソフトの「moreNOTE」は、ペーパーレス会議機能として、各会議をカレンダーから選択できたり、資料の共有・同期がカンタンにでき、会議中全員が同じ資料画面を見られたりする仕組みが用意されている。
ほかにも、チャットサービス、たとえば「Slack」や「チャットワーク」などを導入して、チームごとの議論、進捗などはチャットアプリで管理し、ファイル共有はクラウドストレージサービスのOneDriveやDropBoxなどを利用するという複合技も考えられる(各チャットサービスだけでファイル保存・共有も可能)。いずれが最適かは、企業の予算や人数、使い勝手などさまざまな要因があるが、仕事を効率化する第一歩なのでよく吟味して導入することをオススメする。
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