採択企業が東急電鉄や百貨店など東急グループのアセットを利用して、実際の街でテストマーケティングができる“東急アクセラレートプログラム2016”の最終選考会が2016年9月20日に行なわれた。
大手企業の東急グループが、ベンチャーの開発するサービスを自社の既存事業と組み合わせて、新しいビジネス、サービスの事業共創を狙うプログラムで今年で2回目の開催となる。最終選考に残った6社のベンチャー企業が自社のサービスをプレゼン。また、惜しくも最終選考に残らなかった別の6社もライトニングトーク企画で、自社サービスを紹介した。
学生による渋谷紹介ツアーが最優秀賞
最優秀賞の東急賞に選ばれたのは、訪日外国人と国際交流したい大学生がガイドとなるマッチングサービス『TOMODACHI GUIDE』を展開する神奈川県鎌倉市のベンチャー企業Huber.だ。学生がプランを考えて、訪日前から外国人とサービス上でコミュニケーションを取って信頼関係を築いて予約できる、お互いにメリットがあるサービス。ビジネスモデルとして、同社はプラン料の30%を手数料に取る。
東急アクセラレートプログラムはベンチャー企業がプレゼンの中で東急の事業と組み合わせて、何が展開できるかをアピールするのがポイントとなる。Huber.は、東急沿線や東急の持つ仙台空港を利用して石巻で漁業を体験するなどの東急のインフラ上に魅力的なツアーを作成して、人が集まる仕組みをつくりたいとしていた。
続いて、渋谷賞に選ばれたのは縫製職人のプラットフォーム『nutte』を展開するステイト・オブ・マインド。フリーの裁縫職人が約1000人登録し、企業や個人からの裁縫の依頼とマッチングして、仕事を得ている。実務経験の長い職人が参加し、自宅で使う服からネットショップの1点モノのアイテム、カーテンやカバンなど縫うものであれば何でも依頼することができる。
未来の渋谷カルチャーをつくりたいと、インスタグラムのインフルエンサーが考える洋服のアイデアを職人が実際に制作したり、アパレルショップが販売した服をリメイクすることで、2度目の再来店を狙う仕組みなどを提案した。
二子玉川賞は人工知能の対話型エンジン『A.I.Galleria』を開発するnextremer(ネクストリーマー)。5月に開催された“SLUSH ASIA 2016”ではアパホテルの名物社長をモチーフにした対話型ホテル受付ボット『MINARAI』を展示していた企業だ。
東急のキャラクターをモチーフにした“のるるんくんAI”を提案。乗り換え案内や自動言語選択による外国人対応といった、コミュニケーション対話型の案内表示をアピールしていた。
またNew Work賞には指輪型のウェアラブルコントローラー『OZON』を開発する16labと、センサーなどで空席情報を収集してサービスに利用するバカンのハードウェアを利用するベンチャー2社が選ばれた。
今回、採択された企業は実際に東急のアセットを利用して自社サービスをテストマーケティングを行なう。2015年の最優秀賞企業ABEJAは、渋谷QFRONTのカメラで渋谷を歩く人々を画像解析して、何時何分に何歳の男性女性が歩いているかをデータ化する実証実験を行なった。得られたデータをサービスとしてどうつなげていくかはこれからのようだが、ベンチャーだけではできない展開ができることが魅力のプログラム、ここから社会を変えるサービスが生まれることに期待したい。
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東急アクセラレートプログラム2016
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