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11.2MHzに進化したAKIRAのサウンドを体験する

DSD版「交響組曲アキラ」は、音の氾濫を体で感じさせる

2016年08月03日 20時22分更新

大音量であるのに聴き疲れず、不思議な充足感を感じた

 7月28日に東京・八重洲のGibson Brands Showroom Tokyoで開催された試聴会では、このスーパーツィーターにGENELECのラージスタジオモニタースピーカー「GENELEC 1234A」を組み合わせて、アルバム全曲が再生された(長い曲は一部を省略)。

 これはスタジオの制作環境ともかなり近い機材とのことで、ソースが含む、一般的な機器では不可能な超ワイドレンジの情報を再生できる環境を提供したものとなる。

試聴会では山城氏とともに音作りに携わったエンジニアの高田英男氏(右)。マスタリングを担当した放送大学の仁科エミ氏(中央)も登壇した。

司会は評論家の麻倉怜士氏だ。

 1曲目の「金田 KANEDA」の冒頭、雷鳴の表現のスケール感や重さに感心する。さらにはバイクの音やヘリといったサンプリング音の扱いなども印象的だ。竹を使ったジェゴクの独特の低域も印象的。

 また5曲目の「ぬいぐるみのポリフォニー DOLL'S POLYPHONY」では、ダミーヘッドマイクを使用。歌い手がその周りを歩きながら声を発生している。ピグミー族の演奏を参考にしたものだという。実は仁科さんもこの録音に参加。学生時代の声が収録されているという。4.1ch収録のDVD Audio盤とは異なり、ステレオでの再生だが2chでもその動きが非常によくわかる点が印象的だった。

 山城氏とともに音源制作に携わった高田英男氏は、ガムランやジェゴクといった楽器の“色彩感”、日本のトップドラマー山木秀夫氏のパフォーマンス、シンセサウンドを手がけた浦田恵司氏の音にグルーブ感やパワーを付加するためにさまざまな試みをしてきたとコメント。また、空間の広がり感や音の移動感を感じさせるために、ダミーヘッドマイクを使った収録も実施しており、特有な空間の表現に一役を買っているようだ。

 最後に筆者個人の感想を話すと、デモ自体がかなりの大音量であったため、60分近く聞き続ければふつうは相当に神経が疲れてしまうものだと思う。しかし、聴き終えたあとは、不思議なことにそういった感じがない。温泉に浸かった後のように、サッパリとリフレッシュしたような心地よさがあった。時間帯が遅めだったこともあり、程よい眠さも喚起されて、いいクラシックの曲を聴いたような感覚もあった(実際にかかっていた音楽はどちらかというと複雑でわかりにくいほうで、音楽を聴くというより音に浸る感じが強かったが)。

 30年近く前に制作された楽曲でありながら、その魅力は衰えず、それどころ圧倒的な力を持って迫ってくる点を実感した。

 また、本来耳には聞こえない帯域を担当する、スーパーツィーターの有無でソースの聞こえ方が変わるかどうかをデモする時間も設けられた。試聴を終えたのちの会場の声を聴くと、音のメリハリ感に差が出るなど、違いを感じるという声が多かったように思う。

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