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吹き飛ぶビルに乱れ飛ぶミサイルとボール!新世紀ロボットゴルフ「100ft Robot Golf」:Steam

2017年04月21日 18時00分更新

 ゴルフとは紳士のスポーツである。スタート位置にボールを置く動作をティアップと言うのだが、この際プレイヤーだけでなく、周りで見ている観客にまでマナーを要求するのがゴルフと言うスポーツの最大の特徴である。テニスと同じくプレイ中はプレイヤーの集中を邪魔してはならないと言う鉄よりも固いそのルールはイギリス発祥発症のスポーツに共通している。

 さて、第49回はそんなゴルフとロボットをテーマにした、「100ft Robot Golf」の紹介だ。

フェアウェイが無ければフェアウェイを作ればいいじゃない

 本作品はコントローラーに対応している。キーボードとマウスでも操作が可能だが、直感的に操作ができるコントローラーを個人的には推奨したい。

「100ft Robot Golf」は、全長約30m(≒100ft)のロボットでゴルフを行なう、という文字だけでみれば至極、単純なスポーツ(?)だ。操作は単純。ただし、一般的なゴルフゲームだと次の場所までは自動で移動してくれるのだが、本作はボールがある場所までコントローラーのスティックを使って自分で歩かなければならない。

スタートから全員一斉にボールへ向かうため開幕からひしめき合うことになる。対人戦であればボールの手前で殴り合いになることもある。

 ボールに辿り着きコントローラーのAキーでティアップだ。ボールを打つ動作は操作するロボットで打ち方もUIすらも変わるため、全員共通と言うわけではないのだがキャンペーンモードで一番最初に触ることになるキャラクター“MAX”の機体が最もオーソドックスなUIと打ち方だ。

ボールを打つ場所、クラブやスピンの調整を決めたらパワーとスライスの調整に入る。MAXのUIの場合はゴルフゲームのスタンダートともいえる上下に触れ続けるゲージを目押しして調整する。

キャンペーン二話目でプレイすることになるErnieの機体であればここまでUIが変わる。ボールを打つ際はRTとLTトリガーの押し込み量を調整する事でパワー調整を行なう。ゲージの上限値を狙うのは簡単だが、微調整は難しいピーキーな仕様だ。

 ボールを打った後は感慨に浸りながらボールの着弾を目で追いかけてもいいが、本作品は普通のゴルフゲームとは一線を画す。(ロボットの時点で違うだろうと言うツッコミは置いておこう。)

 本作品には打順が無いため、勝手に打って、勝手にホールインすればその時点で一着になるのである。そのため、リアルタイムでほかのプレイヤーもカップを目指しているので、さっさと進行する必要がある。

ボールを目で追う必要はなく、即座に移動モーションに切り替えられるのも本作品の特徴である。むしろそれが、このゲームの対戦のエッセンスとなっている。(画像では分かりにくいが打った後に即座に移動している。)

 だが、荒唐無稽に見えて本作品はゴルフだ。ゲーム中のプレイヤーは真面目にゴルフをプレイしているのだ。

 冒頭で本家ゴルフのルールを軽く説明したが、もうひとつ重要なルールがある。それは“ルース インペディメント”と呼ばれる規定だ。大雑把に書くと、ボールの近くに存在する取り除いていい障害物を規定しているルールで、小石や葉っぱなどがそれに該当するのだが、30mを超えるロボットから見れば町中のビルや木、果ては他のプレイヤーもいわばそういう小石と同等なのである。

目の前に障害物があるなら取り除けばいい。単純で明解な答えである。LTトリガーでミサイルやレーザーを撃って壊しても良いが、手持ちのクラブで排除してもいい。

 ただし、ゴルフは紳士のスポーツである。ティアップに入ったプレイヤーに対しては一切の妨害は効かない。そばにいると逆に弾き返されてしまう。だが、自分が障害物になることで他のプレイヤーの妨害は行なえる。

