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えのきパワーに驚愕!鶏舎の土壌改良剤として超活用

塚田農場の月見ステーキがWチーズ月見に無償アップグレード可能に!

2016年10月06日 12時00分更新

驚愕のエノキパワーはみやざき地頭鶏にも注入されているという事実

 この月見ステーキ、Wチーズ月見に使われているのは、宮崎県が拠点の加藤えのきが生産しているえのき茸。加藤えのきのえのき茸は、西日本ではトップシェアというメジャーな存在とのことで、西日本以外で食べられるのは塚田農場ぐらいです。ちなみにスーパーなどで売っているえのき茸は、1株を2つもしくは4つに小分けしたものですが、月見ステーキに使われているえのき茸は1株丸ごと。なお、傘を含むえのき茸の先端部分は、月見ステーキと同じく期間限定メニューとなっている「宮崎四種きのこの揚げ出し豆腐」などに使われています。

月見ステーキ、Wチーズ月見には、西日本でトップシェアを誇る加藤えのきのえのき茸が使われています

期間限定メニューの1つ「宮崎四種きのこの揚げ出し豆腐」。えのき茸のほかしめじ、ヒラタケ、エリンギが入ったヘルシーな一品です

 さて、えのき茸は通常、プラスチック製のケースに米ぬかやおがくず、トウモロコシの芯の部分を砕いたものなどで菌床を作って栽培されるのですが、収穫されたあとに残った菌床は、これまではゴミになっていました。もちろん、一般ゴミではなく産業廃棄物なので、加藤えのきが廃棄料金を支払ったうえで産廃業者が回収するという流れでした。

えのき茸は、口広のプラスチック容器に入れられて栽培されます

収穫後の菌床は通常は産業廃棄物となります

 しかし、この菌床、いまでは別の業者が加藤えのきまで出向いて引き取りにくるそうです。その業者というのが養鶏農家。9月頭に開催された塚田農場の期間限定メニューの試食会でこの事実を知り、「産業廃棄物だった菌床をわざわざ引き取るのはどういうことなのか」と気になって仕方ありませんでした。そこで、その養鶏農家さんに会うため、実際に宮崎県日南市に行ってきました。

宮崎県日南市にある岩倉さんの養鶏場

 えのき茸収穫後の菌床を引き取っていたのは、養鶏農家の岩倉さん。宮崎日南業態の塚田農場や、フランチャイズ店のじとっこ組合で使われている地鶏「みやざき地頭鶏(じとっこ)」を育てている農家の方です。菌床を引き取っていると聞いたときは、みやざき地頭鶏の餌に混ぜてコストダウンを図っているのかと思い込んでいましたが、これは大間違いでした。なんと養鶏場の土壌改良剤としてフル活用されていました。

みやざき地頭鶏を育てている岩倉さん

 地鶏というのは、在来種由来が50%以上含まれる品種で、JAS(日本農林規格)で定められたルールに従って飼育されている鶏を指します。地鶏の飼育期間は通常は80日以上ですが、みやざき地頭鶏の場合はオスは120日、メスは150日と長期間に及びます。ちなみに、格安焼き鳥店やスーパーなどで売られている鶏はブロイラーと呼ばれており、飼育期間は40~50日と短く飼育効率が高いため、安価で提供できるわけです。

みやざき地頭鶏は地鶏の中でも飼育時間が長いのが特徴です

 みやざき地頭鶏は飼育期間が長いこともあり、雛から育てた鶏を出荷するころには鶏舎の土に鶏の餌や糞尿がかなり混ざってしまうため、これまでは鶏を出荷したあとに鶏舎に重機を入れて土を掘り起こし、土壌を完全に入れ替える必要がありました。これには結構な労力と時間、コストがかかる作業で、岩倉さんの頭を悩ませていたそうです。

 そこに登場したのが、えのき茸を収穫したあとに残った菌床。岩倉さんは、宮崎県の農業試験場で土壌改良剤として活用されていることを聞きつけ、鶏舎の土壌改良にも使えるのではないかと思い付いたそうです。

 結果、この試みは大当たりで、えのき茸の菌床は土壌改良剤としてかなり優れていました。実際にどうやって使うのかというと、鶏を出荷したあとの鶏舎をひととおり掃除したあと、えのき茸の菌床をまんべんなく土に混ぜます。もちろん、菌床にはえのき茸の菌糸も残っているので、これが鶏の餌の残りや糞尿をエネルギーにして育ちます。育つといってもえのき茸が生えてくるわけではなく、発酵状態になるそうです。

鶏を出荷したあとの鶏舎。写真ではキレイに掃除されていますが、糞尿などの悪臭は漂っています

 実際にその現場を見せてもらいましたが、発酵を安定させるためビニールシートが被せられていました。ビニールシートを取り払うとアルコール臭が漂うほど発酵が進んでいる感じでした。表面の土を触ってみるとかなり暖かい状態。手をさらに土の奥に突っ込むとちょっと熱いぐらいでした。岩倉さんによると、発酵時の土壌温度は65〜70度ぐらいになるとのこと。この発酵の過程で、鶏の飼育の害になる大腸菌などがキレイさっぱり除去されるそうです。また、鶏を飼育する土壌に適したpH(ペーハー)にもなるそうです。

えのき茸を収穫したあとの菌床を混ぜた鶏舎。発酵を促進するためにビニールシートが掛けられています

 発酵が終わって整地された鶏舎を見ると、出荷直後の鶏舎に漂っていた餌や糞尿の悪臭はもちろんなくなっていました。個人的には、えのき茸よりもしめじや椎茸の菌床のほうが強い気がしたのですが、岩倉さんによるとえのき茸のパワーが最もスゴイとのことでした。なお、実際に鶏舎に雛を入れる前には壁なども完全に消毒するそうです。

 こうして土壌改良された鶏舎でみやざき地頭鶏が雛から育てられているわけです。

岩倉さんの養鶏場では、みやざき地頭鶏を外に出しているとき以外はビニールハウスのような鶏舎で育てています

写真のみやざき地頭鶏は生育60日程度の状態。出荷時にはもっと大きくなります

 取材後にいろいろ調べてみると、えのき茸の菌床は土壌改良剤として結構使われているようです。目の当たりにしたえのき茸のパワー。これだけ土壌改良に役立つ菌ということは人間の身体にもいいに決まってますね。栄養素を調べたところ、100gあたりカロリーは22kcal程度ですし、食物繊維やビタミン、ミネラルなども豊富です。食物繊維の量は100g換算で3.9g程度とキャベツの2倍以上というデータもありました。欠点は歯に挟まることぐらいですかね。

 Wチーズ月見は、期間限定メニューの中でもさらに期間が限られており、塚田農場の昇進役職の部長以上に案内されるLINE@アカウントと友達になることでオーダーできます。今すぐ部長になって店舗に行きましょう。部長以上なのにそんなアカウント知らないという方も、最寄りの店舗に駆け込みましょう。

 大事なことなんでもう一度いいますが、宮崎日南業態の塚田農場の期間限定メニューです。他業態やインスパイア系農場では食べられませんのであしからず。塚田農場の運営会社であるエー・ピーカンパニーでは、Wチーズ月見の動画をYouTubeで公開しているので気になる方はチェックしてみてください。

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