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ウォーターオーブン ヘルシオ AX-XW400発表:

肉汁したたるステーキが焼ける シャープ新「ヘルシオ」

2017年07月06日 14時30分更新

 塩分と油分を落とした健康的なオーブンレンジ料理ができるシャープ「ヘルシオ」シリーズ新製品が登場。天面ヒーターのワット密度を従来比1.39倍に上げ、高火力の過熱水蒸気で食品をあぶり焼きにする機能をもつ。肉汁したたるミディアムステーキが焼ける。8月9日発売。

「ウォーターオーブン ヘルシオ AX-XW400」
実売価格18万円前後
シャープ

http://healsio.jp/

ウォーターオーブン ヘルシオ AX-XW400


1400~1800℃相当の加熱ができる!?

 あぶり焼き機能は、庫内最上段に網を2段重ねにして食品を置き、高火力の過熱水蒸気を直接噴射することであぶり焼きにするというものだ。

 過熱水蒸気は100℃以上に加熱した水蒸気のこと。本体下部のエンジンで蒸気をつくり、ファンを回してダクトから本体上部のヒーターに送って加熱、高温の過熱水蒸気を噴射する。空気に比べて約8倍の火力(熱量)になるという。表面をカリッとあたため、内側までしっかり熱を入れるのがメリットだ。じっくりあたためるオーブン調理とちがい、すばやく熱を入れられる。

 他社も過熱水蒸気を使っているオーブンレンジはあるが、ヘルシオだけがあぶり焼きを実現できたのは、密閉構造がしっかりしていて過熱水蒸気の火力が強いためだという。

ヘルシオ解体モデル

下部のエンジンで水蒸気を作ってダクトから上部に送る

1.39倍にワット密度が上がったヒーターで水蒸気を加熱する

 実際にステーキを焼いてみる。

 牛肉を網の上にのせてヘルシオにセットすると、約8分でステーキができあがった。切ってみると内側は赤みを残したミディアムレアだ。表面にはこんがりと焼き色がつき、肉汁がしたたり落ち、めちゃめちゃうまかった。オーブンだと200~300℃でじわじわ加熱するのでこんなことはできないとシャープ スモールアプライアンス事業部の田村友樹さんは話していた。

 発表会で焼いたのは和牛だった。そりゃ高い肉を焼けばうまいだろうよと一瞬思ったが、海外産の牛肉でも過熱水蒸気で焼くと内側までやわらかく仕上げられると言っていた。試したい。

肉だー

2段の網にのせて最上段にセット

8分で焼けた。うまそうでしかない

肉汁じゅわー。うまいに決まっていた

 続いて焼いたのは、かつおのたたき。口に入れた瞬間、あぶり焼きならではの芳しい香りが広がった。内側はさっぱりと火が通っていた。しょうがをのせて食べると天国だった。

 味香り戦略研究所が九州大学開発による味覚センサーを使って評価したところ、ガスバーナーであぶったものと同程度の味わいを感じられるという結果が出たそうだ。ガスバーナーの炎は温度にすればおよそ1400~1800℃。ウォーターオーブンで同程度の火力を得られるというのは驚きだ。ちなみにかつおのたたきの本場・高知でわら焼きにするのは火力を稼ぐためだという。勉強になった。

同じ工程で焼けたカツオのたたき

切ると内側は赤みが残っている

口に入れると芳しいあぶり焼きの香りが

 なぜあぶり焼きかというと、最近は家でもプロの調理方法を使って本格的な料理をつくり、SNSに料理写真を投稿するのがおはやりである、中でも最近はあぶり焼きがトレンドである、という社内調査の結果が出たからだという。しかし実際あぶり焼きを家でやろうとするとガスバーナーの火力調節に苦慮することになり、なかなかうまくいかないので、それならヘルシオでできるようにしようではないか、という流れだったそうだ。わたしの観測範囲では製麺や低温調理などやや方向性がちがう調理分野がブームなのだが、たしかに自宅であぶり焼きというのは惹かれるものがある。


多機能レンジの弱点を克服

 新製品では音声操作にも力を入れている。たとえば「レンジ、600W、3分20秒」というと、そのとおりに加熱するというものだ。同じようにとんかつをあたためたい、シュウマイを蒸したいといったメニューも音声で選べる。シャープ独自の通信技術「AIoT」技術を使った仕組みだ。

 なぜ音声操作かというと、多機能レンジはメニューが深くなりすぎて普通の操作がしづらくなってしまっているからだ。ただ冷凍食品をあたためたいだけなのに、わざわざコースの深くまで操作しないといけないというのは時間がないときストレス以外の何者でもないということで、音声操作に力を入れるようにしたという。そもそも家事の手間を省くという家電本来の役割と矛盾した開発コンセプトそのものがおかしいのではないかという気も若干したが納得した。

 ヘルシオは2004年に第1号機を発売したオーブンレンジだ。長らく「健康とおいしさ」をテーマに開発してきたが、消費者から「買ったんだけど使いこなせない、ハードルが高い、結局電子レンジになっている」という声があがった。ようするに使いづらかったのだ。もっと簡単に使ってもらいたいと導入したのがAIoTだ。今年からは最高級モデルだけでなく、標準モデルにもAIoT機能を積んでいくという。シャープとしてここに力を入れていくよということのようだ。

音声で「レンジ600W、3分30秒」などと操作できる

 最後にもう1つの便利機能としては、食材を適当にのせて調理するだけの「まかせて調理」がある。たとえばハンバーグをあたためるとき、大きいもの、小さいもの、冷凍のもの、冷蔵のものを同時に乗せてもすべておいしく仕上がるという。過熱水蒸気で調理するので生卵をそのまま乗せても大丈夫らしい。レンジに生卵というのは信じられないがスチームオーブンならではの機能だ。

冷凍も冷蔵も同時にあたためられる

生卵をアルミホイルに包んでゆでたまごにできるというのが信じられない

 いろいろあるけれど、やっぱり興味があるのはあぶり焼き機能だ。スーパーで値引きシールの貼られた安売り肉で試してみたい気持ちがあった。

 最後に本筋とは関係ないところなのだけど、Amazon Echoのようなスマートスピーカーをはじめ多くの製品分野で音声認識が定番・標準のインターフェースになってしまうと、生まれつき耳が聞こえない、しゃべれない人は不便を強いられるのかなあ、と思ってしまった。そもそもふつうの家電もユニバーサルデザインというのは少ないけれど、ITの人たちにはがんばってほしいなあ、という気がした。蛇足だった。




書いた人──盛田 諒(Ryo Morita)

1983年生まれ、家事が趣味。0歳児の父をやっています。Facebookでおたより募集中

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