ゴルフとは紳士のスポーツである。スタート位置にボールを置く動作をティアップと言うのだが、この際プレイヤーだけでなく、周りで見ている観客にまでマナーを要求するのがゴルフと言うスポーツの最大の特徴である。テニスと同じくプレイ中はプレイヤーの集中を邪魔してはならないと言う鉄よりも固いそのルールはイギリス発祥発症のスポーツに共通している。
さて、第49回はそんなゴルフとロボットをテーマにした、「100ft Robot Golf」の紹介だ。
フェアウェイが無ければフェアウェイを作ればいいじゃない
本作品はコントローラーに対応している。キーボードとマウスでも操作が可能だが、直感的に操作ができるコントローラーを個人的には推奨したい。
「100ft Robot Golf」は、全長約30m(≒100ft)のロボットでゴルフを行なう、という文字だけでみれば至極、単純なスポーツ(?)だ。操作は単純。ただし、一般的なゴルフゲームだと次の場所までは自動で移動してくれるのだが、本作はボールがある場所までコントローラーのスティックを使って自分で歩かなければならない。
ボールに辿り着きコントローラーのAキーでティアップだ。ボールを打つ動作は操作するロボットで打ち方もUIすらも変わるため、全員共通と言うわけではないのだがキャンペーンモードで一番最初に触ることになるキャラクター“MAX”の機体が最もオーソドックスなUIと打ち方だ。
ボールを打った後は感慨に浸りながらボールの着弾を目で追いかけてもいいが、本作品は普通のゴルフゲームとは一線を画す。(ロボットの時点で違うだろうと言うツッコミは置いておこう。)
本作品には打順が無いため、勝手に打って、勝手にホールインすればその時点で一着になるのである。そのため、リアルタイムでほかのプレイヤーもカップを目指しているので、さっさと進行する必要がある。
だが、荒唐無稽に見えて本作品はゴルフだ。ゲーム中のプレイヤーは真面目にゴルフをプレイしているのだ。
冒頭で本家ゴルフのルールを軽く説明したが、もうひとつ重要なルールがある。それは“ルース インペディメント”と呼ばれる規定だ。大雑把に書くと、ボールの近くに存在する取り除いていい障害物を規定しているルールで、小石や葉っぱなどがそれに該当するのだが、30mを超えるロボットから見れば町中のビルや木、果ては他のプレイヤーもいわばそういう小石と同等なのである。
ただし、ゴルフは紳士のスポーツである。ティアップに入ったプレイヤーに対しては一切の妨害は効かない。そばにいると逆に弾き返されてしまう。だが、自分が障害物になることで他のプレイヤーの妨害は行なえる。
どこかで見たあのアニメのオマージュのキャンペーンモード
その絵面のインパクトと上記の説明だけではどうしてもプレイヤー同士の対戦に目が行きがちではあるのだが、本作品のフルボイスのキャンペーンモードも負けず劣らず気合が入っている。80年代後半から90年代前半のアニメとロボットデザインをオマージュした絵柄とシナリオはチュートリアルを兼ねており、誰かとマルチプレイを行なう前のプレイとしても豪華すぎるできである。
バカを真面目にやるのは難しい
バカを真面目にやるのは難しいとはよく言ったもので、笑いと言うものはとても難しいものである。第一線で活躍する芸人にしかり、文章にしても「本当にバカだなぁ。」と思うものは計算しつくされていると言っても過言ではない。更に、平成初期に誰かの家に集まってファミコンのコントローラーを投げつけあった「くにお君シリーズ」を彷彿とさせるノスタルジアも感じる。それもこれも、オンラインで誰かとゴルフクラブとロボットで殴りあう様はギャグを超えた何かである。
そして、No Goblinと言うメーカーはロボットゴルフをいきなり放り込んできた一発屋のイロモノではない。前作は「Roundabout」と言う70年代風の実写映像を100分以上盛り込んだ、常に回転するリムジンタクシーを運転するゲームを販売している。何を言っているかわからないと思うが文字通りなので仕方がない。
ただ、イロモノに見える部分は仕方ないとしてもプレイしてみれば真面目に作られたゲームであることは感覚で通じるのである。
現実には誰かとラウンドを回るのは大変だが、ネットワークでは簡単だ。君もゴルフの聖地“オーガスタ”ならぬ“月”を目指してみるのも良いのではないだろうか?
100ft Robot Golfの推奨動作環境は?
グラフィックの最低要件がGeForce GTX670以上となっており、ミドルクラスのGPUで十分だが、CPU内蔵GPUではきびしい。ただし、オプションでのグラフィックオプションをとにかく上げて、遠景の描写を増やすと負荷が上がるため、GPUは余裕をもってハイエンドクラスで遊びたい。
また、記載はないがマルチプレイの際はUDPポート56074を解放しておかないと上手くマッチングできない場合があるので、繋がらない場合は試してみてほしい。
「100ft Robot Golf」
●No Goblin
●1980円(2016年3月17日リリース) ※価格は記事掲載時点のものです
対応OS Windows 7 64bit以上
ジャンル 独立系開発会社 アクション スポーツ eスポーツ Golf
■著者:rate-dat
・Steamのプロフィールページ:Steam コミュニティ :: ratedat
・Twitter:@rate_dat
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