僕だって万年筆を買いたかった
万年筆は、あこがれの筆記具でした。
インクを染み込ませ、手帳やノートにすらすらと文章を紡いでいく……。ペンで字を書くという行為そのものに、何やら格式の高さのようなものを感じていたわけです。
しかし、あれは大人の文房具ではないか……という気持ちもありました。欲しい気持ちはある。しかしながら文字が下手ということもあり、やはり筆まめな年配の方が持つものだ、自分にはまだ早いのだ、と考えたりなどして。
ところがある日、隣の席の盛田さんがセーラー「プロフィット21」を購入しました。そして、やっぱり万年筆は最高だ、これに比べればフリ○ションなど児戯に等しいというわけです(※盛田註:言ってません)。
さあ、こうなると俄然、欲しくなってくるというもの。物欲が解放された瞬間でした。
最初はパイロット、セーラー万年筆、プラチナ万年筆の国産御三家から選ぶのが安全だというのが盛田さんからの情報。そこで文具店で働く友人に助言を求めたところ「あなたならパイロットだろう」と断言するわけです。その理由を問うと、「なんとなく、イメージで言ってるだけだけど」。根拠が薄い!
いやしかし、イメージは大事です。他人から見てそう見えるのならそうしましょう、という安易な発想でパイロットの万年筆を試してみることにしました。さっそく文具店に行き、パイロットの「Heritage 91」「Custom 74」「Custom 742」とう3種類のペンで字を書きます。
あくまで個人的な感想ですが、Heritage 91はやや硬め、しっかりした印象です。Custom 742はすっと紙に吸い付くイメージ。Custom 74はその中間といったところでしょうか。
一番気に入ったのはCustom 742。……なのですが、2万1600円です。うーんちょっと、どうせ買うなら使い倒したいしなあ、でもいきなりこの価格は……と悩み、それならばと、Custom 742に次いで書き味がよいと感じたCustom 74を選びました。ペン先は、書き比べて一番心地よかった中字。ついでながら、色はダークブルーをチョイス。
さて、続いてはインクです。Custom 74には黒のカートリッジが付いてくるので、それを使ってもいいのですが、せっかくならインクも面白いものを使ってみたい。
などと、初心者のくせにえらそうなことを考えて銀座の文具店・伊東屋を物色していたところ、ちょっと変わったインクを見つけたのです。
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