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Xperia XZ Premiumにも採用されたSoC

Snapdragon 835の全容が明らかに! ハイエンドスマホだけでなくVR HMDもサポート

2017年03月22日 19時05分更新

 クアルコムは、3月22日に中国・北京で次期プレミアム向けのチップセット「Snapdragon 835」のベンチマークイベントを開催。その特徴を改めて解説した。

 Snapdragon 835の概要は昨年発表されており、1月に開催されたCESや、2月に開催されたMobile World Congress(以下、MWC)で、その実力をアピールしていたが、商用端末の発売が近づき、いま一度その性能をアピールした格好だ。

Snapdragon 835は、省電力化・ギガビットLTEに対応
ハイエンドスマホだけでなくVRヘッドマウントディスプレーにも

「Xperia XZ Premium」への搭載も決まった「Snapdragon 835」(左)。右は「Snapdragon 820」で、小型化している

 Snapdragon 835は、Snapdragon 820の後継となるチップセット(SoC)で、製造プロセスに世界初の10nm FinFET技術を採用。製造には「サムスン電子をファウンダリーパートナーとして迎え、驚くべきテクノロジーで30億のトランジスタを搭載している」(クアルコム マーケティング部門 シニアディレクター マイク・ロバート氏)。

 CPU、GPUの性能がトータルで向上している一方、省電力性能も上がり、「Snapdragon 801比で50%、電力消費を削減している」(同)のも特徴となる。

「Snapdragon 835」の特徴を語ったクアルコムのロバート氏

製造には10nmのプロセスを採用

「Snapdragon 801」との比較では、約2倍の省電力性を実現

 商用のスマートフォンとしては、MWC 2017でソニーモバイルが「Xperia XZ Premium」を発表。ZTEが試作機として公開した「Gigabit Phone」にも、Snapdragon 835が搭載されていた。

 通信の観点では、256QAMと4×4 MIMO、3CC CAの組み合わせによって、下り最大1Gbpsを実現する「X16 LTE」モデムを内蔵。この機能を使ってギガビットLTEを実現する端末は、Xperia XZ Premiumも含め「3つの商用プロダクトが出てくる」(同)と言い、1社はモトローラ、もう1社はZTEで、すでに実験も進められている。計画やテストを行なっている通信事業者は、すでに11ヵ国、15キャリアにのぼるという。

商用モデルとしては、ソニーモバイルの「Xperia XZ Premium」が発表済み。VRのヘッドマウントディスプレーなどにも採用される

ギガビットLTEに対応しており、対応モデルはXperiaを含めて3機種になる予定だ

 CPUやGPUの性能向上が注目されがちなSnapdragon 835だが、その真価は「ヘテロジニアスなコンピューティング」(同)にあるというのが、クアルコムの考え方だ。

 同社はSnapdragon 835を「プラットフォーム」と定義。従来以上に、CPUとGPUだけでなく、DSP、ISPやオーディオ、セキュリティーといった機能に重きを置いた打ち出し方をしている。

 たとえば、「DSPは機械学習のような、リアルタイムのやり取りに向くし、パラレルなデータストリーミングはGPUが効率的。(用途に合わせて)正しいツールを使う必要がある」(同)というわけだ。

CPU、GPUだけでなく、DSP、ISPなども搭載し、ヘテロジニアスな処理を特徴とする

 ロバート氏が「もうひとつの大切な要素」と言うのが、充電機能。Snapdragon 835は、充電に「Quick Charge 4」を採用する。

 Quick Charge 4は同3.0との比較で20%の高速化が図られており、「15分の充電で、50%まで充電ができる」(同)のが特徴だ。USB Type-Cや、USBの充電規格である「USB-PD」もサポートする。

「Quick Charge 4」に対応し、充電の速度はさらに上がった

3つのユースケースを想定
「ギガビッドLTE」「没入感」「知能」が鍵

 では、Snapdragon 835は、どのようなユースケースが想定されているのか。ロバート氏によると、将来に向けた3つの「道」がここにあるという。

 ひとつは、先に挙げたギガビットLTEへの対応だ。1Gbpsを超えるLTEは、5G導入の前段階として世界各国のキャリアから期待されており、日本では、ドコモも5G導入前のロードマップとして1GbpsのLTE Advancedを導入する計画がある。

 すでに実証実験も進んでおり、オーストラリアではテルストラが、エリクソンの機器やネットギアのルーターを使ってギガビットLTEをテストし、下り911Mbpsを記録。

 米国では、ソフトバンク傘下のスプリントがモトローラの端末を使い、「バスケットボールのゲーム会場を使い、ライブでデモンストレーションを行なった」(同)。こちらは複数の端末が混在する環境だったため、705Mbpsとスループットは落ちているが、ギガビットLTEの実力を見せつけた格好だ。

テルストラやスプリントといった海外キャリアも、実験を進めている

 2つ目のキーワードが「没入感」。Snapdragon 835はスマートフォン以外への展開も計画されており、CESで発表された最初の製品も、携帯電話ではなく、ODGの開発したVRヘッドセットだった。

 クアルコム自身もリファレンスデザインとして「Snapdragon 835 VR HMD」をリリースし、「MWCでは、VRヘッドセット・アクセラレーター・プログラムを発表した」(同)。

 VR、ARを含めた映像への没入感を高めるため、Snapdragon 835はダイナミックレンジを広げる「HDR10」をサポート。オーディオにも注力しており、オーディオコーデックに「Aqstic WCD9341」を採用、DSDの再生もサポートし、リアルなサウンドを実現する。

ビジュアルやオーディオなど、没入感を高めるための機能をまとめてサポートする

 最後の道となるがインテリジェンス(知能)で、これにはISP(Image Signal Processor)によるカメラ機能や、セキュリティー機能、機械学習などが該当する。

 ISPはスムーズなズームや、赤外線、位相差、コントラストといった複数のオートフォーカスを切り替える仕組みをサポート。スマートフォンでトレンドとなっているデュアルカメラにも対応する。

 セキュリティーについては、光彩認証、音声認証、指紋認証といった、複数の生体認証に対応。機械学習については、「Caffe」やグーグルの「TensorFlow」をサポートしており、端末内部で学習を行なうことが可能だという。

撮影やセキュリティー、機械学習など、「インテリジェント」を生かした機能にも対応

 では、このSnapdragon 835は、実際にどの程度の実力を持ったチップセットなのか。後編では、ベンチマークテストやデモを元に、その実力を読み解いていきたい。

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