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元フィリップスの技術者が開発したスイッチングアンプを採用

大型スピーカーをぐんぐん駆動する力を得た、マランツの「PM-10」

2017年01月17日 10時00分更新

アナログアンプとしてのノウハウも盛り込む

 もちろん、これまでのアナログアンプ開発でマランツが培った技術も盛り込んでいる。マイクロアナログシステムズ社の「MAS6116」を使った高精度な電子ボリューム、高品位なカスタムパーツなどを使用している。プリ部分はフルバランスのディスクリート構成で、バランス用基板、アンバランス用基板の両方でHDAM3を使ったバッファー段を用意している。

プリアンプ用の基板。手前がバランス回路、奥がアンバランス回路用の基板となる。

電子ボリューム(MAS6116)

 電源もトランスから分けられており、プリ部の電源にはOFC巻線のトロイダルコアトランスを使用。パワー部の電源は専用設計のスイッチモード電源(SMPS)となっている。

珪素鋼板とスチールケースで2重のシールドを施したトロイダルコアトランス。プリアンプ専用と考えるとかなり豪華だ。

平滑回路用にPM-10専用のカスタムブロックコンデンサー (6800μF / 35V)や整流回路用に超低リーク電流ショットキーバリアダイオードなどを使用している。

パワーアンプ用の専用設計したスイッチモード電源(SMPS)。左右独立で使用する。

 フォノイコライザーも搭載するが、一般的なMM/MCの切り替えではなく、MM/MC(HIGH)/MC(LOW)の3段階としている点は個性的だ。低い周波数域には浅く、高い周波数域には深く負帰還をかけることで、周波数を問わず帰還量を一定に保ち、サウンドキャラクターに変化が出ないようにする“コンスタント・カレント・フィードバック回路”を利用している。

フォノイコライザー部

 本体サイズは幅440×奥行き453×高さ168mmで、重量は21.5㎏。消費電力は270W。入力端子はバランス(XLR端子)を2系統に増やしているほか、アンバランス(RCA端子)を4系統、PHONO出力、パワーアンプダイレクト入力端子を1系統持つ。出力端子はRECアウトが2系統、ヘッドフォン出力が2系統だが、使用しない場合にはこの出力をオフにできる“Purest Mode”も持つ。

ピンジャックのうち、CD用とPHONO用は純銅削り出しにニッケルメッキを施したものとなる。

スピーカー端子も純銅削り出しだ。

フォノイコライザー回路は専用の銅メッキ鋼板+珪素鋼板によるシールドケースに収納するほか、リアパネルやシャーシにもシールド効果に優れた銅メッキ鋼板を使用。また、各回路間にも銅メッキ鋼板や珪素鋼板によるシールド板を配置して相互干渉を抑えているとのこと。また効果的な位置にフェライトコアを挿入したり、電源回路にチョークコイルを追加して電源ラインからのノイズの流入を防いでいるそうだ。

 なお、スピーカー出力はバイワイヤー接続用に2系統持つが、A・B切り替えはできず、常に同時出力となる。従来機種同様、最大4台のPM-10のボリュームを連動させられるF.C.B.S.(Floating Control Bus System)の機能を持つので、PM-10をさらにもう1台追加してスピーカーをバイアンプ駆動するといった拡張も楽しめる。

2代のPM-10を利用した。コンプリートバイアンプ構成。

 価格は64万8000円で、2月下旬の発売を予定している。なお、10シリーズに関しては、購入後の申し込みで3年保証に延長できるとのこと。

HDAM3はバランス・アンバランス両方の電流帰還型インプットバッファーアンプに利用。ディスクリート構成で、入力信号を低インピーダンス化し、左右チャンネル間、入力ソース間の干渉を減らし、入力信号を劣化させずに伝送できるという。

アルミダイキャスト製のインシュレーター

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