ベンチマークでは出ない実力をデモで確認
ギガビッドLTE環境下では従来機にも影響が出る
しかし、ヘテロジニアスな処理を売りにするSnapdragon 835にとって、ベンチマークはあくまで指標の1つでしかない。CPUやGPUの性能を測るための物差しでしかないというわけで、クアルコム側もそれは認める。
こうしたベンチマークの数値では表せない結果に関しては、デモコーナーでその詳細を解説していた。
ギガビットLTEについては、米国でのシミュレーション結果を展示。LTEはカテゴリーが段階的に分かれており、それによって対応する機能や速度が決まる。ギガビットLTEは、LTEのカテゴリー16という位置づけだ。これが、過去のカテゴリーと混在した際や、カテゴリーごとの比率を変えたときに、スループットにどう影響を与えるのかというのが、このデモの目的となる。
たとえば、カテゴリー16(下り最大1Gbps)の端末が7%、残りが93%の場合、カテゴリー6(下り最大300Mbps)の端末で52.8Mbps、カテゴリー16の端末で93.38Mbpsのスループットが出る。
この割合を変更し、カテゴリー16の端末が十分普及して40%まで上がると、カテゴリー16では107.88Mbps、カテゴリー6では72.45Mbpsになる。いずれのカテゴリーでもスループットの向上が見込めており、これは周波数の有効利用ができていることを意味する。単に対応端末の速度が上がる以上に、導入するキャリアにとってもメリットがあると言いたいわけだ。
HDR・VR・オーディオなどのサポートや
セキュリティー機能の拡充もはかる
また、Snapdragon 835は映像のコントラストを高める「HDR10」に対応。VRに関しては、モーショントラッキングやセンサーによる移動距離の測定にも対応している。
従来型のモバイルVRだと、体の動きまでは映像に反映できなかったが、Snapdragon 835を利用すれば、こうしたコンテンツも作成できる。クアルコムが「没入感」を売りにしているのは、そのためだ。オーディオも同様に、「Aqstic Audio Codec」に対応し、ネイティブDSDの再生にも対応する。
セキュリティーは、インカメラと赤外線カメラの2つを使った光彩認証をサポート。音声認証や指紋センサーにも対応しているほか、機械学習を使い、未知のマルウェアを検知する機能も備える。
このほか、カメラで捉えた物体を認識したり、音声を学習してノイズ環境下での反応率を上げたりといった、機械学習を用いた機能も展示されていた。これらの機能もSnapdragon 835がサポートしている。
現時点で最高峰のパフォーマンスを誇り、通信も下り最大1Gbpsで高速。しかも映像、音楽、セキュリティーなど、用途に合わせた機能も用意しているのが、Snapdragon 835の実力だ。プレミアムな端末に搭載するのに、ふさわしいチップセットと言えるだろう。これを搭載した端末が発売されるのが、いまから楽しみだ。
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