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サラ・オレインや矢野顕子/上原ひろみの新譜も紹介

麻倉特薦、編集が利きにくいDSD音源を、匠の技でジャズ演奏

2017年04月05日 13時00分更新

『Jazz Loves Chopin』
Michal Sobkowiak


 ショパンのジャズだ。ピアノ作品で傑作をものしている日本の新進レーベル、S2Sの作品。

 1曲目、「舟歌」からインスパイアされたとするDay Is Done。ショバンの音楽は、旋律、ハーモニーがきわめて精密に作り込んであり、それをジャズに編曲するには、圧倒的に斬新な発想と演奏力が必要になるが、本編曲はオリジナルの世界にとらわれずに、断片的なモチーフを自在にモディファイすることで、ショバン作品とはかろうじてわかる程度まで、変更されている。

 有名なノクターン作品9の2からの編曲、Twinkle Of Hopeは4拍子。まるでオリジナルの映画音楽なのかと錯覚する。有名な旋律が顔を覗かすが、伴奏形やリズムがまったく違うので、世界観がまったく違うのが面白い。コード進行は同一なので、アイデンティティは確保されているが。 メカニズムノイズも明瞭に捉えられている高解像度録音だ。2017年2月3日、10日に紀尾井町スタジオで192kHz/24bitt録音。ピアノはフルコンサートSteinway D274。

WAV:192kHz/24bit、FLAC:192kHz/24bit
S2S、e-onkyo music

『ANIMA』
サラ・オレイン


 「1/fのゆらぎの美声」がセールスポイント。一曲目ネッラ・ファンタジアは神々しいサウンドから始まる、

 教会で神々しく歌うイメージ。ヴォーカルの深い響きが付与され、大オーケストラのグロッシーで、ファンタジックな音色が、ヴォーカルの崇高さを支えている。11曲「タイム・セイ・グッドバイ」。もの凄くヴォーカルの響きが多く、こんな愛の歌も、大教会で朗々と大向こうを意識しながら歌われるような雰囲気だ。まさに宗教色を帯びた愛の歌。あまりの響きの多さに、目眩を覚えるほどだ。

FLAC:96kHz/24bit
UCJ Japan、e-onkyo music

『Universal Favorite』
Noam Pikelny

 注目の若手バンジョー奏者、ノーム・ピケルニーのソロ・デビュー作品だ。第1曲、Waveland、コンテンポラリーなソロ・バンジョーって、いったいどんな音がするのか。

 聴くまで想像がつかなかったが、ハーモニーを複数の弦で形成し、その中にメロディを埋もれさせずに、明瞭に浮き立たせるテクニックは凄い。このハイレゾは、和声部の厚み感、旋律の歌いがとても印象的。2曲目、Old Banj。アルペジォ主体の尖ったバンジョーを背景に、味わい深いビケルニーの素朴な歌が入る。主役はエッジが効いた切れ味の鋭いバンジョーだが、まったりとした味わい系のヴォーカルとのコントラスト感が面白い。

FLAC:96kHz/24bit
Rounder Records、e-onkyo music

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