文房具に触れたことがない人はいないはず。また、文房具のことを「好きじゃない」という人も見たことがありません。日常的に利用するから誰しもちょっとしたこだわりがある、文房具とはそんな存在です。
東京・表参道に「文房具カフェ」なる飲食店があって、これがなかなか話題だそう。文房具を愛でながらお茶ができるなんてオツではないですか! 記者が行ってきましたよ。
文房具の売り場と飲食店がミックス
文房具カフェは、表参道Apple Storeのわきを外苑前方面へしばし入っていったあたり。ところどころにカジュアルでオシャレな飲食店が点在する通りの、とある地下にあります。
地下へ続く階段には、文房具メーカーのカタログや専門書が並んでいたり、壁にはにぎやかな描きこみがある画用紙が貼っていたりと、サブカルチャーな雰囲気。
中は広々としていて落ち着いた空間。入口手前からこまごまとした文房具が並んだ売り場のスペースがあります。
扱っている文房具は独自のセレクト。大手メーカーのものからほとんど流通していない小さな工房のものまで、バイヤーがその時のテーマに合わせて文房具を集め、限られた売り場に並べています。
奥は木目のテーブルが印象的なゆったりした飲食スペースになっています。売り物とは別にお客さんが自由に利用できるスケッチブックやクレヨンなども置かれていますよ。
文房具を買い来るだけでもオーケー、飲食店として利用してもオーケー。どちらが主役ともつかない、文房具と飲食の一体型店舗はありそうでなかなかないです。
文房具店で新しいことをしたかった
なぜ文房具と飲食が合わさったのでしょう?
取材時に対応してくれた文房具カフェの副店長、市川弾さんによると「文房具に触れ合う機会をもっとたくさんの人にもってもらいたい。なにか新しいことをやりたい、文房具とお客さんとの接点を増やしたいというのが、文房具カフェの発想になっています」とのこと。
「大きな文房具屋を見て回っていると疲れちゃうじゃないですか。少し休憩できる場所があると文房具屋に長居できちゃいますよね」と、市川さん。
確かに、大きな文房具店がカフェやレストランを備えているということはあります。ですがここまで並列に両者をくっつけた、というのは文房具カフェならではでしょう。
店舗を立ち上げたのは、文房具の卸やEC事業などを手掛ける東光ブロズの代表取締役である奥泉徹さん。家業として文房具の仕事に携わる一方、10代の頃からバーテンダーの修業を積み、現在ではソムリエ、飲食店のコンサルティングなどで活躍。メディアにも多く登場しています。
代表の奥泉さん自身が飲食の知見が深いことと、文房具カフェのスタッフに飲食経験者が多くいることから、文房具と飲食という異色な業態の組み合わせも無理が少なかったそうです。
ほかでは見つからない文具が魅力!
お客さんにとっての楽しみの一つは、やはり独自の品揃え。
取扱い店が少ない小規模工房のペン
例えば、文房具カフェで扱っている「CRAFT A」のペンは大きな文房具店ではほとんど扱いがありません。木製ボディーのペンをひとつひとつ手作業で仕上げる小規模な工房で、製品はそれぞれ風合いが異なります。
小さなメーカーの文房具は大手とは違った価値があり、プレゼントにも喜ばれそうです。CRAFT Aのペンは木の種類や形状によって価格が異なりますが、5000円台のものから並んでいました。
仕事に便利な「時計式ToDo管理付せん」
仕事に便利そうなアイデア文房具も。こちらは「時計式ToDo管理付せん」。アナログ時計が描かれた付せんで、1日の行動予定を書き入れて、タスク消化にかかる時間を視覚的に把握することができます。
もともと文具コンサルタントの土橋正さんが自分のために作ったもの。それまで1日のタスクをテキストで箇条書きにしていたところ、未消化のタスクが積もっていくばかりでしたが、時計図に書き入れたところ実際に実行できるタスクが視覚的にわかり、必要以上に追い立てられる感覚が少なくなったそうです。
タスクと時間を同時に管理するのは難しいもの。アナログではありますが、目に見えるようにするのが手っ取り早い。新社会人が1日の仕事内容を把握してリズムをつけていく、という研修用途でも使えそうです。
常に財布に忍ばせておきたい極薄名刺入れ
文具、というのとはちょっと違うけれど、社会人向けの雑貨でこちらも便利。
薄い簡易版の名刺入れ。紙製と本革製のものがあって、どちらも名刺を数枚入れて財布にスッとしまえる程度の厚み。名刺入れを忘れた時のサブとして使えます。