ボールの進路にいたとしても、たまたま移動中だから、と言い張るのが紳士のたしなみである。

どこかで見たあのアニメのオマージュのキャンペーンモード

 その絵面のインパクトと上記の説明だけではどうしてもプレイヤー同士の対戦に目が行きがちではあるのだが、本作品のフルボイスのキャンペーンモードも負けず劣らず気合が入っている。80年代後半から90年代前半のアニメとロボットデザインをオマージュした絵柄とシナリオはチュートリアルを兼ねており、誰かとマルチプレイを行なう前のプレイとしても豪華すぎるできである。

ストーリーは再び大きなゴルフツアーイベントを開くことになったMAXが再び過去の参加者を集めるところから始まるのだが、ここに謎の陰謀であるProject.Cによる謎の陰謀が絡み合う。

 

チュートリアルと言うべきストーリーモードはどんな結果であろうと話はどんどん進んでいくため、ゴルフゲームが苦手でも大丈夫だ。

キャンペーンモードの結果で得られる上記画像のコインは機体のカスタマイズショップの購入に使用できる。デフォルトでは解禁されていない機体カラーなどを解禁できる。

某アニメのパロであるProject.C。第一話のあの流れも再現しているので選ばれたチルドレンが誰なのかはぜひ自分の目で見てほしい。

バカを真面目にやるのは難しい

癒し?と言うわけではないが、マップ上ではゴルフに関わる大量のジョークをランダムに聞ける。バリエーションも豊富でどれだけ収録されているかは底が見えない。

 バカを真面目にやるのは難しいとはよく言ったもので、笑いと言うものはとても難しいものである。第一線で活躍する芸人にしかり、文章にしても「本当にバカだなぁ。」と思うものは計算しつくされていると言っても過言ではない。更に、平成初期に誰かの家に集まってファミコンのコントローラーを投げつけあった「くにお君シリーズ」を彷彿とさせるノスタルジアも感じる。それもこれも、オンラインで誰かとゴルフクラブとロボットで殴りあう様はギャグを超えた何かである。

全キャラクターには必殺技もある。例えば、骨格標本のGood ol' Jeffreyは、自分のボール周辺にダンスフロアを生成する。ダンスフロアに立ってしまうと問答無用で踊ってしまうため操作が出来なくなる。

 そして、No Goblinと言うメーカーはロボットゴルフをいきなり放り込んできた一発屋のイロモノではない。前作は「Roundabout」と言う70年代風の実写映像を100分以上盛り込んだ、常に回転するリムジンタクシーを運転するゲームを販売している。何を言っているかわからないと思うが文字通りなので仕方がない。

 ただ、イロモノに見える部分は仕方ないとしてもプレイしてみれば真面目に作られたゲームであることは感覚で通じるのである。

セインツロウシリーズでお馴染みのピアース・ワシントンも、なぜかゲストとしてプレイアブルキャラクターで参戦している。ロボットデザインもさることながらUIも同ゲームを再現しているのは芸が細かい。

収録されているマップも多岐にわたる。スタンダートな街コース、OB多発の山岳エリア、マリアナ海溝の深海コース、月面と、どう考えてもゴルフをプレイするフィールドには思えないが気にしてはいけない。

 現実には誰かとラウンドを回るのは大変だが、ネットワークでは簡単だ。君もゴルフの聖地“オーガスタ”ならぬ“月”を目指してみるのも良いのではないだろうか?

100ft Robot Golfの推奨動作環境は?

 グラフィックの最低要件がGeForce GTX670以上となっており、ミドルクラスのGPUで十分だが、CPU内蔵GPUではきびしい。ただし、オプションでのグラフィックオプションをとにかく上げて、遠景の描写を増やすと負荷が上がるため、GPUは余裕をもってハイエンドクラスで遊びたい。

 また、記載はないがマルチプレイの際はUDPポート56074を解放しておかないと上手くマッチングできない場合があるので、繋がらない場合は試してみてほしい。

「100ft Robot Golf」
●No Goblin
●1980円(2016年3月17日リリース) ※価格は記事掲載時点のものです
対応OS Windows 7 64bit以上
ジャンル 独立系開発会社 アクション スポーツ eスポーツ Golf

■著者:rate-dat
・Steamのプロフィールページ:Steam コミュニティ :: ratedat
・Twitter:@rate_dat

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