私もそうですが、財布に予備の名刺を入れている人は多いのではないでしょうか。ですが、財布に直に名刺を入れているとお札の汚れからかじょじょに名刺がくすんできてしまいます。何より、財布からガサゴソと名刺を差し出すのがちょっとかっこ悪い。
紙製であっても、名刺入れらしいカタチの入れ物から名刺を出すとかっこうが付きます。なくてもやっていけるけど、あるといいなというのがまさにこれ。紙製の「CARDRIDGE AIR」「CARDRIDGE PRO」と、薄いながら本革を利用している「CARDRIDGE dunn」があります。
「秘密の鍵」システムがユニーク
文房具カフェの利用者は様々で、近隣に務めている人から、アート系の学生、ネットで見て訪れた外国人観光客の方など。最近だと、文房具をテーマにしたマンガ「文具少女ののの」とのコラボレーションもしたため、マンガ好きなお客さんの来店も増えたとか。
男女比は、私が昼下がりに行った時でいうと飲食スペースには圧倒的に女性が多かったです。画用紙を自由に利用できるので、若い女性たちが絵などを描きつけながら友人との会話を楽しんでいるようでした。
「文房具マニアの方ももちろんいらっしゃいますけど、そこまでマニアックではなくても“文房具がなんとなく好きな方”が多いと感じています。文房具好きって多いのですよね」と市川さん。
さて、おもしろいシステムのひとつが「オフィシャル会員制度」。入会費は700円で、更新費はなし。メリットは、食事と買い物が毎回10%引きになるという割引特典と、“秘密の合鍵”。
秘密の合鍵って?
入会時に渡された鍵で、文房具カフェのテーブルにそれぞれある“鍵付きの引き出し”が開けられるのです。引き出しの中には入れ替えで様々な文房具が入っており、試しに使って楽しめます。
また、一般メニューにはないサービスフードのメニューが引き出しに入っています。こっそり見せてもらいましたが、お値打ち価格の特別メニューが並んでいました。しかも会員特典で10%の割引もつけられるので、かなりお安く食事ができそうです。
10%割引は飲食だけではなく文房具の購入にもあてられるので、すぐに入会費のもとはとれそうなのです。割引は、入会した当日から適用されます。会員にはほかにも、文房具メーカー主催の新商品発表会といったイベントに招待してもらえる、という特典があります。文房具好きな人にとっていいこと尽くし!
文房具カフェならではのメニューが楽しい
食事はどういうものがあるのでしょう?
ランチタイムには魚や肉を使った定食や、カレーライス、パスタ、といったしっかりカフェご飯。お米は十五穀米を使用しており、健康志向です。
夜は夜で文房具カフェならではのオリジナルカクテルやつまみになる一品料理を揃えています。おそらく、文房具目当てではなくても飲食だけで十分に満足できるでしょう。
そんな中でランチ、ディナー通して人気のメニューは「文房具パフェ」。
文房具をモチーフにしたクッキーが乗っている季節替わりのパフェ。見た目がかわいらしくて女性向けではありますが、付属のサービスが楽しいので男性にもオススメですよ。
冬は“さつまいもと黒みつきなこのパフェ”でした。安納芋のモンブランに、ほうじ茶アイスと黒蜜寒天を合わせています。ハサミと三角定規の形をしたクッキーがキュート。
ユニークなことに、文房具パフェを頼むとこのような“ペンケース”を一緒に出してもらえます。
ペンケースを開けると、中にはちょっと懐かしい“おもしろ消しゴム”や“カラーペンチョコ”、色鉛筆の形をしたお箸などが入っています。
消しゴムはパフェに合わせたもの。冬のパフェにはさつまいもの消しゴムが付いてきました。カラーペンチョコは、パフェのトッピングに使っても、持ち帰るのもオーケー。懐かしい駄菓子で話題作りにもなるし、そのままお土産にもできます。ペンケースと箸、スプーンは要返却。
ユニークで貴重なものから、昔懐かしい文房具まで。店内にはあちこちに「文房具ってなんかいいな、好きだな」と思わせる仕掛けがたくさん。セレクト文具の購入に訪れてもいいし、文具あふれる空間で食事してホッとひと息つくのもいいでしょう。
ASCII倶楽部では、最新の進化系文具特集を掲載。文房具に興味がある人はコチラもぜひご覧ください。
文房具カフェ
・住所:東京都渋谷区神宮前4-8-1 内田ビルB1F
・営業時間:10時~23時
・定休日:なし
■関連サイト
ナベコ
寅年生まれ、肉食女子。特技は酒癖が悪いことで、のび太君同様どこでも寝られる。30歳になったので写経を体験したい。Facebookやってます!
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